楽しくてためになる「役に立たない」本にしたいという著者なのですが。
いや、大変に興味深かったです。
内臓の事やら脳の事やらゲノム解析までやってるっつーのに、胎児の謎は多いのが現実…。
内容の興味深さと対談形式という事での読みやすさ(会話風にそのまま文章になっているので)がよかったです。
帯にもありますが、出産経験のあるなし、性別問わず楽しめると思います。
先生のデリカシーについてはちょっと大丈夫かな…と思う側面はありましたが、概ね満足です。
優性思想とか出生前診断についてはもう少しインタビュアーが掘り下げて聞いてほしかったなぁと思います。
これは「考えたくない」とかそういう議論でどうにかなるものでもなく、法律で整備すればなんでもいいわけでもない。
だからこそ、紙面の都合はあると思いますが、引退したとはいえドクターの目線でどう考えているかをたくさん語って欲しかったです。
これ読み終わってから録画してあったNHKスペシャル「人体」の胎児の話を見たんですよ。
そしたらなんか本が物足りない感じがして。
それに引きずられるみたいにNスぺの方も物足りなく感じてしまい。
それがどういうメカニズムで起きるか、とか明確な答えが欲しかったんだけどなぁ~と思ったりした。
テレビは「わかりやすく」を主に置くからなのか、そのワードで説明したらダメじゃない?って思うこともよくありますが、本の方はちゃんと医学用語も含まれてるし納得できるところは納得できます。
何にせよ、読みやすかった。
そして読み物として知的好奇心は十分に刺激された。
堅っ苦しい医療系の本を読むのはちょっと、でもちょっとそういうジャンルの本読んでみたいな、っていう人におすすめです。
内容としては中学生以上になったら理解できるんじゃないかなぁ。