今回は旧中山道柏原宿へ。街道の街歩きです。
ところで柏原って何県…?岐阜県に近いけど
滋賀県なんです。伊吹山の麓にありました。
JR柏原駅で下車すると、東西に旧中山道の
宿場町の面影を残す古い街並みがあります。
柏原宿は、同じ中山道の馬籠、妻籠みたいに
江戸時代の宿場街を完璧に復元したような、
観光用に整えられた街並みではありません。
統一感はありません。電線も目立ちます。
古い建物と新しい建物が微妙に混じっていて
”人が普通に生活している街”の感覚があります。
でも、観光用に作られ過ぎず、自然な感じで
残っている宿場の雰囲気が私は好きですね。
街道沿いに宿場街の面影が残っています。
本陣、脇本陣、高札場、一里塚の跡があり、
古い旅籠や古い商家もところどころに…。
中山道柏原宿というと、名物”伊吹もぐさ”で
知られています。お灸に使う”もぐさ”です。
この地区では、”やいと”と呼ぶそうです。
昔、街道沿いにたくさんあった”もぐさ”を
商うお店も、今は1軒だけになりました。
江戸時代の建物がほとんどそのままの形で
残されている、”伊吹堂亀屋左京商店”です。
さて、江戸時代の宿場町の様子を知りたい
なら、”柏原宿歴史館”を見学しましょう。
ここは、柏原宿の歴史を紹介する施設です。
大正6年に建てられた建物を使っています。
国の有形文化財に指定された商家の建物は、
宿場街の面影を色濃く残した佇まいでした。
また展示室には、柏原宿の資料が展示され、
幕末維新の高札などを見ることができます。
この”柏原宿歴史館”で特に注目したいのは…!
昔ながらの”福助さん”のコレクションです。
大きな頭と福耳、裃姿で正座する福助さん、
商売をするお宅の守り神(?)的存在です。
福助さんのルーツには諸説あるようです。
「中山道柏原宿のもぐさ店、”亀屋左京”の
福助像が元祖。ここから全国に広まった。」
柏原地区にはこんな話が伝えられています。
江戸時代のこと、福助さんは”亀屋左京”の
お店の忠実な番頭さんでした。いつも裃姿で
扇を持って接客…。街道を行き来する旅人に
”伊吹もぐさ”を勧めて熱心に売っていました。
福助さんのお陰で、商売が繁盛したそうです。
福助さんが亡くなってからのことです。
お店では、商売の鏡のような存在だった
福助さんそっくりの像を制作…。そして
商売繁盛の守り神としてお店に飾りました。
今でも”亀屋左京”のお店には、福助さんの
像が飾られ、お店を見守っているようです。
”柏原宿歴史館”の2階に、”福助さんの間”が
あります。たくさんの福助さんが並びます。
福助さんはいろいろ…。可愛いものもあれば、
近所のお爺さんそっくりでリアルなものも…。
どの福助さんにも、昔の人々の商売繁盛の
願いが込められているのでしょうね…。
柏原宿歴史資料館には、喫茶室があります。
ここで、名物”やいとうどん””やいとそば”を
味わうことができます。柏原宿の名物の
”やいと”(もぐさ)をアレンジしたものです。
お灸のもぐさを食べるのではありません。
そばの上には、もぐさそっくりの具が…!
さっそく名物”やいとそば”を注文します。
そばの上にゆで卵を乗せて、ゆで卵の上に
もぐさみたいにとろろ昆布を盛り付けます。
もぐさに火をつけることをイメージして
紅ショウガを少しだけ、上にのせます。
そばの出汁は、薄味の上品な関西風でした。
”関ケ原から西が関西”で、
”関ヶ原から東が関東”
との言葉があります。ふと思い出しました。
柏原宿には新しいお店も登場しています。
”柏lab"といってシェアキッチンのある
複合施設です。古いたばこ屋さんの建物を
今の感覚でリノベーションしたお店です。
この日は菜食ごはんとヴィーガンおやつの
カフェ”ki‐mama”さんが営業していました。
毎週、金曜日土曜日だけオープンします。
写真は私じゃないよ。オーナーさんです。
お店に入ってアイスコーヒーを注文したら、
レトロな感じのグラスに入って登場…。
珈琲にはヴィーガンおやつが付いています。
古民家カフェ、最近どんどんできています。
お店の中に入ると、古くて珍しいものが
いろいろ飾ってあって、お店の隅々まで
探検(?)してみたくなります。
”柏lab.”のリノベーションは”現在進行形”…?
奥の廃屋(?)も、リノベーションして
今後、活用していく計画があるそうです。
どのように変わるかちょっと楽しみです。
次は、特別公開中の成菩提院へ。
2023年のブログ記事にも登場した
歴史ある天台宗の学問所です。
戦国時代、信長、秀吉をはじめ数々の武将が
成菩提院に宿泊し、制札を残していました。
関ヶ原の戦いで西軍を裏切った小早川秀秋も
戦いの前後、成菩提院に宿泊していました。
この日は副住職さんがおいででした。
副住職さんのお話を聞きながら、制札や
地図など、数々の寺宝を見て回りました。
副住職さんの”推し武将”は小早川秀秋…?
彼のことになると話に熱が入るみたい…。
「30年前まで、ドラマの中で明智光秀や
石田三成は、”悪い人”として描かれました。
でも最近、彼らは悪者ではなくなってきた。
彼らは、彼らなりの正義からの行動だった
…と描写されるようになってきたのです。」
「だから次は、小早川秀秋の番です…!
秀秋さんは優柔不断で大酒飲みでビビり…。
そして土壇場で”西軍を裏切った悪いヤツ”
こんなイメージがありますが、ホント…?」
「実は若いのに、”世の流れを冷静に見極め
行動できた優秀な武将”だったかも…。」
「関ケ原の戦いでの”裏切り者”のイメージを
払拭したい。歴史ドラマで彼の本当の姿が
描かれるようになって欲しいものですね。」
そんな副住職さんの言葉が印象に残りました。
.