さ、いよいよ執刀です。でも、俺はわかりません。なんか、うっすら触っている感じはあるんですが、全く感じないんです。麻酔ってすごいね。俺は、ただ、天井を見つめて、手術用の照明器具を見ながら、LEDではないな ってくだらないこと考えてました。3時間って言ったけど長いな・・・。ときどき足元を見ようとしても、手術用の緑色のカバーで足どころか左足付近にいるであろう、Dr.Nほか看護師の姿も見えません。今、足切開して骨出してプレート付けてボルト打って 簡単にいえばそんな手術やろうけど、見えないし、痛くないし、俺はどうしてればいいんかな？
術前に局部麻酔やから、器具の音とか聞こえるんかな と思っていたが、今思い返してもそんな音は覚えていない。血圧計や心電図の音などの器械の音はよく覚えている。ときどき看護師のKさんが、「大丈夫？」って声かけてくれて、ああ、意識があるな って自覚する。頭の右側にモニターがある。なんやらレントゲンのモニターみたいやけど看護師が、「レントゲンで足が映っているけど見る？」っていうけど、視力が悪いので、ボーっとしか見えないし、ましてや首を曲げて見なければならないのでしんどいです。そうこうしているうちに、睡魔が襲ってきた。昨日から痛みでほとんど眠っていないんで・・・。
どれだけ眠ったかな？（看護師さんいわく40分ほどらしいけど）キュイーンって電動ドリルの音がして目が覚める。ああ、今、骨にボルト入れているんやな？これで終わりか？って思ったら、「今、小さい方が終わったから次はいよいよ大きい骨の方ね」って言われて、えっ！まだまだやんかとちょっとがっかり。
それからしばらく、記憶がない。眠っていたのではなく、記憶していないんだと思う。だんだん、背中が苦しくなってきた。同じ体制でず‐っと寝ていたんでしんどくなってきました。背中がこわばってきた。
我慢我慢。相変わらず何をやっているかよくわからんけど、今、俺の脚を治してくれているんだと思いしかないですね。心電図や血圧計の音と時々Dr.Nの声しか聞こえない。３０（さんじゅう）と４０（よんじゅう）持ってきて って、きっとボルトの種類のこと言っているんだな。何本も言ってます。えっそんないっぱい入るの？ちょっと不安になります。
また、ボルトを入れるドリルの音がします。キュイーンって。これで、二か所目が終わり、三か所目です。三か所目の切開の時になにやら足の皮膚を触っている感覚がありましたが、そこまでです。あとは無感覚です。最後の箇所で骨にボルトが入るときに、大腿骨から腰にかけてぶるぶると小さい振動を感じました。ああ、今、骨にボルトが入っているなと。
時計が見えました、17時少し前です。オペ開始は14:35分だったので、2時間半ぐらい経過して、もうぼちぼちかなと思っていると、看護師Kさんが「あと少しです」っていったころから切開箇所を縫っているのがわかった。
このころから、背中が痛くて、つっぱってきて、ものすごく苦しい。看護婦さんに背中が痛い旨告げて、何とか体制を変えてもらい、少し楽になった。
どうやら縫合も終わり、足も持ち上げ皆で包帯を巻き、ギブスを巻いているようだ。あ、手術は終わった。最後にレントゲンを撮り、Dr.Nが「はい、終わった」看護師さんからも「終わりましたよ。お疲れ様でした。」って声をかけてもらい一安心です。ここで、Dr.Nに診断書を出してもらえますか？ってお願いすると、「三カ月やね」って告げられました。全治三カ月です。えらい長いな・・・。でも、 えっ 三カ月 
って結構長いやんか。結局 俺って 重傷なんかね？
答えは、次回「手術その三 術後」で。
