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外に出た彼女は通りの人たちに片っ端から言いがかりをつけながらさ迷い歩く。
チョルスが目を覚ました時、アンナはいなくなっていた。
「どこに行ったんだ・・・」
チョルスはビデオルームを出た。
「ディカプリオか誰か知らないが、ぜんぜん思い出せないから逃げ出したんじゃないか・・・!」
さてどこへ行ったか、と探すのに迷ったチョルスだったが、道案内は向こうから次々と歩いてきた。
「他人の格好に文句つけるなんて何様なのよ」
「ははあ・・・」
とチョルスは頷いた。
「看板を替えろだなんて、妙な女だ」
「何なのよ、あれは」
「関係ないっていうの」
「気に入らないって何言ってるんだ」
チョルスはそれらをたどっていきながら呆れた。
「サンシル・・・街の人みんなに文句つけて回ってるよ」
アンナは歩道の上に止まってい白い車を蹴りつけた。
「色も最悪ね。気に入らないわ」
横断歩道を渡りきってほっとしている時、チョルスから声がかかった。
チョルスは走って近づいてきた。
「何してるんだ」
アンナの前に立った。
「サンシリっ、どうして他人に文句なんかつけて歩いてるんだ」
「全部、あなたのせいよ」
アンナは答えた。
「どう考えてもあなたのせいよ」
「何で俺が? 記憶を取り戻すを手伝ってるのに、どうして?」
「チャン・チョルス」アンナは胸を押さえた。「どうやら、記憶が戻ったみたい・・・」
(第8話より)
「記憶が戻ったってどんな風に・・・? あっ! 映画を見ているうちに思いだしてきたのか」
「そうじゃない」アンナは答えた。「あなたのことでよ」
「俺? 俺がどうかしたか?」
「あなたを見てると、胸がどきどきするの」
チョルスが目を剥く間もなく、アンナが胸に飛び込んだ。胸に耳をあてがって言った。
「ほら、こうしているとどきどきしてくる」
チョルスが面食らっていると、アンナは彼を見上げて言った。
「どうやら、好きだった感情が戻ってきたみたい・・・!」
チョルスはアンナの身体を押し返した。
「さっき走り回っただろ。そうだろ? 他人に文句をつけて気がせいせいしたのさ」
「いいえ」アンナは首を振った。「間違いない。あなたのせいよ。見て」
再度、胸に飛び込んでこようとするアンナを押しとめた。
「サンシラっ。道端で抱き合うのはよそう。どこかでゆっくり話そう」
二人は居酒屋に落ち着いた。チョルスはビールをぐいと飲み干した。
(正直に話そう。お前が憎いから、俺は復讐のためにお前を家に連れてきただけだ)
アンナはスルメをかじりながらにこにこしてチョルスを見つめている。
「とは言えないよなあ・・・」
どうしたものか思案投げ首でグラスを握ろうとするとアンナが言った。
「チャン・チョルス。前にもよく、こうして二人で飲んだ?」
「どうして?」
「飲んでる姿を見てもどきどきする。ほんとに記憶が戻ったみたい・・・」
チョルスの肩から力が抜ける。
「少しずつ、記憶は戻ってきているわ」
アンナはビールグラスを手にした。あわててその手を止めた。握った。
「サンシラっ。酒のせいなんだよ。酒をやめて、帰ろう」
「チャン・リョルス」アンナは言った。「手を握ったら、何か思い出してきた」
チョルスは握り返された手を引っ込めた。
「ドクンドクンは酒のせいだよ」
「何よ。思い出そうとするのをどうして邪魔するの」
「サンシラっ、お前まさか・・・俺が好きなのか?」
「何ですって?」アンナは鼻で笑った。「そんなはずないでしょ。過去を思い出してきただけで今は違うわ。笑わせないで」
アンナはそう言って立ち上がった。チョルスを置いて出ていった。
「まいったな」
チョルスはつぶやいた。
「こんなはずじゃなかったんだが・・・」
帰宅のバスの中で、チョルスはしきりにアンナの様子をうかがった。
それに気付いてアンナは訊ねた。
「どうしたの? ひょっとして私のどきどきが移った? だけど、もう遅いわ。今は嫌いだからね」
バスは家の近くのバス停に止まった。アンナは眠りこけていた。
「胸がどきどきするくせによく眠ってるな・・・」
しようがないな、と思いながら、アンナを起こす。
「サンシラーっ、起きろ」
呼ばれてアンナは目をあけるが、ついてくると思っていたアンナはバスの後部席でまた眠りだしている。
「あいつ・・・おりずに何してるんだ」
チョルスは眠りこけているアンナをしばし見つめた。
「このまま乗せておけば、俺の人生から出ていくかな・・・」
窓を叩かれてアンナはあわてておりてきた。
「なぜ起こさなかったの。ひどいじゃない」
「寝ている方が悪いんじゃないのか」
「嫌いだと言ったから怒ってるの」
チョルスは呆れた。
「やれやれ・・・」
「私に優しくしないからよ。記憶がないのをいいことにこき使ってばかりでさ」
「そうだな。俺が悪かった」
「わかればいいわ。これからはやさしくして」
当初の構想がすっかり狂い出してチョルスはベッドで思案に沈んだ。
「どうすればいいかな・・・今さら、恋人じゃなかったなんて言えないし・・・」
寝返りを打った。
「ほんとのことを話そうかな・・・」
チョルスは起きてアンナのところへ行くが、彼女は寝込んでしまっている。
「よく寝てるな。記憶が戻ったと思って安心したのか・・・?」
そこにアンナの寝言。
「出て行って!」
そんなアンナを見てチョルスは呟いた。
「思い出してないよ。俺を好きだと思い込んでるだけだ」
――ビリーはワインを飲み、プリンセスに話しかけ、アンナを探し回った。探し回る場所に相変わらずアンナが出没した。
目を覚ますとビリーはベッドから落ちかけていた。ビリーは写真のことを思い出し、写真を取り返しにカンジャのところへ向かう。
カンジャに逃げられたビリーはチョルスの家にやってくる。しかしチョルスの甥っ子たちに見つかりそうになり、洗濯桶をひっくり返しその中にかくれる。
チョルスはドックを相手にアンナの話をする。
「どうしよう・・・サンシルのやつ、食事中も俺を見つめてるんだ」
「恋人だなんて言うからだろう。まったく・・・」
「記憶が戻れば解決する話だよな?」
「当然だ。好きだったと信じてるのも錯覚なんだろが。思い出したら恨みでどきどきさせられるな」
「その方がましだ」
「でも、兄貴は違うようでよかった」
「何?」
「兄貴がどきどきしたら悲劇だろ」
「俺が、サンシルにだって? バカ言うな。仕方なく一緒に住んでるけど、本当は敵同士なんだぞ」
子供たちはサッカーをやっている。ビリーは洗濯桶から脱出できずに困っていた。そこへドックを探してカンジャがやってきた。子供たちと遊ぶため、カンジャは写真の入ったバックを桶のそばに投げ置いた。」
ドックの母はマッコリの酒席でアンナたちに訊ねた。
「二人はいつ結婚するの」
チョルスはびっくりして空咳をした。
「そんな気ないわ」
アンナはつんとして答えた。
「ナさん(アンナ)は英語が話せるんでしょう? ほんと、すごいのね。そうだ。あそこのホテルに知り合いがいるの。働き口がないか探してあげようか」
チョルスが顔をしかめて言った。
「その性格じゃ務まりませんよ。どこいっても無理ですよ」
「そうよ」当人も答えた。「性格が悪くて無理よ。性格のいいあなたが稼いで」
ドックの母は笑った。
「お金を稼ぐのは大変よ。奥さんが死んで、億万長者になった人もいるというのに」
「誰?」
「ホテルの社長よ。金持ちの妻が死んで全財産は社長の物だそうよ。運がいい人ね」
ドックの母はみなを見回した。
「あら、バングに口止めされていたのに・・・別に知り合いでもないし、かまわないか・・・」
「そんな言い方はひどすぎるよ。違うか?」
「わからないわよ」
アンナは言った。
「その男が女を殺したのかも・・・どんな奴か気になるわね・・・」
アンナらの話し声がきこえたかどうか・・・ビリーは相変わらず洗濯桶の中にいて、逃げだす機会をうかがっていた。カンジャが彼を見つけて、かくれんぼやってるなら、一緒にやろう、と言って隠れに走り出した。
酒宴がすんでドック親子やカンジャらは家に引き揚げていった。チョルスの家族は家に引っ込んだ。
家中の明かりも消え、ビリーはようやく逃げ出す機会を得た。桶を後ろにひっくり返し、しびれた足をいびつに動かして逃げ去った。
桶のひっくり返った音を聞いて、アンナは起き上がった。
「何の音?」
彼女はチョルスの部屋に飛び込んだ。
「今、何か聞こえなかった?」
「何も聞こえなかったぞ。いいから出ていけ」
「そう」
行こうとしてアンナは振り返った。チョルスは上半身裸になっている。アンナはそれをじっと見た。
アンナにじっと見られ、チョルスは胸を両手で隠してしまった。
「な、何だよ」
アンナは呆れるように舌打ちして出て行った。チョルスは急いでドアを閉めた。自分に言い聞かした。
「追い出そう、早く。 金の問題じゃない。明日、診察させなきゃ・・・!」
ドックに接近したいユギョンの友人は、誕生祝いを持ってユギョンを訪ねていた。
「ドックさんは友達よね。一緒にパーティやりたいわ」
「そんなに親しくないわよ」
「じゃあ、チャン・チョルスさんも一緒にどおっ?」
「どうかな・・・? 昔は私の誕生日を祝ってくれたんだけど・・・今はわからないわ」
「だったら、私がドックさんに聞いてみてあげる」
そう言われて、ユギョンはまんざらでもない顔になった。
アンナは着替えをすませてチョルスのところにきた。
「何するの?」
「どんな状態かきちんと検査しよう」
「検査費用は高いわよ」
「それはわかってる。・・・待ってるからきちんと検査を受けてこい」
「私は子供じゃないわ。心配しないで」
アンナの後ろ姿を見ながらチョルスはつぶやいた。
「子供の方がまだしも安心していられるよ」
アンナの検査は終わった。チョルスが診察費の清算の手続きをしていると、アンナの耳にピアノの音が聞こえてきた。その音につられて歩いていった。
清算をすませたチョルスが後ろを振り向くとアンナの姿がない。心配で院内を探し始める。
「まったく・・・連絡も取れないくせにどこへ行っちまったんだ」
歩き回っているとピアノの音がし、そのそばに人だかりが出来ている。
何とアンナがピアノを弾いているではないか(ここ、好きな場面。ハン・イエスルは実際にピアノが上手のようだ)。
それを見てチョルスは目を丸くした。
彼女の演奏が終了するとみんないっせいに手を叩いた。チョルスも手を叩いた。きょとんとして後ろを見て席を立ったアンナだったが、手を叩いている者の中にチョルスを見つけて駆け寄ってくる。
「チャン・チョルス。私、ピアノも弾けるわ。知ってた?」
チョルスはおどけて首を振った。
アンナは落胆して言った。
「私のこと、何も知らないのね。行きずりの仲だったのは明らかだわ」
「・・・」
「とにかく、私が凄い人なのは確かよ。何でもできるもの。何の異常もないし、記憶も戻り始めたから・・・もうすぐ元に戻れるわ。安心した?」
「安心したよ。思い出して以前のお前に早く戻れ。行こう。事務所に寄るから、お前はバスで帰れ」
「戻れですって?」
アンナはチョルスの去った方角を睨みつけた。
「言われなくても戻るわ。最低なやつ・・・!」
車からおりたチョルスは歩きながらつぶやいた。
「ひとつずつ記憶は戻っているな。しかし・・・記憶が戻ったなら、怒るだろうな・・・まあ、いいか」
チョルスは立ち止まった。
「ちゃんと、バスに乗れたかな・・・? 連絡のしようがないからな」
チョルスは携帯ショップに出向いた。こういう時に彼女と連絡が取れないでは困ると思ったのだ。
「俺が不便だから買ってやったよ、サンシリッ」
口ではそういいながら、アンナへの思いやりが知らず知らず出てきているチョルスだが、ふと我に返って舌打ちした。
「金を食う妖怪だ、まったく・・・!」
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