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雨の記号(rain symbol)

韓流ドラマ


「釜山男性の方言はすごく魅力的、男女差別の文化はアラブと類似」

 ソウル某大学の教室で、ヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭と上半身を覆う布)をかぶった女子学生が、各国から集まった学生たちと一緒に講義を受けた。
 講師が「3時(セシ)」を示す時計を指差し、「何時ですか」と訊ねた。
 すると肌の色の違う学生らは、左右を見回しながら互いに異なる言葉を駆使してざわめいた。
 一分ほどして、ヒジャブをかぶって最前列に座っていた女子学生らが、声をそろえて「サムシ(漢数詞と固有数詞の使い分けの間違い)」と答えた。

 彼女らは、某大国際協力夏季セミナープログラムに参加している、アラブ首長国連邦(UAE)の女子大生たち、初級クラスの学生たちだった。
 彼女たちは、「韓流サイト」でお互いに出会った。韓流ドラマが大好きだったからだ。ドラマの中でしか見たことのなかった韓国を直接感じたいと思い、このプログラムに申し込んだ。
 講義を受けたアブダビ女子大の学生Aさん(22)は、「数字が一番難しい。漢数詞と固有数詞を区別できない」と打ち明けた。彼女は「韓国ドラマを字幕なしで見たくて(韓国に)来た」と大きな目を輝かせた。
 授業が終わると、UAEの女子大生らは、時間がたつのも忘れて韓国ドラマの話に夢中になった。
 「ドラマ『花より男子~Boys Over Flowers~』に出てくるイ・ミンホが大好き」というBさん(23)は、「UAEのドラマは最初の1話を見ただけで、全体が分かってしまう。でも、韓国ドラマは最後までテレビから目を離せなくさせるような吸引力を持っている」と話した。
 30分もたたないうち、彼女たちの口からは、『フルハウス』『コーヒープリンス1号店』など、以前のドラマから、最近最終回を迎えた『検事プリンセス』に至るまで、10編以上のドラマのタイトルが挙がった。
 そしてこの日最高の話題は、韓国ドラマに出てくる「釜山の男性の方言」だった。
 Cさん(21)が、「韓国では釜山の男性は強さの象徴だが、わたしは釜山の男性が方言を使うのがとてもキュートに思える」と話すと、皆は大きくうなずいた。彼女らは自分たちが知っている釜山の方言を連発し、互いに顔を見合わせて笑った。
 しかし、彼女たちの韓国訪問は楽に進んだわけではなかった。
 Dさんは、「両親の強い反対を受けた。説得するのに苦労した」と話す。一緒に行く仲間のことを話して、やっとのことで許しをもらったと思ったら、出発の四日前に兄が「韓国行きを中止しろ」と言い出してまたひと悶着起こり、危うく来られなくなるところだった。実際に友人一人は、両親の反対で韓国行きの飛行機に乗れなかった。
「姉や兄たちは、わたしが韓国ドラマを見るのをあまりよく思っていないのです」
 イスラムの世界では、公の場で男女を一緒にしないといわれている。27歳と24歳のZさん姉妹は、「男女差別が強かった昔の韓国の文化とわたしたちの文化はよく似ていると感じた。韓服(韓国の民族衣装)も、わたしたちの伝統的な衣装と似ている」
 二人は、「イスラム教理に反する豚肉が入っていない料理を探すのが大変だ」と言いながらも「プログラムを終えた後、必ずまた韓国へやってきたい。その時は各地を旅行してまわりたい」

 「花より男子」も「フルハウス」も「コーヒープリンス1号店」も、僕はみんな途中で見るのをやめている。だが、若い女性らにはこういうドラマが受けるのだろうな、とは考えたりしたものだった。
 イスラム影響下のアラブ圏の女性は、極東アジア圏の女性とは感性に異なった面が多いと思っていたが、案外そうでもないようである。
 歴史ドラマ「朱蒙」はイランで大フィーバーを起こした。ヒロインとして活躍したハン・へジンにはイラン映画への出演依頼まで飛び込んだ。
 女性が美しく伸び伸びと活躍する韓国ドラマは、彼女らにとって女性として生きる憧れの世界を映し出しているのかもしれない。
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