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夕方、弟の耕三がやってきた。
ジーンズ姿で若者を気取っているが、とっくに50歳を過ぎている。
部屋に上がりこんで腰をおろすなり耕三は言った。
「相変わらず散らかってるなあ」
私は顔をしかめる。月遅れになったカレンダーを一枚引っ剥がす。
「大きなお世話だ。何しに来た?」
「何しに来たって、俺は弟だよ。用がなければ顔出しちゃいけないの? 電話かけたってなかなか通じないし、英一兄さんがちゃんと息してるか心配で顔を見に来たんだ」
兄弟でしばらく見つめあう。私は言った。
「横浜の真子に言われてやってきたんだな…相変わらず心配性なやつだ」
「手ぶらで行かないようにしろって金までもらったよ。これは真子姉さんの懐から出た金さ」
ぶら下げてきたビニール袋から缶ビールを取り出す。ひとつをよこし、自分はタブリングを外しさっさと飲みだした。
テレビの音楽映像を見て訊ねた。
「誰?」
「ケイティ・キム。知らないか? K-POPスター4で注目を浴びてる歌手だ」
「新人歌手か…あんまりきれいな娘じゃないね。売れるのこれで? 歌唱力はあるに越したことはないが、今はビジュアルも大事だからな。兄さんもそう思うだろ?」
「グループ歌手にはビジュアル担当が必ずいるな。
…しかしこの娘はビジュアルが気にならないくらいに歌がうまい。このオーディションを勝ち抜けて優勝しそうだから、どっかの事務所からデビューすることにはなるだろうな」
「これ、ユーチューブの映像?」
「ああ、こっちのパソコンからつないでる。テレビにつないで娯楽専用で使ってるパソコンだ」
「そうしてオーディション番組まで見るようになった…英一兄さんのK-POP熱は衰えるのを知らないね」
「彼女の久美子さんは少女時代やKARAにはまってさいたまアリーナなどのコンサートに参戦したこともあるらしいが、お前はどうなんだ? 一緒に行ったりはしてないのか?」
「一度、KARAのステージを見に行ったことはある。だけど、それ以降はないな。彼女、女同士のペン仲間ができたみたいで、今は誘ったりしてこないんだ。俺が少女時代やKARAにはそれほどのめってないのを感じてるようだ」
「お前の中でKーPOPは終わってしまったのか?」
弟は首を振った。
「終わってはいないけど、新鮮な空気がほしい気はしてるんだ。兄さんと違って俺はまだ二十代だからね。K-POPの新しい風を引き入れる役割は俺のように新しもの好きが担っていくようにしないとね…少女時代やKARAはあまり視聴しなくなったけど、彼女らに代わってApinkやAOAはよく視聴するようになってきてるんだ」
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