雨の記号(rain symbol)

(W杯)サッカー(エピソード!)


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 ギロリと睨みつけるのは分かった。
「てめえの方で仕掛けて勝手に転んだんだろうが! このボケ!」
 と当人が言ったかどうかは知らんが、直後にコツンと彼の頭突きがミュラーの頭を見舞った。
 見た目にはゆっくりと愛嬌程度のパフォーマンスだったが、ミュラーは痛がって後ろにのけ反りかえった(ドイツ人らしからぬ大仰さだが、チャンスと見た特有の知性がもたらしたらしい)。
 これを見ていたジャッジは走り寄り高々とレッドカードを掲げた。
 一発退場である。
 試合の流れも状況もまるで読んでいない。こんなバカな選手を代表に送りだした国には辛いものがある。
 これで選手が一人減り、勝ち運は一気にドイツへと傾いた。
 以後、試合はワンサイドの流れとなってドイツが勝った。
 いくら情熱ラテン系の国とはいえ、ぺぺには国を背負っている姿勢が感じられなかった。リーグ戦でも追放の話題が出たりしたという。(W杯)に準備されたにしてはずいぶん軽薄な選手だ。
 リーグ戦ならそれもよいが、国を背負っての(W杯)であれはなかった。
 


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