ホンドは画材をそろえ、絵を描こうとするが、戸曹判書キム・ミョンミンの紹介した男子を笑わせる絵の着想を思いつかない。思案に耽っていると、弟子ユンボクがどこかから戻ってきて、キム大監のいる前でホンドに何事か耳打ちする。
ユンボクの耳打ちからヒントを得たホンドは、絵を完成させる。それは「舞童」と題された絵で、お神楽や獅子舞のようにお祭りの時などに舞う踊りを活写したものだった。
ユンボクが持ち寄りホンドに告げた情報は、男子は子供の頃に大病を患い、その後遺症がもとで耳を悪くしているようだ、というものだった。
ホンドが絵にこめたのは、男子に声や音の記憶を呼び戻してあげる、ことだった。
最初、ホンドの描いた絵に何の興味も示さないように見えた男子は、少しずつ絵の世界に引き込まれていって、ついに楽しそうな笑顔を浮かべる。聴力を失い、話す自由も失った男子は、紙に、音が聞こえました、と書いて絵から受けた気持ちをキム大監に伝える。ホンドは、見事、キム大監の期待に応えたのだった。
キム大監は約束どおりホンドの師匠の描いた肖像画を彼らに見せる。肖像画は目だけがキム大監と違っていた。それが何かの隠し絵ではないかと感じ取ったホンドは、師匠の残した竹の絵がこれと関係ありそうだという考えにたどり着く。
ここから一気に謎がほぐれだした。ホンドはようやく、「五竹会」という画会が昔あったことを知る。師匠スファンに肖像画を描いてもらった人たちの集まりである。
ひょっとすると思悼世子の睿真とこれらがつながっているのではないか、と見たホンドらは、「五竹会」に属した人たちの家を訪ね、肖像画を見せてもらい、鼻や口といったように顔の部分を収集していく。そしてその絵を所有する五人目の人物はチャン・ヒョウォンの父、チャン・ビョクチュ(別堤)だった。
チャン・ビョクチュは、「最後の一枚は自分のところにあるから問題ない」と仲間らと高笑いする。
ホンドらも最後の一枚の攻略に頭を悩ました。敵方である以上、正面突破はかなわない。何か策を弄さねばならない。
「その機会はほとんどないが、やるなら、チャン・ビョクチュ(別堤)の誕生祝の宴だろう」と二人の考えは一致する。
それが敵地に乗り込むことで危険だと感じたホンドは、ユンボクに「お前はじっとしていろ。何もするな」と言い聞かせる。
しかし、そう言われてじっとしておれるユンボクではない。これを追うのは父の死の解明にもつながることでもある。何より、師匠一人を危険にさらすことなど出来なかった。師匠は御真騒動で命を賭して自分を救い出してくれた。自分も師匠と運命を共にしたい思いがユンボクには(彼女には)ひそかに芽生えているのだった。
ユンボクは師匠と別行動で肖像画の獲得に乗り出そうとする。思いついたのはキーセン(妓生)になりすましてチャン・ビョクチュ(別堤)の誕生祝の席に紛れ込むことだった。
ユンボクはチャンヒョンの協力を得て、キーセン(妓生)に変装する。きれいで、初々しいキーセン(妓生)姿だった。
チャン・ビョクチュ(別堤)の誕生祝の場は活況を呈していた。それは貞純大妃一派の威光を示すものでもあった。
お祝いの席に乗り込んだユンボクの変装は、顔見知りらしいキーセンも見抜けないほどの変貌ぶりであった。
一方、ホンドもめでたい席での踊りを生業とする舞踏集団の一人としてその席に乗り込んできたが、ユンボクに似たキーセンを見つけて不安をよぎらせる。
チャン・ビョクチュ(別堤)はやってきたキーセン(妓生)らの中から、かわいいユンボクを選んで手元に呼び寄せるが、身近にいてもその娘がユンボクだとは気付かない。
しかし、チャン・ビョクチュ(別堤)のそばにあって酔狂の相手をしているだけではらちもない。ユンボクは厠に行きたいと願い出て、行動に移る。その様子をそれとなくマークしていたのは、父ビョクス(別堤)と同じように面食いの血を引く息子ヒョウォンだった。彼は機会を得て彼女(ユンボクとは気付いていない)を拐かさんものと後をつける。人気の絶えたところでチャンスとばかり声をかける。女装してきた(?)ユンボクにとってこれは渡りに舟であった。どうしたら絵の保管室に紛れ込めるかが暗中模索の状態だったからだ。女を一目で気に入ったヒョウォンは、自分が将来を嘱望される画員であることの自慢話を始める。その粋がりぶりがおかしかったが、ユンボクは笑いをこらえた。
ヒョウォンが自分に気付かず、自分への下心まるだしと見たユンボクは、精一杯の誘惑と媚でヒョウォンを逆用しにかかる。相手がその気なら、何も暴力に訴えるまでもない。気にいられるならこの女の願うことは何でも聞き入れてやろう。そう考えたヒョウォンは、五竹の最後の絵をユンボクに見せてやる。
おりしもそこへやってきたホンドともども絵の入手に成功した二人だったが、脱出寸前で発覚し、追っ手をかけられる。大事な絵だけ握って家を逃げ出そうとするが、追っ手の追撃が急で二人は逃げ出せない。ついに二人は捕まってしまう。
起承転結の転の動きが急である。思悼世子の睿真探索はいよいよ核心に迫ってきた。思悼世子を追い落とした貞純大妃一派の謀略と不正を白日のもとにさらけだすことができるのかどうか。その足もとは見えてきた感じだが、チャン・ビョクチュ(別堤)はこれまでになく手ごわい。二人はこの危機をはたしてどう乗り切るのか。
深まる師弟の絆と愛情。パク・シニャンとムン・グニョンの落花流水のしっとりした演技は、血みどろの権力抗争の中にあっても、生きることの楽しさや明るさ、充実感などを見事に表現している。
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