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【寄稿】アジアでの制空権リスクにさらす米国の対中外交 WSJ日本語版から転載

2013-12-17 20:50:04 | 

【寄稿】アジアでの制空権リスクにさらす米国の対中外交

ANDY FORBES AND MICHAEL AUSLIN

 先週のバイデン副大統領の東アジア歴訪には、中国が東シナ海上空に広大な防空識別圏(ADIZ)を設定したことで急激に高まった緊張を解消する効果はほとんどなかった。日中韓に対するバイデン副大統領のメッセージの隠れたテーマは「うまくいく方法を模索しよう」だった。米国の同盟国が明らかに期待していたのは、米国が空の無害通航権を重ねて主張し、昔から設定されているADIZに重なるような中国のADIZの設定を拒絶することだった。ところが、米国政府は混乱したメッセージを送り、は東アジアの空における中国の一方的なADIZの設定し直しを受け入れないことを同盟国に確信させることに失敗した。

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Anonymous/Associated Press

 
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 中国はADIZを日本が数十年前に設定したADIZに意図的に重複させた。そこには日中両国政府が領有権を主張し合っている尖閣諸島や韓国のADIZの一部も含まれている。日本政府と韓国政府は民間航空会社に対し、中国が民間機にも求めた運行情報とトランスポンダー・コードの事前通知に従わないよう要請した。それとは対照的に、米国務省は米国の航空会社に対し、そうした情報を中国に提供するように指示した。

 中国の挑発に対して米国が断固とした態度をとらないことが、韓国によるADIZの拡張の一因となった可能性がある。韓国のADIZは今や中国のADIZと重なる部分がさらに広がり、日本のそれとも重複している。

 報道によると、日本は通常通り、中国のADIZで自衛隊機を飛行させた。米国も2週間前、中国が設定したADIZに2機の「B52」爆撃機を派遣した。同盟国との合同飛行訓練を含むこうした任務を向こう数カ月間にわたって続けることは重要な意味を持つ。

 バイデン副大統領は北京で、米国は新たな状況を甘んじて受け入れつつあるというメッセージを送った。副大統領は中国と日本が危機管理メカニズムを構築することを強く促したが、もてなしてくれた中国の要人たちにADIZの撤回を求めることはなかった。新たに設定されたADIZは第一歩でしかなく、中国のそうした暴挙が今後も続くことは明らかであるにもかかわらず、そのような対応をとったのである。南シナ海のように緊張が高まっている地域が中国の次の標的になる可能性が高い。

 そのため、米国政府は、海、空、宇宙、サイバー空間といった特定の国家が支配していない公共の領域への困難なアクセスを狙った中国のさらなる挑発に対して覚悟しなければならない。ところが、米国は現在、軍事予算を削減しており、2020年代半ばには1兆3000億ドルほど削減されている見通しだ。

 アジアの空で米国と日本を挑発するほど中国が自信を持ち、北朝鮮が核兵器能力を持ち、イランが核保有に向けて前進し、軍事力を立て直して再び強引になったロシアがウクライナのような隣国に圧力をかけている世の中において、現在の米国の方針は非常に無責任である。強い米国なしの世界は平和が当たり前ではなくなる恐れがある。というよりも、かなり不安定になるのは確実だ。

 中国の最近の行動はいろんな意味で、米国は制空権のおかげで世界で唯一の超大国であり続けていることを思い起こさせてくれた。朝鮮戦争以来、米軍は重要な地域へのアクセスを拒否される心配もなく世界的に活動できてきた。地球上のどこであれ、米軍にはほぼ瞬時に破壊的な攻撃を仕かけることが可能だった。

 今後数年間の軍事予算削減にもかかわらず、連邦議会は今のところ唯一の次世代制空戦闘機計画である「F35」統合攻撃戦闘機を支持し続けざるを得ない。その背景には、特に中国、ロシア、イランが高度な防空技術に巨費を投じていることがある。

 同様に、内陸部の奥地の標的を脅かす信頼できる能力を維持するためにも、次世代長距離爆撃機計画への完全なコミットメントが不可欠である。米国は大国や核兵器能力を入手しようとしている小国による軍事行動を抑止するためにも、最大の兵器量を搭載でき、ステルス性能を持ち、敵からの攻撃に耐え得る爆撃機を配備しなければならない。

 米国には、紛争中の空域でも撃墜されずに長時間高速で飛行できるステルス無人機に投資することも求められている。南シナ海、北朝鮮、イラン、シリアなど危機をはらんだ地域が拡大していくなか、現在のシステムでは脅威を察知して反応するのに必要なすべての情報を米国や同盟国に提供できるとは思えないからだ。

 こうしたことの根底にあるのは、より優れた諜報能力、監視能力と防護性が高いコミュニケーションネットワークの必要性である。米国のコミュニケーションネットワークや衛星攻撃能力へのサイバー攻撃は米軍の作戦の有効性を損なわせかねず、中国は素早い勝利が得られると確信してしまうかもしれない。米空軍の世界的規模のコミュニケーションを維持する能力は、防衛計画おいて最優先されなければならない。

 中国は国力の向上がいかに軍事能力のさまざまな側面を米国が長く支配してきた領域にまで拡大させるかということを示してきた。今のところ、中国空軍が米国の空軍力に匹敵すると考える者はいないが、米国における政治的な意志の欠如と伝統的な優位性の着実な低下が組み合わされば、2020年代には劇的に異なる環境を生み出してしまうかもしれない。そうなったら米軍は50年以上ぶりに制空権に目を向け、自分たちは本当に安全なのかと疑問に思うことだろう。世界の安定を維持する米国の能力はますます試されることになる。

(共同筆者のJ・ランディ・フォーブス下院議員――バージニア州選出共和党――は下院軍事委員会の委員長で、中国議員連盟の会長も務めている。マイケル・オースリン氏はアメリカン・エンタープライズ研究所の日本部長で、wsj.comのコラムニストでもある)


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