http://the-liberty.com/article.php?item_id=13226
2017.07.07
《本記事のポイント》
- 財務省の挙げる「税収減の原因」に疑問
- 消費支出が34万円も吹っ飛んだのに、一言も触れられない!?
- 今までの増税と同じパターンを繰り返しつつある
財務省が発表した、2016年度の税収が、7年ぶりに前年度を下回ったことが、話題を呼んでいる。
財務省資料を元に編集部作成
全体の税収は、前年度より0.8兆円少ない55兆4686億円だった。法人税も5000億円減り、所得税も2000億円減り、消費税も2000億円減っている。各税収項目が、軒並み下がっている(上図)。
税収減の原因は「円高」「株価」!?
ここで気になるのが、財務省の"言い訳"だ。
7日付日経新聞の朝刊は、税収が減った理由について、「財務省は税収の大幅減は『特殊要因が大きい』と説明する」と報じている。
法人税が下がった理由として、「年度前半の円高で企業業績に陰り」と説明されている。「イギリスのEU離脱などの影響で、円高になったので、企業の輸出が減ったせい」という理屈だ。しかし、日本の経済規模(GDP)に占める、輸出(純輸出)の比率は1%ほどに過ぎない。
また所得税が減った理由については、「株価伸び悩みで譲渡所得減る」と書かれている。「株価が上がらないので、株を売った時などの収入にかかる税金が減った」ということだ。しかし、所得税収における、「株式等の譲渡所得等」の内訳は、5%程度に過ぎない。
財務省も各新聞も、税収が減った原因を、円高や株価など、経済全体にとっては"些細"なものばかりに求めているように見える。
壊滅している「消費」の二文字が出ない
一方、様々な経済指標を見てみると、経済規模(GDP)の60%近くを占める消費が、悲惨な状況だ。
下の図は、世帯ごとの消費支出の推移だ。2014年から、2017年の間に、各世帯の消費は年34万円も減ってしまっている。サラリーマンの月収、1カ月分だ。
総務省統計を元に編集部作成。「1世代1カ月間の収支(2人以上の世帯)の各年1月の名目消費支出額を、消費者物価指数(2017年1月基準)を用いて実施値とし、年間の消費に調整。藤井聡氏著書を参考
こうした「消費が弱い」「デフレから抜け出せない」という指摘は、GDPが発表されたり、日銀の失敗を語る時には、各新聞とも書いていることだ。なのに、なぜ税収の話になったとたん、「消費」の二文字が消えるのか。いささか不自然だ。
財務省は「2019年の増税延期をさせない」を目標としている
動機はある程度、予想がつく。財務省には、「2019年秋の消費税10%への引き上げを、再延期させない」という目標があるのだ。
内閣が6月に発表する、財政政策の方針のベースとなる「骨太の方針」から、前年まで書かれていた「消費税」についての言及が消えたことが、話題になった。「消費税がいけなかった」ということを、政治家は知っているのだ。今後、「消費税10%」を巡る、内閣と財務省の水面下の対決は、本格化してくるだろう。
そうした中で、財務省が「消費税のせいで、税収まで腰折れした」という認識を、持たれないようにしている。
各メディアも、財務省の公式発表を表立っては否定しない。日本中の経済情報を握っている財務省の機嫌を損ねてしまえば、経済記者は「商売上がったり」だ。貰えるはずのスクープ情報も、もらえなくなる。そして、出世ができなくなる……。また、10%に上がったときの軽減税率の対象から、新聞を外されては困るという事情もある。
こうした背景を知った上で、今回の「税収減」の報道は受け止めるべきだろう。
税収減は今後も続く!?
今後、税収減の傾向はさらに続く可能性がある。
というのも、今回の税収は2016年度のものだったが、図2を見ると、2017年の消費はさらに落ち込んでいる。
消費税を上げたダメージは、年々じわじわ積み重なって、3年後くらいから本格化すると言われている。「消費が減る→企業の売り上げが減る→給料が減る→さらに消費が減る」という悪循環が、少しずつ進行していくからだ。
消費増税の本当の怖さは、直接消費を減らすこと以上に、その負のスパイラルの引き金を引いてしまうことだと言える。
本欄でも指摘してきたが、実際、1990年に消費税を導入した時も、1997年に消費税率を5%に上げた時も、景気が絶好調の時に増税したので、税収は一瞬だけ上がった。しかし、それから1~3年の間に徐々に景気が傾き、税収も落ち込み傾向に向かっていった(下図)。
今回も、税収の推移のグラフが、同じようなカーブを描く可能性が高い。
財務省資料を元に編集部作成
財務省資料を元に編集部作成
財務省資料を元に編集部作成
本当に、将来的に安定した税収を確保したければ、消費税率を5%に戻す必要がある。ましてや、10%に上げることなど言語道断だ。
今回の「税収減」の原因を探ることは、これからの日本経済の命運を左右する重要な問題だ。財務省は煙に巻かず、国民も煙に巻かれず、しっかり議論していく必要がある。
(馬場光太郎)
【関連記事】
2017年4月6日付本欄 日銀の異次元緩和が4年目を迎える 黒田総裁は、安倍政権の被害者!?
以前の軽乗用車は7200円だったのが3600円アップの10800円になりました。
さらに、登録13年以上経過の場合は2100円アップの12900円になります。
合計5700円の増税で80%(倍近く)も一気に上がったのです。
登録13年以上の軽乗用車を使用している方は地方の高齢者が多いのです。
定年退職後には安い金利の銀行ローンは利用が難しくなり、新車買い替えを我慢して乗り続けている、もしくは数年落ちの安い中古車に買い替えをすることを選択しなければなりません。
政府は新車購入での経済活性化策を狙ったのかもしれませんが、結果は高齢者の税金負担が高くなったことは問題です。
消費税は収入の少ない高齢者や未収入の子供にまで一律に負担がかかる税金です。
必要な生活用品や日々の食料購入でも搾取されます。
大蔵省官僚は「愛」なき税制しか提案できない無智者なのか。
つまり公務員や官僚の給料も一般企業のように(税収を)稼げばあがる、稼ぎ(税収)が悪ければ下がる変動制にすれば、頭の良い人たちのコトですからすぐにでも「税収をあげる」ことに成功しそうです。
役人に「愛」を期待すると、彼らはすぐ〝弱者”側について社会保障費や助成金を捻出する為に「税金」を集めようとするので、税収を上げ財政を富ませることこそが、彼らに与えられた最大のミッションであると自覚してもらい、誇りにかけてクレバーに仕事をしてもらったら十分なんだけどね。
今の官僚制度は、どう考えても最高学府を出た人たちの頭脳を引き出すことに失敗してますね。
特に財務省!国民の懐に直接手を突っ込んで、如何に簡単に手早く税金を徴収できるか、そればっかり考えるノープラン・ノーアイデアの無能集団にしか見えません。
>江戸時代の初め頃、増税に反対してひとり立ち上がり、命と引き換えに減税を果たした若者がいます。
その物語を福井県若狭のFさん(私、はっちょ)から教えていただきましたので、今日はそのお話をご紹介をしようと思います。
「義民 松木庄左衛門」↓
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-1444.html
(後文引用)
>さて、今日の物語で、たいせつなポイントが2つあります。
ひとつは、増税というものは、その増税を図った年だけの問題ではなく、後々になって民間活力を大幅に削ぎ落すものである、ということです。
消費税率を現行の5%から、いきなり10%にするということは、いま現在、不況に喘ぐ国内企業や国内消費に、大打撃を与えます。
もちろん、増税を行ったその年、その瞬間には、たとえばシステムに設定してある税率のプログラムを修正するシステム屋さんや、ごく一部の益税となる人たちなど、増税によって一時的な利益を得る人たちも一部にはあります。
また、消費税率変更となれば、大型耐久消費財などの一時的な「駆け込み需要」なども発生し、それがごく一部の企業等を潤します。
けれど、ただでさえ円高に喘ぎ、苦しくなっている日本人の台所は、増税によって確実に益々厳しさを増すことになる。
なぜなら消費税率が10%になるということは、労働者の年収に占める年間の貯蓄高が、まるごと税金で持って行かれるという事態を示しているからです。
いざというときの蓄えがなければ、どこのご家庭でも困ってしまいます。
そうなれば、当然のことながら、消費はますます縮小する。
消費が縮小するということは、ますます内需を先細りにし、景気を悪化を深刻化させ、民需を疲弊させる。
そしてその影響は、何年もかけて出てくるのです。
そうです。松木庄左衛門が立ち上がらなければならなくなったのは、若狭藩の税率改定から約40年後のことです。
いまの時代は、当時と比べたらもっと変化のスピードが速い。
ということは、ほんの数年を経ずして、日本経済はまさに泥沼にまで大きくへこむことになる。
増税というのは、単にいっときの税率の変更という問題ではないのです。
何年も先まで大きな影響が及ぶ。
そして二つ目は、いったん上げた税率は、もとに戻すのは非常にたいへんなことになる、ということです。
ひとつの税制が生まれると、その税収を当て込んだ新たな国政の枠組みが生まれます。
それをくつがえすのは、たいへんなことなのです。
松木庄左衛門は、まだ10代の若者でありながら、ひとり勇気を持って立ち上がりました。
そしてあらゆる迫害に屈せず、初志を貫徹しました。
私たちも、私たちの国を守るために、ひとりひとりが立ち上がるときに来ています。