高速アクセス網の整備と併行して、地方の繁華街が死にかけている。
地方には、それぞれの地域に伝統的な、そして著名な繁華街が数多くあるが、今はあまり元気がない。
各地域は、官民一体となって、空港や新幹線、高速自動車道路の整備に真剣に取り組んできたからだ。
その結果どうだろう。
かっては一泊二日の行程で出張したビジネスマンは、今やほとんどが日帰りだ。
少なくとも、地方の繁華街は本来、官官接待、建設業界(土建屋さん)、出張ビジネスマンや彼らを接待をする現地駐在のビジネスマンあるいは地元のビジネスマンとの飲食の、所謂接待費を原資して発展維持されていた。
これが、彼らの出張が日帰りになり、官官接待がタブーになり、公共工事の絶対量が減り、各地域にあった支社や支店、営業所がその地域をカバーするハブ都市にサテライト型の出先機関を置くことにより、それらが廃しされ、サテライト型の出先機関に集約、統合されたため、繁華街の凋落は一気加速された。
東北の例を見よう。
青森、秋田、盛岡、山形、仙台、福島のそれぞれの県庁所在地には、全国区企業が支店や支社、営業所をおいて業務を執り行っていた。このケースから言えば、仙台は東北全体を統括するサテライト機能を持ち、各地域の出先よりは、高位の権限が集中する本社の出先機関として存在していた。
高速道路や新幹線網が無かった頃は、当時ハブであった仙台と各地域間のアクセスは大変な時間を要していた。
それが、今や岩手県北上市辺りに、サテライト型ブランチを設置することにより、各地域には、車で、あるいは新幹線や高速バスで日帰りアクセスが可能になった。
かって各出先は、地元の新卒者を毎年採用、雇用をしてきたものが、組織の統廃合により、若年層の雇用機会は減少し、各出先が入居していたオフィスビル空屋になり、オーナーの不動産事業も空洞化した。
多くのオフィスビルのオーナーは、所謂、地元の旦那衆、すなわち地方のリーディング企業であったものが、その経済活動の場を失った。
若年層が、地元での雇用機会を奪われ、旦那衆はその経済活動の源泉を失い、繁華街の赤い灯は消えかかり、ひたすら地方は<観光>にのみその活路を見いだそうとしている。
小手先の、アイデアや情報発信で観光事業が地方経済活性化の原動力になりえるだろうか?
高速自動車網の整備と新幹線整備に血眼になり、東京との時間的距離を縮めることが地域の発展につながると言った錯覚・幻想がいまだに一人歩きしている。
なんとかならないものか。