ノンフィクション作家の上坂冬子氏のコラム<老いの一括>は産経紙の連載コラムだ。
今日そのコラムで氏が闘病中で、入院中にNHKの深夜放送(ラジオ)を聞くようになった事が紹介されていた。
文中から推察するに<ラジオ深夜便・にっぽんの歌こころの歌>であろう。
深夜3時のニュースの終了後3時5分頃からの日本の歌謡曲を中心とした番組だ。
実は活火山のNHKラジオ放送とのお付き合いはかれこれ20年近くになるだろうか?
深夜に寝床でBGM代わりに聞いていたのが始まりだった。
と言うよりも、民放のラジオから飛んでくる騒々しいしゃべりと理解しがたい貧弱な日本語を聞かされる拷問にも似た苦痛から逃れるためだったと言う方が当を得ている。
やはり15年かそこらの古い話だ。
土曜日の午前中、TBSラジオでは<永六輔の土曜ワイド>で、たまたま昭和40年代かそこらにインドネシアかシンガポールへ渡り、以来そこで生活をしている日本人女性と国際電話での対談をラジオで放送されたのを偶然聞くことができた。
対談が終わり、永六輔のコメントの一つが
「とっても素敵な日本語が帰ってくることに感動した」と言うような事を言っていた記憶がある。
要するに、この女性が話す日本語は、女性が日本を出た頃の日本語が温存されていて、そこに正確で基本的な日本語の響きが残っている事への感動を永六輔が言いたかったのだ。
今、NHKラジオ深夜便を聞くことで、オーソドックスで聞く耳に優しい日本語をどうにか維持している活火山だ。
上坂冬子氏のご回復を期待したい。