Phonograph×Photograph

競馬場の達人を目指し、予想・血統・写真・旅打ちの記録を綴るブログ

種牡馬オルフェーヴルを考える(その2)~オーシャンブルーはオルフェーヴル産駒~

2017年07月27日 20時06分23秒 | 血統考察
ライバルの血を入れることで強くなるという笠師匠の格言があります。

望田ブログ「ライバルの血」
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/17e75184a1d0812b2d6a1f7d5f74b1c6

>ディープの代表産駒たちは、類まれなしなやかさと俊敏さを父から受け継いではいるのですが、一方で父が得意ではなかった分野で、父とはまた異なる“強さ”を発揮した名馬たちの血を取り込むことで、つまり父にはなかった新たな“強さ”を身につけることで代表産駒となったのです


オルフェーヴルの力は世界中のホースマン皆が認めるところだけれど、持ち前の気性の悪さから彼の戦績はディープインパクトに比べるとちょっと汚ない。
とは言えオルフェーヴルが3歳春以降、本気で走って負けたのはジェンティルドンナ、トレヴ、あと一応ソレミアだけである(全員牝馬ななのは男の性か)。これら3頭の血統表を見ると


ジェンティルドンナ...Lyphard 、Danzig 、Alydar、Never Bend、Bupers

Treve...Sadler's Wells、Danzig、Never Bend、Lyphard、Gone West

Solemia...Sadler's Wells、Mill Reef(Never Bend)、Lyphard


La TroienneとFair Trial的な血が多いことが伺えます。3頭とも先行して芝をガッチリ捉え、ピッチで馬群を抜け出してしぶといタイプをよく形容した血統構成。オルフェーヴルは折り合いを欠いたときを除けば後ろから差されたことはないですから、こういう血に負けたのも納得。
Bupersはハーツクライの母系ですから、あの阪神大賞典のギュスターヴクライ、生まれる時代が悪かったライバルウインバリアシオンなんかが想起されます。完勝ではないけれど、Bupersを持つことでオルフェーヴルに一泡吹かせるレベルに達するとも言える。


これらから配合のヒントを得たい。


全弟ドリームジャーニーがエレクトロアート≒Nureyev(Thong=Lt. Stevens全兄弟クロス)のニアリークロスで結果を出しているところから見て、Special牝系とは相性が良いはず。
加えて、先に挙げたようにLa Troienne的な血(Sadler's Wells、Never Bend、Bupers)に負けているという事実も加味して、最もオルフェーヴルに無い強さを補完できるのはSadler's Wells=Fairy Kingだと考えられる。洋芝をものともしないパワー、当たりの強さ、タフさ、内蔵の強さを付与できるはずだ。

まあ冒頭の望田師匠のブログにちょこっと書いてあるんですけどねw

そして、LyphardのFair Trialも重要な要素だと捉えます。SpecialにFair Trial、コディーノ的な小足を使うイメージ。

さらに言えば、オルフェーヴル産駒の写真を見ると曲飛が多い印象で、もしかするとネオユニヴァース産駒のようなタイプが多いかも知れない。つまり中山を捲るタイプ...ってめっちゃドリームジャーニー(とその産駒達)そのものじゃん。
中山を捲るなら馬格はあった方が良いので、オルフェーヴルもドリームジャーニーも小さかったですが、産駒は馬体重の大きな馬の方が走ると思います。
Danzigも内回り>外回りな血統ですし、基本的にはステイゴールドと同じく体質を締めてピッチを上げる方向性がオルフェーヴルにも向くと思います。


ごちゃごちゃ書きまくってしまいましたが、オルフェ産駒についてまとめると
・Sadler's Wells=Fairy King持ち牝馬と一番相性が良いだろう。ニックスだと思う。
・NureyevならLa Troienneも忘れずに。
・LyphardなどFair Trialな血も有効。
→とにかくピッチとパワーを上げる。
・また、配合の基本形としてオルフェーヴルはノーザンテースト(父Northern Dancer)4×3と濃いので、母のNorthern Dancerは薄い方が好ましい。Sadler's WellsがNorthern Dancer直仔なので、できればこの1本に留めたい。
・良い配合なら中山を小足で内を掬う/捲るタイプが多いはず。外回りや東京ならスローを先行して抜け出す競馬が合う。
・馬体重は大きい方が良い。




そんな感じで今年のオルフェーヴル初年度産駒一番馬はこの馬!
シンハラージャ(オルフェーヴル×シンハリーズ)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2015104819/



…だたの良血かよ!



そうです、良血は良血だから良血なのです。


理由は、
母の父シングスピールがSadler's Wells 、Never Bend持ち
(この2頭に限るとBold Reason≒Never Bend のクロスも生じる)
さらにForli(Fair Trial)、Haloで回転数アップ
血統表全体で3/4Northern Dancer、1/4異系でバランスも良い
きょうだいもアダムスピーク、リラヴァティ、シンハライト、ミリッサなど、違う父から全頭勝ち上がり、高確率で重賞馬が出るS級繁殖。

気性だけはどうにも分かりませんが、確実に走る血統だと信じています。




最後に、余談ですが「オーシャンブルー(有馬記念2着、金鯱賞、中山金杯)は未来から来たオルフェーヴル産駒だった説」

この馬、ステイゴールドA級配合に当てはまらなくて不思議だったんですよね。
母は「Never Bend、Lyphard、ドイツ」でNorthern Dancer1本。
これ、どっちかと言うと父ステイゴールドではなく、父オルフェーヴル=ドリームジャーニーで納得できる配合なんですよ。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008102978/
好走した際には内から抜け出す競馬をしており、La TroienneとFair Trialが入ったこととも合う。Halo≒Droneの効果もあるかも知れない。


だから、オーシャンブルーはオルフェーヴル産駒。字面も似てますね。
オルフェーヴル産駒は、まずはオーシャンブルーを目指せ!



オルフェーヴルに失礼か。

種牡馬オルフェーヴルを考える(その1)~オルフェーヴルはSadler's Wellsとニックス~

2017年07月27日 20時05分51秒 | 血統考察
オルフェーヴル産駒を考える記事ですが、(その1)では考えません笑


まずオルフェーヴルの父であるステイゴールドの配合について復習をしておきましょう。母父メジロマックイーン;通称ステマ配合は奇跡要素も大きいがちゃんと理由はある。

★Point 種牡馬ステイゴールドはサンデーサイレンスとロイヤルサッシュのお陰で筋肉が非常に柔らかい≒緩慢なので、一流になるには母に筋肉量と質の両方を底上げしてもらう必要がある。


【量】
ステイゴールドの血統表の中の筋肉成分であるノーザンテーストのクロスが手っ取り早い。また、ノーザンテーストとニアリーな血の関係にあるVice RegentやThe Minstrel 、Storm Birdでも代用可

オルフェーヴル=ドリームジャーニー、バウンシーチューン、トゥインクル…ノーザンテースト
ゴールドシップ…The Minstrel
レインボーライン… Vice Regent
キャットコイン…Storm Bird


【質】
量だけではボディビルダー、それを正しく動かせてこそアスリート。DanzigやRibot、そしてWar Admiral×La Troienneの子供達の硬肉で締める

オルフェーヴル=ドリームジャーニー、ゴールドシップ...メジロマックイーン祖父メジロアサマのBlue Eyed Momo
フェノーメノ…ディンヒル(Danzig、His Majesty 、Buckpasser)
ナカヤマフェスタ…ディンヒル
ステイインシアトル…Danzig、Buckpasser
ココロノアイ…ディンヒル


さらに先に挙げたThe Minstrel の祖母Flaming PageはNijinskyの母。すなわちNijinskyも比較的ノーザンテースト的要素が多い。そしてNijinsky×Buckpasserの組み合わせと言えばマルゼンスキー。ナカヤマナイト、シルクメビウス=ウインガニオン、マイネレーツェルがマルゼンスキー持ち。Nijinsky+Blue Eyed Momoの組合せはステマ配合フェイトフルウォーがいる。


これら筋肉要素が無いとパワー不足で、坂のあるコースは不得手になる。ステイゴールド産駒の初期はこの手の馬が多くサンライズマックス、エクスペディションなど夏のローカルでの活躍馬が。


裏を返せば、柔らかいGold Diggerを母に持つMr. Prospector との相性は悪く、牡馬ではほとんど活躍馬がおらず、パワーが無くてもキレで通用する牝馬でチラホラ。アルコセニョーラ、ウインプリメーラ、アドマイヤリードなど。
ウインブライトはミスプロ持ちだが、ゴールデンサッシュ≒アドマイヤマカディの黄金配合+Nijinsky 5×5(マルゼンスキー)でG2まで勝つことが出来た。しかしながらデビュー戦は府中の坂を全く登ることができないレベルでパワー不足だった。「ノーザンテーストは三度成長する」を垣間見ましたね(PO馬なので熱く語りすぎた)。

似た思考でSadler's WellsやRobert持ちのパワー型もオープン級は結構いる。土砂降りの函館記念をRobert持ちのマイネルミラノが逃げ切ったのも記憶に新しい。


という訳でステイゴールド産駒の重賞馬をほとんど列挙してしまいました。これで概ね種牡馬ステイゴールドのイメージが掴めたと思います。
ステイゴールド自身、晩成型で筋力がつくまで時間がかかっていました。その弱点を早期に効率良く解決するのがこの配合の妙味ですね。




さて、ステイゴールドの筋肉を頑強にしたオルフェーヴル。
G1 6勝。凱旋門賞2年連続2着で初年度はあわや勝利というところまで至った。引退レースの有馬記念では9馬身差の大楽勝。そんな名馬がガチンコで戦って敗北を喫した馬、彼女らの血からオルフェーヴル産駒のヒントを得ていきたいと思う。


その2に続く。