私は昔から家事をしながら何かしら聴いている人なので、音楽ばかりでなく朗読ももっと普及してくれないかなとずっと思っていました。
アニメ・ゲーム界隈では「ドラマCD」というものがあって、ひと頃はそれを重宝して聴いていましたが、もっと一般的な小説の朗読は出ないものかと願っていたものです。
それが近年「オーディオブック」という形で急速に発展してきていて、嬉しい限りです。
出始めは生の人の声ではなく、AIによる自動読み上げみたいなところから始まって、それはやっぱり発音や抑揚という面で聞くに堪えなかったけど、最近はちゃんと生身の人間による朗読が増えてきた、というか、一般的になってきました。
ただ、いざ使ってみよう、と思ったときに、はたして「ながら聴き」で小説をしっかり聴けるのかな、聞き流してしまうのでは作家にも作品にも申し訳ない、という不安が出てきて、しばらくは「お試し」をちょこちょこ聴くだけでしたが。
今回、Amazonオーディオブック❝audible❞に「これは是非聴きたい!」というものを見つけて、本腰を入れて聴いてみました。
西加奈子さんの直木賞受賞作「サラバ!」という小説。
ナレーターは俳優の松坂桃李。
この作品にはぴったりのキャスティング・・・とは言わないかもだけど、すごく合ってました。
もとからして文庫で上中下の大作、オーディブルでも上:7時間48分、中:7時間18分、下:6時間38分、合計21時間超という長丁場の朗読は、もちろん何日もかけて録ったのでしょうが、それでも、男女問わず登場人物を演じ分けながら一貫性を保って読み続けるというのはとても難しいことなのではないかと想像するので、そのことにも感動しました。
弱点かなと思ったのは、読む-聴くという中では日本独特の「漢字」による表現が難しい事。
今回の「サラバ!」に関しては、主人公の名前が「あくつ」という苗字なんですが、脳内イメージでは「阿久津」さん、でも実際は「圷」さん。
主人公の姉の名前は「タカコ」、それも、私の脳内イメージでは、そのキャラクターからはどの漢字もイメージされずカタカナで「タカコ」だったんだけど、それも実は「貴子」。
内容的に、これらの名前にも作者としてはこだわりがあったんじゃないかなと思われるので、その点では日本語の小説を「聴く」ことにはちょっと限界があるかも、とは思いました。
そして、西加奈子著「サラバ!」について。
中東と大阪、東京を行き来しながら進む物語は、登場人物もバラエティに富んでいてカラフルです。
進行役の歩(あゆむ:主人公一家の息子)の人生を中心に進む物語は、歩の人生が途中まではそうであるように、前半はちょっと冗長にも感じます。
ただ、ラストに向かって大きくうねっていく流れからは、作者の思いの強さも感じられました。
「自分の信じるものを人に決めさせてはならない」というテーマは、今の時代に生きる人にとってはわかっていても難しいことだなと思うけど、それを追求していくのが人生だよ、ということなのでしょう。
今は、村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」を聴いています。
語りは俳優:藤木直人。
めっちゃいい声。ソフトな語り口。小難しい村上春樹作品(^_^;)を軽やかに聴かせてくれています。
たくさんの作品が上がっていて、名前の知らないナレーターさんも多いのですが、村上春樹作品は別格のようで、各作品、語り手が木村佳乃、高橋一生、永山瑛太、イッセー尾形、仲野太賀、松山ケンイチなどなど、錚々たるメンツです。
途中で読むのを挫折した「IQ84」も、杏・柄本時生というこれまたすごい二人で出ているので、来年は「オーディブルで村上春樹イヤー」になるかもしれません。
本の音読、子供のころは好きで得意だと思っていたんです。
でも最近、結構な厚さの小説を音読してみたことがあって、10ページぐらいを読むのに30分ぐらいかかって、とっさに読めない漢字もいっぱいあって、もうそれで疲れちゃって
音訳というとやっぱり朗読、音読なのでしょうか?
俳優さんもありすさんもすごいです~、尊敬します
聴くだけに集中すると逆に疲れてしまう気がするので、頭を使わない単純作業の時などのながら聴きに良いように思います。
途中でやめてもそこから再開できるし、戻ったりもできるので、そこは本を読むのとあまり変わらないかな。
小説だけでなくノンフィクションとかジャンルもいろいろありますよ~
私は視覚障がいの人のための音訳というボランティアをしているので、音で読むことのジレンマ、わかります。
漢字説明したいけど、いらん!と言う人もいるんですよね。
読書嫌いを公言している私ですが、本には興味あるんですよ。試してみようかしら?