一反百姓「じねん道」【百姓の100章】『農的ワークライフバランス』実践と研究日記@斎藤博嗣&裕子*4人家族(夫婦子供2)

2005年、東京から茨城県阿見町の農村へ夫婦で移住し新規就農。
こども百姓「じねん童」2人と家庭自給生活を自学自習中

『中医研だより』No146吉田久雄さん「医、食、農、自然のつながりを考える!」

2010年06月15日 | 一反百姓「じねん道」斎藤ひろつぐ&ゆうこ
 下記の文章は中国医療研究協会が発行している
「中医研だより」No146 2010年6月15日発行
で吉田久雄さんが書いた文章です。

以前に吉田さんが書いた文章はこちら



「医、食、農、自然のつながりを考える!」


  中医研は、医療専門家と会員が協力して人々の健康に貢献するという趣旨で出発致しました。鍼灸・漢方の臨床部門と理事会(事務局)を中心とした運動分門の両輪でさまざまな活動を行ってきました。臨床と運動の両輪で活動をすすめて行くということが中医研の特徴であったと思われますが、25年間、事務局と運動部門を担当してきた立場から最近感じていることを簡単に問題提起します。

  中医研設立から十数年間は、主に中国陝西省衛生庁との鍼灸・漢方医学交流が中心で盛んに行われ中医研の基盤が構築されました。一方、さまざまな医療・健康問題の活動を行うなかで、絶えず問題意識をもってきたテーマが病気予防です。
医学・医療は病気を「治す」ことと同時に、病気をいかに減少させて行くかとい視点をもって活動することが運動部門を担当するものにとってとても大切ではないかと思いました。

  今日、西洋医学の医療技術は目を見張るものがあり、多くの人々はその恩恵を受け西洋医学はなくてはならない存在になっています。一方、西洋医学も万能ではなく克服すべき課題も当然ながら多々あると思われます。

  そんな中、医学が発達し医療技術が進歩して病気の数は少なくなっていない現実もあります。糖尿病は予備軍を含めると1800万人、アレルギー疾患やがん患者も増加傾向です。とくに最近気になることは、30代のうつ病の増加や欧米食で若い人の乳がん患者は増加の一途を辿っていると聞いています。どうして医学が発達し医療機関が増加しても病気が減少しないのでしょうか? こうしたなか、病気の減少の目的の一環として、ささやかですが、医療や健康問題と平行して自然や食や農についてさまざまな問題提起や活動をこの十数年間行ってきました。

  医食同源という考え方があります。医食同源という言葉は中国ではなく近年日本で造語されたと言葉といわれ、医と食は切り離せない、食によって病気にもなるし食によって病気を治すとい考え方です。もちろん食だけで病気を治すことはできませんが、食は健康維持するうえで大切ということは誰もが納得できると思われます。食生活は、各国の気候風土にあった食が前提と思われますが、その食と農も密接につながり、切り離すことはできません。私たちが毎日口する米や野菜は農によって食になり体内にもたらさせます。だから農が歪めば、自然や食も歪み人体(心)にも影響を及ぼすことが当然考えられます。そしてその農は、自然との関係で成り立っており、自然をぬきに農も語れません。つまり、医と食と農と自然はつながっており、ある意味、基本的に医も自然をぬきに語れないと思います。だから自然と医のつながりが不透明な場合は、どんなに医学が発達しても病気の減少に結びつかないと私は考えています。とくに東洋医学、鍼灸や漢方は人体をまるごと見ることはもちろんと思われますが、同時に、人体だけでなく人と自然との関係性や自然体の 生き方や心の有りようまで踏み込む必要性を感じています。人間の命を支えている自然が存在しての人の命と健康です。その延長で考えると自然が病めば人体も病むということがマクロ的にもいえると思われます。だから自然を見失って健康とは何かを語ってみても部分的、表面的にならざるをえないと思われるのです。

 ところで、人間は自然に生かされているにもかかわらず、自然を征服の対象にした近代西洋の考え方は、一言でいえば、自然と人間の分別・分離です。今、おかしな「自然観」はさまざまな深刻な歪み(環境や人の心)を生み出し、人間自身の住家(地球)まで脅かしはじめ、かつてはいなかったウイルスも人間が発生させ病気を「造っている」現実もあります。

 私たち「先進国」に住む多くの人たちは、自然から離れ、不自然な仕事・生活を余儀なくされている面も多々ありますが、人間は紛れもなく自然の一部であり自然の子です。人間の遺伝子は植物や動物や微生物とほとんど同じといわれています。「鉄腕アトム」のように科学の子ではありません。何かにつけよく科学的でないとかいう人もいますが、科学的に生活している人を見たことがありません。人体と同様に科学といってもほんの一部分しか見えていないと思われます。つまり、人間は自然の一部であり自然の子であるがゆえに医や健康を考える場合も、自然観や自然と人間の関係性が決定的に重要であると思われます。この観点は、医、食、農だけでなく、命を支えている自然を基本にするという事は、働くことや教育など生活全般であり、生かされ生きる根幹ではないかと思われます。自然を前提に考えると、今日では多くの人が難しい面も多々あると思われますが、自然に沿って自然体で生活することが何より大切で健康(医)を考えるうえできわめて重要と思われます。

 自然は、私たちの身体も含めすべてのいのちを無心で生かしています。この現実、子どもたちに「自然が命を生かしている」と話をすると子どもたちは了解することが多いのです。しかし、近代の考え方がしみ込んでいるからでしょうか?それに伴って余りにも自己中心的な「自己中症候群」が広がって「いのち」が見えなくなってしまったからでしょうか? 大人はこの単純な話を受け入れない場合がしばしば見受けられます。

 有名な話ですが、日本の近代以前の村々の人々と自然観が近い考え方をしていたアメリカ先住民は、350年先の子孫の幸福を考えすべてのいのちを敬い、精神的基盤を確立し日々の生活をするという価値観がありました。近代以降は、自然と人間の関係性や祖先や子孫のつながりを分け、人間中心の目先の利害を優先し「いのちのつながり」が見えなくなってきているように思えます。結果、現状のままでは人類の「自滅」をも危惧する人も増えてきました。

 いずれにしても、医や健康を問題にする場合、自然にまなび、自然や農に多くの人々が触れ実践してほしいと願っています。いのちは天上ではなく私たちの目の前にあります。そこから,医とは、健康とは、生かされるとは、大切なものが見え、一人ひとりに明るい未来の日が差し込んで来ると確信している今日このごろです。皆さん、ご意見、ご批判をお寄せください。

 

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いつもお世話になっている「中国医療研究協会」さんは
「草木堂野菜店」という名前で、
東京都豊島区南長崎の8畳程の部屋で、
野菜販売をしています。
「じねん堂」の商品もお取扱い頂いています。

 

■取扱店No.24

●『草木堂野菜店』さん

中医研の玄関先で日常野菜販売している方が、
東京でも毎週木曜日(午後1時~6時・祝日を除く
に野菜販売をはじめました。
中医研で行なわれている朝市と同様に野菜販売は、
「農に触れる人が増えること」 の一環として行なっています。
ご来店お待ちしております!

・住所
東京都豊島区南長崎5丁目22-8
・アクセス
西武池袋線 東長崎駅から徒歩3分
としま昭和病院の通り、柳沢医院斜め向かい
・TEL
080-3546-4213
・営業時間
毎週木曜日の営業(祝日を除く)
13:00~18:00.


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