こんにちは
独自の感想で柔道の大会を綴ることで定評がある私ですが、先日、勝ってもないのにejudoの古田さんに認識されていました。弟の監督が古田さんなのですが、私の話になったそうです。弟はとあるカテゴリーで(たぶん)柔道日本一になりました。
そんなことはさておき、先日の講道館杯について、同世代の一部の千葉県民しかわからない概観について記そうと思います。講道館杯なので、みんなわかるはずですけど。
今年も学生の台頭が目立つ大会でした。同時に昨年のグランドスラム東京への派遣方針について一層疑問が残る内容でもありました。決勝戦に学生が進出した階級は、81kg以外の6階級でした。また、昨年のグランドスラム東京のジュニア枠の選手も、半分近くの階級で講道館杯を勝つ上がれていない結果を鑑みると、自国開催のグランドスラムでジュニアの経験値を積ませることの意義が問われても仕方がないと思います。
60kg級、入賞者の中でも一目置かれたのは関本選手(明大)でしょう。昨年はインカレ2位、今年は3位に留まるも、幼い頃から全国区だった彼が一昨年の強化選考試合に次ぐ、シニア2度目の準優勝を果たしました。初戦の白金選手(筑波大)へのリベンジを始め、持ち前の技巧的な柔道と勝負強さで、ついにグランドスラム東京への出場を決めました。彼が中学時代に口にしていた目標が次々に達成されていきます。さすがですね。
66kg級では高校2年でインターハイを制し、階級を上げた小野選手(日体大)の初優勝となりました。勝ち上がりも同世代の強化選手を倒してのものであり、同世代のみならずシニアでも頭角を現した形となりました。しかし、印象深かったのは実業個人のトップ2である大島選手(旭化成)と關選手(専柔会)の初戦敗退でしょうか。実業団、学生、警官、様々な選手が入り乱れる講道館杯で勝ち上がる難しさを見せつけられたように感じます。
73kg級では、その關選手のあとを追うように習志野高、専大へと進学したWCT王者の鎌倉選手(専大)、NPOかずさという道場出身の田中選手(パーク24)、その後輩で福岡・白銀中で研鑽を積み、地元の木更津総合高へ進学した阿久津選手(國學院大)という千葉県民3人が並んだトーナメントでしたが、田中選手が勝ち上がり、3位入賞でした。千葉県民混戦のこの階級を制したのは、体重別団体では鎌倉選手に破れた田中選手(筑波大)でした。国スポ、体重別団体と連戦でしたが地力を見せつけました。
81kg級、藤原選手の復活優勝が注目されましたが、その陰には2人の、優勝候補にして千葉県関係選手の姿がありました。2回戦で藤原選手とマッチアップした、兄が私と仲良しでお馴染みの伊澤選手(明大)は、9分以上の試合の結果、一方的に指導を積んでしまう形となり敗れました。その後、木更津総合高出身の北條選手(パーク24)が3年連続の決勝戦に挑みましたが、今年も残念ながら準優勝という幕引きでした。指導差では優位に立っていたものの、藤原選手の鋭い体落が決まり、一本が宣告されました。
90kg級で特筆すべきは、坂下選手(北大)も衝撃を受けていましたが、やはり徳持選手(明大)の初優勝でしょうか。ご存知でない方も一定数いると思いますが、同世代の中では全国大会常連の選手の一人です。私の高校の同期の井上選手(防衛医大)の全中初戦の相手であり、昨年の森選手(現パーク24)の初優勝を付け人として間近で目にした選手です。インカレでは、今回3位の岡田選手(国士大)に敗れましたが、今大会の再戦で岡田選手を退けました。決勝の相手は千葉県船橋市出身の川端選手(国士大)でした。優勝大会では学生カテゴリー初出場ながら中大戦で敗れた川端選手は強豪学生に2度目の敗戦となりました。学生柔道はシニアともジュニアとも異なる体系であるように感じざるをえません。
100kg級は高校、実業団とを千葉県で過ごしている畠山選手(京葉ガス)が3位に入賞しました。畠山選手の世代は、東海大浦安が最後にインターハイ団体戦に出場したチームです。それ以降、千葉県は木更津総合高の一強となりました。後にレギュラーメンバー5人中4人が講道館杯に出場した2020年度、個人戦日本一経験者を3人擁した2022年度には習志野高があと一歩まで追い詰めましたが、県外出身選手で塗り固めた牙城を崩すには至りませんでした。2022年度インターハイでは、木更津総合高が代表戦を一度も行わずに日本一に戴冠したこと、金鷲旗で千葉県2位なのに習志野高が3位に入賞したことから、千葉県の異様な情勢に衝撃が走りました。なお、2022年度の木更津総合高のチームからは4人、習志野高のチームからは3人が後に講道館杯に出場することとなります。
00kg超級は、東海大主将にして今年の学生王者である中村選手が私の先輩である木元選手(日本製鉄)を下して初優勝を飾りました。王子谷選手(旭化成)を始め、ベテラン選手が衰えず、永く覇権を握るこの階級で一昨年の選抜準優勝を皮切りにシニア一線級の選手となった中村選手が初のシニアタイトルを獲得しました。木元先輩はこの日、素晴らしい勝ち上がりで決勝に進出しました。学生3位にして一昨年のインターハイ王者高原選手(日体大)、学生2位の森田選手(東海大)、昨年の実業団で敗れた香川選手(ALSOK)、一昨年の講道館杯王者高橋選手(旭化成)をオール一本で下し、決勝も終始優勢に進めましたが、惜しくも返し技を喰らい、一本負けでした。しかし、今回の結果を受け、グランドスラム東京の日本代表に初選出されました。木元先輩の国際大会は5年前に優勝したヨーロッパオープン・オーヴァーバルト以来です。更に、来年の選抜、講道館杯への出場も事実上確定しました。斉藤選手(ジャパンエレベーターサービス)が頚椎ヘルニア手術の療養中ということもあり、この階級は混戦状態です。この勢いのまま、勝ち上がれば、世界選手権も見えてきます。現に中村選手には昨年の講道館杯で勝利を収めているので、世界の舞台で活躍する日が来ることを願ってやみません。千葉県出身といえば、同い年である窪田選手(清和大)も触れないわけにはいかないでしょう。初戦で巨漢の奥野選手(大阪府警)に敗れたものの、インカレの勝ち上がり含めて、素晴らしい試合運びでした。
例年は見てても特に感情は沸かないのですが、今年は出たかったという悔しさを抱きながら観る講道館杯でした。出場権取得がおそらく最も容易な学生のうちに、何としても出場を目指したいところであります。