アイデアリズム idealism daydream

光の中の闇



 「考え事イロイロ/木々に実った実」を書いたので、もう一つ。

自分が変わらなきゃ、何も状況は変わらない・・・
ほんの少しの努力や勇気でいいんだ・・・それだけで・・・

 分かっていても、どうしても出来ない自分。体の変化も相まって、学校は以前にも増して嫌でした。

 そんな私に対して何気なく声をかけてくれた男の子がいました。きっかけは何だったのか忘れましたが、休憩時間中にトランプかなにかをしてて「君もやろうよ」みたいな気軽な感じで。その男の子は普段から明るく優しい感じで「私もああいう風になれたら良いなぁ・・・」と前々から思っていました。
 それからというもの、私はその男の子のグループに加わる事ができ、一緒にお弁当を食べたりして、やっと私は少しだけ人付き合いができるようになりました。高校生という事もありグループのメンバーそれぞれが遠方の家だったりしたので「ほとんど学校だけの付き合い」でしたが、私はそれでも良かったと思いました。

 夏休みだったか冬休みだったか・・・少し記憶が曖昧なのですが、休みが終わって学校が始まりました。
 学校が始まったというのに何日経ってもその子は来ませんでした。先生が出席を取る時もその子の名前を呼ぶわけでもなく、席もロッカーも何もかも無くなっていて、まるで最初からいなかったかのような感じでした。
 不思議に思った私は、メンバーの人に聞きました。

「○○君、どうして来ないの?」
「××ちゃん(私の名前)知らないの? ○○君・・・自殺しちゃったんだって・・・」
「えっ」

 私は突然の事に言葉を失いました。その子と自殺とをどうしても結びつける事ができませんでした。悲しいとか寂しいとか、そういう感情さえわきませんでした。
 詳しい話を聞いても「何か思い悩んでいた(何なのかは不明)」「橋から飛び降りた」「葬儀はこういう事情ということもあり、家族と身内だけでひっそりと行われた」くらいしか結局分かりませんでした。

 その子がいなくなってからも学校生活はいつもと何ら変わらず淡々と進んでいったように思われました。まるでその子が初めからいなかったかのように。私は心の中にポッカリと冷たい空気が流れるような穴が開いてしまったように感じました。

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 今ではその子の顔や名前がハッキリと思い出せません。ジグソーパズルのピースがいくつか欠けているような、そんな感じです。
 もっとたくさんお話がしたかったし、あの光のような明るい笑顔のうらに潜む私の知らなかった闇の部分・・・非力な私でも少しは明るく照らしてあげられたかも知れなかったのに、とも思いました。

 残された私は一体どうすればいいんだろう。
 途方にくれて気持ちの整理のつかないまま卒業してしまった私は、そう思いました。

 私は心の片隅で、今でも時々埋まらないジグソーパズルのピースを探しています。

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 私が学校生活で学んだ事。いくら苦しくても辛くても手を差し伸べてくれる人がこの世には必ずどこかにいる事。自分は一人で生きているのではなく、みんなにそっと助けられながら「生かされている」のかも知れない、という事でした。

 他のみんなはこの子たちをどう思っていたのかは分かりません。しかし、私にとっては木の実をくれた女の子と、声をかけてくれた男の子はかけがえのない友達でした。
 二人とも今はこの世にはいないけれど、天国というモノがあるなら私を見守ってくれていると思います。
 もし、私の事をすっかり忘れてしまって見守ってくれていなくても大丈夫。私が生きている限り、二人が私にくれた思い出を私は忘れる事はないでしょう。
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