その1から
「3.」はポリオによって歩けなくなってしまった子供たちの生活の様子でした。この番組には珍しく「明るく前向きな内容(と言っても過酷だけれども)」でした。
私が一番印象に残ったのが「2.」のアラジ君とサヨン君。
アラジ君一家は内戦に巻き込まれ、ゲリラによって両親を殺されてしまったため今はおばあさんに引き取られ生活しています。
そして皮肉にも現在アラジ君たちは、大人たちが掘り尽くした(であろう)採掘現場の片隅でダイヤモンドを探して生活をしています。
アラジ君とその兄弟:「ゲリラにお父さんは頭を銃で撃たれて、お母さんは手足を切られて死んじゃった。
お父さんが撃たれた時、血がいっぱい出て(それを浴びて)僕らは"僕、撃たれたよ!"って叫んだんだ。ゲリラはお母さんを"レイプしてから殺そうか"って言ってたんだ。だから"レイプしないで"って言ったんだ」
アラジ君のおばあさん:「ゲリラに襲われた時、この子たちを抱えて必死にジャングルへと逃げたの。一緒だったサヨンだけがいつの間にかいなくなってた。サヨンが無事でありますようにって神様に毎日お祈りしたわ。
それから1ヶ月後、ジャングルの中でサヨンが見つかったけれど全身ミツバチに刺されてた。そしてサヨンは(別人のように)変わってた。言葉を一切話さなくなっていたの。ストレスを感じると(誰かに)石を投げたり、自分の腕をかんだりするの。
サヨンは私達の言っている事は理解しているわ。
でもこの子たち(アラジ君たち)と違って、既に目の前で両親が殺された時には物心がついていた。ジャングルではぐれた時にゲリラに見つかって殺されないようにと言葉(や声)を捨ててしまったの。
サヨンやアラジたちの将来がとても心配。私はジャングルに逃げた時に足を壊してしまって思うように働けない。
もしお金があったらアラジたちを学校に、サヨンを聾学校へ入れる事も出来るのに・・・」
アラジ君は懸命に働いて家計を支える一方で、兄のサヨン君に「サヨンって言って」と話し続けます。
言葉を失ってから4年後、サヨン君が最初に話した言葉は「(お父さんやお母さんは)死んだ」でした。
私の感想は、
これが私達のリアル(現実)
かなぁ・・・と。
もちろん私はサヨン君ほど重篤(サヨン君は心的外傷後ストレス障害かも知れない)ではありませんし、環境にも恵まれている(治療を受けているから)と思います。
しかし「精神が傷ついている」と言う点について、サヨン君の気持ちが何となく分かる気がします。
一旦精神が傷ついたり壊れてしまうと、回復にはとても長い時間がかかります。「周りの人の間違った解釈や理解」が一層そうさせてしまうのもあるかも知れません。
アラジ君はアラジ君なりに懸命となってサヨン君に「昔のように話してもらいたい」と願っています。が、サヨン君にとってはもしかしたら"その期待が重荷になっている"かも知れません。(ナラティブセラピーの再帰性と再犠牲者化)。
「何か言ってよ、サヨン」というアラジ君の言葉に、私はTVの前で「そんな事を言っちゃダメ!」と思わず叫んでしまいました。サヨン君は非常にナイーブな状態なので彼に何かを期待すると症状が悪化してしまうからです。もちろんアラジ君に悪意が無いのは分かっています。
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貧困や格差、将来への不安(先の見えない未来)、傷ついた心・・・とグルグル悪循環を続ける様を見て、ただただうなだれるばかりの私がそこにいました。
私に出来るのは「まず知る事」でしょう。無知で何も知らないのはどんなにも愚かな事か少しだけ分かった気がします。
ちなみに私の誕生石はダイヤモンドです。この石ころがどれだけの人の血を吸っているのかと思うと心が痛くなります。