アイデアリズム idealism daydream

銀行強盗達人事件

おつかれっすぅ!

強盗は予告も無しにやってくる。

何故なら、予告したら怪盗になるからだ。

正面から堂々と乗り込んで制圧する、というのはいかにも「男の犯罪」ッて感じで後々とっつかまってからも刑務所内でいいカオになれそうである。

その良さは捨て身である、というところにポイントがある訳で、捨て身である以上かなりの高確率で逮捕されるのは、まあしょうがない。

やってる事はモヒカンの野盗と同じだけに、余り賢い人間のやる犯罪じゃない。

機関銃でもあるならともかく、「拳銃のようなもの」とか、「バールのようなもの」では、オノ・ヤリと大して違わないではないか。

装備の貧弱さは数でカバーできないか。

100人ぐらいで押し掛けたら制圧は可能ではないのか。

種子島には恐るべし、170頭が押し寄せた。

何が?

イルカが。

マイルカ科カズハゴンドウか、ユメゴンドウらしい。

漢字で書くと、和葉権堂か夢権藤だろうか。

ああみやびな響き。

「なごんでないで手ェ貸せッ!?」

そう、落ち付いてる場合ではなかった。

町職員は通常業務を放り出し、サーファーはボードを投げ捨て、地元地域住民はメシも食わずに海岸へ駆け付けたという。

時あたかも沖に陽光輝く午前6時。

早朝から何をやらされるかと思えばバケツでイルカに水をぶっかける、ぶっかける、ぶっかける!

アホーッ、目ェ覚ましてとッとと帰らンかィ!

体長2メートル前後のイルカは容易な事では帰らない。

ついに出撃ショベルカー。

重機まで繰り出しての戦いの末に、尚も40頭程が死んでしまった。

なんということだ!

しようのないやつだな。

勝手に押し掛けて来て死ぬなよ。

ヘトヘトの体にムチ打って、住民の方々はイルカを霊眠させた事だろう。

だが。

こういう話が大好きな人達がいる。

私、じゃなくって。

「非道なジャパニーズ、イルカをなぶり殺し!」

「女性や子供まで混じって暴行を加える凄惨な現場!」

「クジラばかりかイルカまで、殺戮を楽しむ東洋のデビル!」

言いたい放題だな西洋人。

皆で朝ッぱらからイルカを海に押し返してるッてのに、大変な言われよう。

イルカの命は東洋のサルより重い。

言い易い所に文句を言うのは大概ラクなものである。

環境・動物保護系圧力団体も人の子の集まり。

本来手強い敵に立ち向かうための団結のハズが、やっぱり手強い敵は手強いから手頃な敵からツブしときましょか、というような事が往々にして起きる。

それではやってることは企業や政府と同じような気もするが、「自然保護」やら「動物保護」やら一見正しいッぽい口当たりの良い事を言ってるうちにそういう事は気にならなくなるらしい。

だって正しい事をしてるンだもの。

一方的だ! の抗議の声は、空気だッから聞こえない。

なにしろイルカは頭良いのだぜ。

それに見てよこのつぶらな瞳!

こンな可愛いイルカさンいじめるなンてひどいわひどいわ。

ここで「グランブルー」も流して、と。

なンかリゾート地のイメージ・ビデオみたい。

そう、リゾート。

「可愛いからイルカさンいじめちゃダメ」というような環境保護を訴える人々は、つらつら見ていると、ご近所にイルカがいなそうな人々でありはしないか。

お綺麗な都市に住んで、ステーキやらダイエット・コーラをむさぼり食ってる現代人じゃないのか。

ヴァカンスで「イルカの声を聞こう体験ツアー」とか参加してる人々ではないのか。

どうも、海辺の直でイルカと勝負している人々の心情を汲むに足るだけの神経があるような気がしない。

イルカのいない安全で暖房の効いた部屋にいる人間が一方的に、イルカの泳ぐ寒風吹きすさび板子一枚下はあの世やで、なところで共生している人間におありがたい事に説教するのか。

え?

「説教」じゃなくて「忠告」ゥ?

ま、言わせとけ言わせとけ。

働きもしないで抗議活動していても生活できるご身分の人々に、魚網破られて収穫はパー、半月分の収入が消滅し、修理費は借金で丸赤字、なンて零細漁業の厳しさは分からない。

インターネットでは、海岸に転がるイルカの群れをイルカ臭まみれになりながら歯を食いしばって押し返す気色の悪さは読み取れまい。

地元で魚を獲って生活する、という事は、イルカと魚の取り合いになる事に他ならない。

生活を賭けて勝負するに等しい。

「じゃあ外国に負けないためにもイルカじゃんじゃん殺すしかないよね」

「食べればウマイかもしれないしね」

あー、ハイハイ。

言わせとけ言わせとけ、結局抗議屋と同類だ。

何で地元の人々は苦労してイルカを助けるのか。

可愛いからとか、大自然だから、とか、とってつけたような話で語れるのか。

単にしょうがないから、ではないか。

だっているンだもの。

まなじり吊り上げて「イルカさンを助けなきゃ!」ッてンじゃなく、「あーあー又かよしょーがねーなー」的なノリではないかと推測する。

地元にとってはイルカの存在は、何らかの被害も含めて日常だからだ。

まあ、毎日170頭押し寄せはしないだろうが、迷いイルカが現れるようなよくあるイルカ事件はありそうだ。

食った事ある奴も結構いそうだし。

だからって、イルカを皆殺しにしようとか、逆に1頭1頭名前をつけようとか幼稚園みたいな事は誰も言うまい。

ワザワザそンな事考え付いてしまうのはおおむね余所者の仕業。

平和な街をどうして圧力で踏み潰そうとする。

無自覚な強盗は今日も手頃な獲物を求めて回遊する。
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