アイデアリズム idealism daydream

嘘や夢であって欲しかった その4 民事訴訟の準備

前回から

2005/02/11

 内容証明郵便を送っても相手からは何の返事もありません。もちろん(予想はしていたのですが)返済も全くありません。やむなく私は電話をかけました。

「今月分の26,000円を早く返してください」
「あー、電話しようと思ってたんだけど、忙しくて。返済の事は忘れていないから心配せんとって。今月の終わりに12月分と1月分をまとめて返済するから」
「待てません。1,000円でも2,000円でも良いので今すぐ返済してください」
「今手持ちが無いのでそれは無理」

 ジュースを買うお金があっても、タバコを買うお金があっても、私への返済に充てる金は一銭も無いらしいです。この人は。
 慎ましい生活を余儀なくされどこにも行けず、相手の都合で返済ペースが決定され、ただ単に待ちわびるだけの私。一体何が嬉しくてこんな惨めな生活をしているのでしょう。1年前が本当に悔やまれます。恩を仇で返されているのですから。

 何か改善策は無いかと様々な人にお会いして相談しました。その結果「結局訴訟するしか無いんじゃないの?」というお答えでした。ああ、結局そうなってしまうのか・・・。

**********

2005年1月31日----------

 訴訟というか裁判について衝撃的な事実が判明しました。と、その前に裁判とは具体的には何なのか説明しておきます。

 「調停」「支払督促」「(通常)訴訟」「少額訴訟」と4つの選択肢があるそうです。

  1. 「調停」とはズバリ"話し合い"だそうです。調停員と呼ばれる方が双方の意見を仲人さんのように聞いて、主張のすり合せを行っていくのだそうです。その結果、双方が合意すればOKで判決と同じ効力もあるそうです。
     もし相手や自分が「忙しいから行けない」ということで調停に行かなかった場合や双方の合意にならなかった場合は、「調停不成立」ということで全てが振り出しに戻るそうです。
  2. 「支払督促」とは金銭のトラブルに使えるやり方で、ズバリ"裁判所で内容証明郵便みたいなのを書いて相手に出す"ことだそうです。
     内容証明郵便と違う点は「内容証明郵便は結局単なる手紙」なのですが、「支払督促は法律的に有効」ということです。相手が異議を申し立てなければ成立して判決と同じ効力となります。異議を申し立ててしまうとその後は「(通常)訴訟」以外の選択肢が取れなくなります。
  3. 「(通常)訴訟」とは一般的なイメージの「裁判」です。徹底的に出来る反面、長くかかってしまうこともあるそうです。
  4. 「少額訴訟」とは60万円以下の金銭の支払を求める時に使えるそうです。ほとんど1日で裁判が終わってしまうということで「プチ訴訟」という感じでしょうか。迅速に行われる反面、控訴は出来ず異議申し立てをしても余程の事が無い限り、覆される事は無いそうです。

 私の場合、「調停」は難しいかも。何度も話し合っていますし、相手は結構時間にもルーズな人なので「調停不成立」で終わってしまう可能性が大です。「支払督促」も今回は全額返済を求めていきたいので、相手が異議を申し立てないとは考えにくく「(通常)訴訟」では時間がかかり過ぎて日干しになりそう。消去法で結局「少額訴訟」にしようかなと考えています。

裁判所のホームページはこちら

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 さてさて「衝撃的な事実 その1」です。

 もし、裁判をやり終えました、判決が出ました、私の主張が全面的に認められました、ということになったとします。

やったーっ!! 勝ったよーっ!
おめでとうーっ!! パチパチパチ。
(以上終了)

 と、ここまでが裁判だそうです。要するに「裁判をして勝ったからって、別に裁判所が相手に対して何かするというわけじゃない」ということなんです。つまり私の場合、裁判をして勝ったからってお金を返してもらえるというわけじゃない・・・という事になります(もちろん相手が任意で素直に返してくれるのであればそれで良いのですが)。

 私が裁判所からもらえるものは「債務名義(平たくいうと強制執行の権利)」です。強制執行というのは「財産を差し押さえる事」です。しかし、債務名義がもらえたからって相手の家へ勝手に入っていって物色してはダメということです。それは単なる泥棒(窃盗)になるそうです。

 ではどうするのかというと「強制執行の手続きを別にとり、裁判所におられる執行員さんにいくらかお金を支払ってやってもらう」そうです。差し押さえるモノによって金額が変わってくるそうなのですが、例えば不動産の場合は着手料が50万円くらいかかるとか・・・。
 さらに難しいのが「裁判所に差し押さえてもらいたい財産は貸主が指定しなければならない」ということです。具体的にいうと預金通帳であれば「**銀行の**支店の**」みたいな感じで手続きしなくてはいけないそうです。そういうことで裁判所が勝手に調べてくれるわけじゃないそうです。もちろん、預金通帳に残高が無ければ"ハイそれまでよ"ですし、そもそも差し押さえてもらいたい財産が他の人に既に差し押さえられていたらもちろんアウトです。
 財産財産といっても差し押さえる事が出来るのは「責任財産」のみだそうです。責任財産以外の物(テレビ29インチ以下、タンス、調理器具や冷蔵庫、給料の75%、エアコン等の冷暖房器具・・・などなど)は差し押さえが禁止されているそうです。

 財産開示手続きというのもあって、これをすると裁判所に相手方を呼び出し「財産は**にあります」と喋らせることができるそうです。但しこの手続きは「1回以上強制執行が失敗した場合じゃないと手続きは取れないと思います。ちょっと法律が新しいんでうろ覚えですが(簡易裁判所の相談員さん談)」だそうです。

 「衝撃的な事実 その2」です。

 私は金融業者からお金を借りて、それをそのまま相手に貸し付けました。私と金融業者の間の利率は年率29.2%です。
 一方、法律には「利息制限法」というものがあって、10万円未満では年率20%、10万円以上100万円未満は年率18%、100万円以上は年率15%までの上限となっているそうです。金融業者の年率29.2%は「法律的にはバツだけれど罰則が無いギリギリの利率(つまりグレーゾーンなわけですわ)」がソレいうことで・・・だそうです。注意:現在グレーゾーン金利はありません。

 私の場合、相手との借用証書には「利率は金融業者に従う」と書いてしまった為に大問題。民法では「利率を決めない場合、年率5%とする」、また商法では「利率を決めない場合、年率6%」ということになっています。裁判所が「利率は金融業者に従う」という言葉をどのように判断するのかは、訴訟をしてみないと分かりません。

 最悪な結果は「年率5%」、利息制限法ギリギリでは「年率18%」、私の主張が全面的に認められると「年率29.2%」です。
 引き直し計算をすると2004年12月10日の段階で、年率29.2%の場合の残元金は501,012円、18%の場合は445,480円、5%の場合は386,930円です。
 私は金融業者から借りたお金を1銭も使う事無く、また相手から支払われたお金を一銭も天引きする事もしてません。しかし最高で114,082円既に損をしてしまうということになります。
 分かりやすく言い換えると、私と相手との間の利率は裁判で争うと強制的に「利息制限法」によって年率18%か5%になってしまい、一方、私と金融業者の間の利率は年率29.2%のままなので、その差額を私が払わなくてはいけなくなってしまう可能性が高いということです。



貸した瞬間から損をしているのかも知れない・・・

 そのような事を思うとだんだん力が抜けていきました。


良い子の引き直し計算の例 : 50万円借りて毎月20,000円弁済(=お金を返す)していくと・・・

年率29.2%の場合

年月日 借入金額 弁済額 利率 日数 利息 残元金
2005/01/01 500,000   0.292     500,000
2005/02/01   20,000 0.292 31 12,400 492,400
2005/03/01   20,000 0.292 28 11,029 483,429
2005/04/01   20,000 0.292 31 11,989 475,418
2005/05/01   20,000 0.292 30 11,410 466,828


年率18%の場合

年月日 借入金額 弁済額 利率 日数 利息 残元金
2005/01/01 500,000   0.18     500,000
2005/02/01   20,000 0.18 31 7,643 487,643
2005/03/01   20,000 0.18 28 6,773 474,376
2005/04/01   20,000 0.18 31 7,252 461,628
2005/05/01   20,000 0.18 30 6,829 448,457


年率5%の場合

年月日 借入金額 弁済額 利率 日数 利息 残元金
2005/01/01 500,000   0.05     500,000
2005/02/01   20,000 0.05 31 2,123 482,123
2005/03/01   20,000 0.05 28 1,849 463,972
2005/04/01   20,000 0.05 31 1,970 445,942
2005/05/01   20,000 0.05 30 1,832 427,774



つづく

コメント一覧

まっちゃん
民事裁判に勝訴してもできることには限界があるということを教えて頂きました。当時はグレーゾーン金利がまかり通っていたんですね。
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