認知症高齢者の症状の徘徊には、徘徊が起こりうる原因がある。
認知症には、中核症状と周辺症状の種類があり、徘徊は周辺症状の一つである。
周辺症状は、中核症状に身体的または心理的要素、生活環境の変化などが加わり起こされる症状も含まれる。
徘徊の周辺症状の要因となる主な中核症状とは、見当識障害や実行機能障害がある。
見当識とは、自分のおかれた状況を適切に把握する能力のことだ。
見当識障害になると、自分の置かれた環境である時間や場所や周りの状況もわからなくなる。
トイレに行こうと部屋を出てもトイレの場所がわからない。
また、人との関係性などもわからなくなるので、家の中で家族に会っても知らない人がいると勘違いをして、自分の家に帰ろうと外出をしてしまい、迷って徘徊状態になることがあるようだ。
実行機能とは、物事を適切に把握し論理的思考を持って計画的に行動することだ。
この実行機能障害になると、効率良く行動する事が出来ないので複数のことを同時に行えなくなったり、想定外の出来事に出くわしたときに対応できない。
たとえば、洗濯をしている間に他の家事をするとか、通い慣れた道が工事中で通れないときにどう行動して良いのか分らなくなるなどだ。計画通りに行動できないことから、遂行機能障害とも呼ばれる。
中核症状には、見当識障害や実行機能障害以外にも、記憶障害や判断力や理解力の低下、言葉が出てこない失語に、人や物の認識が出来ない失認、作業手順を忘れる失行などもある。