映画の内容を簡単に説明しますと・・・
舞台は16世紀初頭の韓国。
幼馴染の旅芸人チャンセンとコンギルの2人が、暴君で有名な第10代王・燕山君(ヨンサングン)に気に入られ宮廷芸人になるが、そこで権力、愛憎、陰謀などの渦に巻き込まれて・・・というお話(ものすごい簡単な説明だ・笑)
何といっても、主人公の2人の芸人の1人(女形担当)、コンギル役のイ・ジュンギが、まるで厩戸王子を彷彿とさせるような切れ長の目に長い黒髪、そして清楚で神秘的なオーラを漂わせ、もうとにかく美しい!
芸を披露して舞っている時の彼の「芸が大好き!」という楽しそうな笑顔や、おだやかな優しい微笑などがとても印象的かつ魅力的でした。
(外見は厩戸似でも、役柄上の性格は全く違いました・笑)
欲を言えば、できればもう少し華奢な体つきであったら私的には申し分無かったんですけどね~
見た目の繊細さとは裏腹に、脱ぐと(韓国映画なので、肌を見せる場面は少ないですけどね)結構ガッシリして良い体つきなんですよね、彼(笑)
もとはといえば、韓国映画はにはさほど興味の無かった私がこの映画をぜひ見てみたい!と思ったのも、「厩戸王子に似た役者さんが演じている」という話を教えていただいたが為でありまして・・・(笑)
もちろん、彼はその期待を裏切らない見事な美女っぷり(?)でした
しかしこの映画の魅力は、もちろんイ・ジュンギの美しさだけではありません。
史実に基づき、実在した王ヨサングンを軸に上手にフィクションも織り交ぜて、韓国ではタブーとされてきた同性愛的要素にも挑戦して巧みにストーリーが展開し、役者もベテラン揃い、見応えたっぷりに仕上がっていると思います。
役者さん達も、楽器演奏や綱渡りなどの芸の特訓をうけ、それを実際に役者自身が演じているというのも驚きます。凄いです。
特にチャンセンの、肝の据わった堂々とした芸達者ぶりと男前な演技は素晴らしかった!
ところで、私が「王の男」のストーリーを最初に知った時、ふと思い出した漫画があります。
それは木原敏江先生の「夢の碑」の中にある「渕となりぬ」という作品。
これは日本の能や狂言の世界を描いた歴史漫画で、美形で舞の上手な役者が出てきたり、血はつながらずとも心が通じあった兄弟同然の役者二人という設定、また芸人一座が食べていくには止むを得ず時には体を売ることもある・・という辺りなども、何となく「王の男」と通じるものがあるかな~と思いました。
こちらがその漫画。絵柄もとても妖艶で、私は大好きです
渕となりぬ (前編) 小学館文庫―夢の碑小学館このアイテムの詳細を見る |
映画を見終わった後に私が感じたのは、日本でも韓国でもヨーロッパでも、いつの時代、どこの国であろうとも、人間(特に権力争いに関わる人々)の愚かさというのは、ちっとも変わらないよなぁ・・という事でしょうか・・・。
王様は孤独でわがまま(でも実際は心に寂しさを秘めた気の毒な人)、王の寵愛を受ける事を巡って妃同士の争いは熾烈で醜く、富や権力欲しさに汚いことをする官人達。
ちょうどもうじき公開となる映画「大奥」の予告編が映画が始まる前に流れていた影響もあって、余計にそんな風に思ってしまいました。
でも、チャンセンやコンギルのような、切っても切り離せない心と心の繋がりの美しさや、仲間を思う友情、愛情というのも、これもまた遥か昔から人が持ち続けている変わらないものなんですよね。。。
最初はイ・ジュンギに興味があって見に行ったのでありましたが、すっかりこの映画に魅せられてしまったかもしれません。
そういえば、映画館で私の後ろの席に座っていた妙齢のお姉さま方が、「昨日よりは、今日はお客さん多く入ってるね~」なんて言ってましたっけ。
(平日の朝一だったこともあり、実はこの日のお客は10人ぐらい?だったのです)
そう、彼女達のように毎日でも映画館に通いたくなるぐらい、確かにこの映画には惹きつけられるものがあり素晴らしいという事ですね
早く日本語字幕付(日本語吹き替え)のDVDが発売されないかな~(笑)