いきもの散歩

近所の自然観察、飼育している川魚の記録

トンボ 2019年を振り返る

2020年01月02日 | 昆虫類
2019年のトンボ観察をいくつかの視点から振り返ってみた。
この記事は昨年末に書いておきたかったのだが、間に合わなかった。

Index
県内64種達成、初めての県外遠征
新しいカメラの導入
負の頻度依存淘汰
クロサナエとヒメクロサナエ
ヒメサナエの交尾、産卵
ヒメアカネ/マユタテアカネのメス
2019年に撮影したトンボ一覧
まとめ
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県内64種達成、初めての県外遠征
2018年までで県内55種の撮影を達成していた。2019年は9種を追加し、県内64種となった。



2019年に追加できたのは以下のトンボ。
コバネアオイトトンボ
サラサヤンマ
マルタンヤンマ
コサナエ
フタスジサナエ
ムカシヤンマ
タカネトンボ
マイコアカネ
ハッチョウトンボ

桶ケ谷沼では70種のトンボが確認されていて、それを越える数のトンボを県内で撮影したいと思っている。ただ、会うことが難しい種類しか残っていないので、今後、数をのばすことは簡単ではない。そのため、このテーマを優先すると辛い時間が多くなり、トンボ観察が楽しくなくなってしまうので、優先度は高く設定しない。それでも2021年までに目標を達成できれば、と取らぬ狸の皮算用をしている。

また、2019年はトンボ観察を目的に初めて県外に赴いた。その甲斐あってオオイトトンボとホンサナエを初めて見ることができた。



アオサナエも狙っていたが、こちらは会えなかった。想定していなかったアオヤンマを見かけたが、オオイト探しを優先するためにスルーしてしまった。その後、アオヤンマには会えなかったので、今となってはこの判断に少し後悔している。
自分にとってトンボ観察は散歩の延長線上にある。そのため県外遠征することはないと思っていた。行って楽しかった。ただ、自分のスタイルではないという違和感も感じた。今回ターゲットにしたトンボに県内で会えると一番よいのだが。


新しいカメラの導入
2019年は春にカメラを購入した。Sony RX10M4というコンデジで、AFの速さと高速連写が特徴である。今まではNIKON P610というコンデジで撮影していたのだが、AFの遅さと解像感に不満を感じ始めていた。rx10m4にしてから、さくさく写真が撮れるようになった。

腕がないのでたいした写真は撮れないが、今まで撮影しようと思わなかったシーンも撮ってみようと思うようになった。

モートンイトというと、細く小さくてAFできないことが撮影でのストレスだった。 新しいカメラではAFできる。これには驚いた。



ほとんどしてこなかった飛翔撮影にも積極的になった。
ただ、所詮センサーサイズの小さなコンデジであるため、暗所での撮影はノイジーになってしまう。

薄暮時のコシボソヤンマの飛翔撮影は辛かった。等倍で見るとノイズが酷いのだ(ブログ用途としてなら個人的にはok)。それと電動ズームでは辛い状況がある。次回購入する機会があれば、APS-Cミラーレス機を検討したい。


負の頻度依存淘汰

自分のトンボ観察に関してではないが、 たまたま読んだ論文を通じ、アオモンイトトンボはメスに対して負の頻度依存淘汰が働き、それが多様性(メスの多型)の維持に貢献していることを知った。これは実に興味深い内容でとてもおもしろかった。人類も戦争とか国際情勢、政治、経済、災害、伝染病などといった手段を使い、何らかの多数派に不利益をもたらすことで、行き過ぎを抑制しているのかもしれない?よく観察してみると、その結果として何らかの多様性が維持されているかのように見える事象があるのかもしれない? :)
田んぼ脇水路のアオモンイトトンボ - いきもの散歩


クロサナエとヒメクロサナエ

2019年、最優先課題は3つあった。その一つがクロサナエとヒメクロサナエの初観察。自分は流水性の小型サナエトンボが好きだ。その中でダビドサナエ、ヒメサナエ、オジロサナエは見たことがある。それにクロサナエとヒメクロサナエを追加したかった。かなりの距離を散策した。しかし、結果はかすりもしなかった。場所、時期、探し方の何が悪かったのだろう。すべて?2020年もこの課題に取り組むつもりだが、「どうすればいいの?」という状況である。


ヒメサナエの交尾、産卵

第二の最優先課題はヒメサナエの交尾と産卵の観察・撮影。先程述べたように自分は流水性小型サナエが好きで、ダビド、ヒメ、オジロは見たことがある。ヒメサナエを主対象にしたのは、 その3種の中で交尾・産卵の観察難易度が自分にとって中間だから。オジロサナエの交尾、産卵も見てみたいが、ヒメサナエと比べて数段難しいと感じている。
ヒメサナエの産卵は比較的簡単に遭遇することができた。

ただ、露出オーバーしてしまい、撮影の出来には満足していない。
交尾に関しては、オスがメスを捕まえ樹上に連れ去る場面は見かけるが、撮影は難しいと感じた。しかし、フィールドに数回通うと幸運が訪れた。

撮影しやすい低木にとまってくれたのだ。めちゃめちゃうれしかった。1時間以上観察した。必死にシャッターを切った。長時間、傾斜で踏ん張っていたので、最後の方は足がプルプルしてきて集中力が切れたが、ゾーン状態に入っていた。
今年もヒメサナエの繁殖行動を見たい。ちなみにダビドサナエの交尾・産卵も初めて観察できた。
ヒメサナエ 交尾 - いきもの散歩
ヒメサナエ 産卵 - いきもの散歩


ヒメアカネ/マユタテアカネのメス

最優先課題の最後はヒメアカネ/マユタテアカネのメスの識別。ヒメアカネとマユタテアカネのメスは非常に似ていて、両者の識別で悩んでいた。これを解決すべく、産卵弁以外で識別に使えそうな箇所をピックアップし、採集して確認することにした。合わせて50頭ぐらいに対してチェックしただろうか。これにより取り敢えず識別ストレスからは解放された。しかし、識別で悩ましい状況がまだまだあり、目指すレベルには到達できていない。2020年も引き続き取り組む予定のテーマである。


2019年に撮影したトンボ一覧
@アオイトトンボ科(4)
ホソミオツネントンボ
アオイトトンボ
オオアオイトトンボ
コバネアオイトトンボ+

@カワトンボ科(4)
アサヒナカワトンボ
アオハダトンボ
ミヤマカワトンボ
ハグロトンボ

@モノサシトンボ科(1)
モノサシトンボ

@イトトンボ科(10)
キイトトンボ
ベニイトトンボ
クロイトトンボ
セスジイトトンボ
オオイトトンボ+
ムスジイトトンボ
モートンイトトンボ
ホソミイトトンボ
アオモンイトトンボ
アジアイトトンボ

@ヤンマ科(8)
サラサヤンマ+
コシボソヤンマ
ミルンヤンマ
マルタンヤンマ+
オオルリボシヤンマ
ルリボシヤンマ
ギンヤンマ
クロスジギンヤンマ

@サナエトンボ科(11)
ウチワヤンマ
タイワンウチワヤンマ
コオニヤンマ
オナガサナエ
ダビドサナエ
ヒメサナエ
オジロサナエ
コサナエ+
フタスジサナエ+
ホンサナエ+
ヤマサナエ

@ムカシヤンマ科(1)
ムカシヤンマ+

@オニヤンマ科(1)
オニヤンマ

@エゾトンボ科(1)
タカネトンボ+

@ヤマトンボ科(2)
オオヤマトンボ
コヤマトンボ

@トンボ科(22)
チョウトンボ
ナツアカネ
リスアカネ
ノシメトンボ
アキアカネ
コノシメトンボ
ヒメアカネ
マユタテアカネ
マイコアカネ+
ミヤマアカネ
ネキトンボ
コシアキトンボ
コフキトンボ
ハッチョウトンボ+
ショウジョウトンボ
ウスバキトンボ
ハラビロトンボ
シオカラトンボ
シオヤトンボ
オオシオカラトンボ
ヨツボシトンボ
ベッコウトンボ

合計65種, 初見11種
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まとめ
2019年のトンボ観察をいくつかの視点から振り返ってみた。ベッコウトンボとフタスジサナエは帰り際に何とか撮影できるなど、他にも思い出深いシーンがよみがえってきて、この記事を書いていて楽しかった。今年もあらたな目標や計画を立て、トンボ観察を楽しみたい。2019年で最もお気に入りの一枚を貼ってこの記事の終わりとする。




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