7月中旬に静岡県東部で観察したトンボたち。
〜7月中旬に観察したトンボ〜
アサヒナカワトンボ、アオハダトンボ、ミヤマカワトンボ、ハグロトンボ
アオモンイトトンボ、クロイトトンボ、キイトトンボ
コシボソヤンマ*、ギンヤンマ
ウチワヤンマ、タイワンウチワヤンマ*、コオニヤンマ、オジロサナエ*
オニヤンマ*
ショウジョウトンボ、コフキトンボ
シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ハラビロトンボ
チョウトンボ、コシアキトンボ、ウスバキトンボ
全22種
* 今年初見
アサヒナカワトンボ
♂(橙色翅型)
♂(無色翅型)
猛暑が続いているが、このフレッシュなメスは、今の時期も交尾・産卵し、命を次の世代につなぐのだろうか。それとも、涼しくなるまで生き延びて、それから繁殖するのだろうか。7月中旬〜9月中旬の交尾はまだ見たことがない。
交尾 2017.09下旬
この川周辺では4〜12月の間、アサヒナカワトンボを観察できる。ただ、春と秋の2山型の発生消長を見せ、今の時期は見かける数は多くない。アサヒナカワトンボの幼虫期間は1〜2年とのことなので、一年二化ということではないようだ。この川は、年間を通じて15℃前後の一定した水温であり、流量も年間を通してほとんど変化がなく安定している。そのことが、羽化が長い期間に渡って続く、大きな要因の一つとなっているようだ。
ミヤマカワトンボ
腹部第10節腹面の黄褐色を見せることで、メスへのアピールやライバルへの威嚇のポーズとなるそうだ。この腹端の曲がり具合は、そのメッセージの強さを表しているように感じた。
ミヤマカワトンボの交尾は初見。カワトンボ科4兄弟(アサヒナカワトンボ、アオハダトンボ、ミヤマカワトンボ、ハグロトンボ)の中で、交尾をまだ見たことがないのはハグロトンボだけになった。
この渓流では、ハグロトンボも目にするようになり、混棲している状況。また、ミヤマカワトンボは、さらに上流でもよく見かけるようになった。
ハグロトンボ
♂ 田んぼ脇水路にて
この水路は、水があまりきれいではなく、カダヤシ、スクミリンゴガイ、ウシガエルといった外来生物が多数生息する。
♀ 川から少し離れた場所で
アオモンイトトンボ
交尾
艷やかな翅胸から個体のフレッシュさが伺える。
テネラル♂
♂ とまっているのはハゴロモモの花
♀(同色型)
水面に浮いている葦の枯れ葉に産卵管を刺す。
♀(同色型)
この水路では、多数のメスがオオカナダモに産卵していた。
♀(異色型)
不明な状況。アオモンイトがアメンボか何かに襲いかかっている?
未成熟♀
しばらく見かける数が少なかったアオモンイトだが、今年2回目のピークに向けて、二化目の出現が始まっていた。ある水路では昨年同様、50頭以上が見られ、多数のメスがオオカナダモに産卵していた。この水路では昨年、9月上旬に3回目のピークがあった。クロイトトンボ属が多数見られた池や田んぼ脇水路は、アオモンイトにほぼ置き換わっていた。
キイトトンボ
黄色い棒がスッ、スッと飛んでいく姿を見ると、猛暑の中でも一瞬笑顔になる。
コシボソヤンマ
♂
19時ごろにウォーキングをしていると、黄瀬川に掛かる橋の歩道で、地面にトンボがとまっていた。最初は車と衝突したオニヤンマの死骸と思った。しかし、よく見るとコシボソヤンマで、掴んでみると生きていた。コシボソヤンマは今年初見。
右の複眼が陥没している。交通量が多い場所なので、飛んでいて車と接触したのかもしれない。
腹面
腹面から見た腹部第3節のくびれ。
腹面から見た尾部付属器。上付属器に毛が結構生えている。
側面
自分は散歩が好きで、そちらがメイン。ただ、歩いているだけだと飽きてしまうので、トンボなどの生き物を撮影しながら散策するスタイルをとっている。そのため、トンボ採集は除外していた。しかし、今回コシボソヤンマを掴み、直に観察してみて、撮影した写真を見るよりもずっと多くの情報が得られることを実感した。特に飛翔し続けるトンボの撮影は難しいので、たも網で採集しての観察は、積極的に取り入れるべきなのかもと思った。
ウチワヤンマ
葉の上に昆虫の脚らしきものが・・・
ウチワヤンマ亜科は撮影時、いい表情をしてくれる。
写真はいずれもオス。メスは見たことがない。メスは水辺から離れた場所で過ごすことが多いらしい。次回は池の周辺を少し調べてみようかと思う。あとは交尾態が狙い目かな。
タイワンウチワヤンマ
タイワンウチワヤンマは今年初見。昨年の初認は梅雨明け3日後、今年は梅雨明け4日後となった。この池では、梅雨明けを象徴するトンボとなっている。
食事をしながらの排泄
この池では、ウチワヤンマとタイワンウチワヤンマを共に5頭ぐらい見かけた。これから、タイワンウチワヤンマの勢力が徐々に増していくのだろう。
コオニヤンマ
オスにはよく会えるが、メスは全く見かけない。過去に一度だけ、予期せぬ場所(川から少し離れた湿地)でメスに遭遇したことがある。
♀ 2017.08下旬
オジロサナエ
未成熟♀
川沿いを散策していると、川から小さなサナエトンボの未成熟個体が飛び上がり、樹上にとまった。サイズと今までのこの川での観察記録から、オジロサナエである可能性を感じ、わくわくした。ただ、ちょっと遠かったので、同定できるか心配だった。幸い、最望遠で撮影し、確認することができた。翅胸前面は確認できないが、翅胸側面にY字状の黒条があること、腹部の黄斑がすべて環状と思われること、尾毛の形状や尾毛全体が白いことから、オジロサナエのメスと判断した。
オジロサナエに会えたのは2回目。初めて会ったのは昨年の7月で、場所は今回と同じ川。
♂ 2017.07下旬
この時も距離があって、最望遠でなんとか撮影した。もっと近くから鮮明に撮影したいところだが、このトンボは会えるだけでも、かなり幸せだ。
オニヤンマ
このオスは「パトロール飛翔しては、時々とまる」を繰り返していた。この枯れたような植物が、お気に入りの休憩場所だった。
オニヤンマは今年初見。清流やその周辺などで、飛翔している姿をちょくちょく見かけた。今回、観察できた静止個体は1頭のみ。
コフキトンボ
♂
♀ 腹端の尾毛は下へ湾曲する。
♂
フィールドでは気が付かなかったが、ヤゴ(抜け殻?)が草にしがみついている。コシアキトンボのものだろうか。
池やその周辺などでよく見かけるようになった。昨年と見かける数に大きな違いは感じないが、一昨年と比べるとかなり少ない。
ショウジョウトンボ
♂ 池にて
♀ オベリスク姿勢
♂ HIKAKINが動画のサムネでやりそうな表情
シオカラトンボ
♂
ブルーの複眼、青白い体色に清涼感を感じる。ショウジョウトンボを見た後だと、余計にそう感じる。
♀
いわゆるムギワラトンボ。複眼もオスとは異なり、緑色。
未成熟♂
メスのように麦わら色だが、腹端の形状でオスとわかる。複眼は褐色。
♀(シオカラ型)
オスのような色合いをしているが、複眼は緑色であり、腹端の形状からメスである。このようなタイプのメスは「シオカラ型」と呼ぶそうだ(同色型でもいいのか?)。おそらく初見。
オオシオカラトンボ
♂ 池周辺にて
♀ 上2枚は同一個体。渓流沿いにて。
この日は単独のメス2頭に会えた。しかし、どちらも薄暗い環境だったり、様々な角度から撮影するのが難しかったりで、目的は達成できなかった。晴天・順光の下での撮影チャンスを気長に待つことにする。
ハラビロトンボ
平地の湿地でハラビロトンボを久しぶりに見た。黒化した半成熟のオス2頭のみを確認。
チョウトンボ
池やその周辺で多数を確認。額は翅と同じで、青紫色なんだね。
コシアキトンボ
石に産卵し続けたメス。そこから生まれた諺が「石の上にも産卵」、、。
ウスバキトンボ
写真は同一個体。尾端の突起が少し湾曲しているのでオスなのだと思う。
今年のウスバキトンボの初認は、こどもの日だった。そして、漸く今年最初の静止個体の発見&撮影ができた。過去の観察記録を振り返ると、日中に静止個体を見かけるようになるのは7月からで、よく目にするのは8月下旬ぐらいからという感じだった。
それにしても、何なんだ、この暑さは・・・
夏は始まったばかり
〜7月中旬に観察したトンボ〜
アサヒナカワトンボ、アオハダトンボ、ミヤマカワトンボ、ハグロトンボ
アオモンイトトンボ、クロイトトンボ、キイトトンボ
コシボソヤンマ*、ギンヤンマ
ウチワヤンマ、タイワンウチワヤンマ*、コオニヤンマ、オジロサナエ*
オニヤンマ*
ショウジョウトンボ、コフキトンボ
シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ハラビロトンボ
チョウトンボ、コシアキトンボ、ウスバキトンボ
全22種
* 今年初見
アサヒナカワトンボ
♂(橙色翅型)
♂(無色翅型)
猛暑が続いているが、このフレッシュなメスは、今の時期も交尾・産卵し、命を次の世代につなぐのだろうか。それとも、涼しくなるまで生き延びて、それから繁殖するのだろうか。7月中旬〜9月中旬の交尾はまだ見たことがない。
交尾 2017.09下旬
この川周辺では4〜12月の間、アサヒナカワトンボを観察できる。ただ、春と秋の2山型の発生消長を見せ、今の時期は見かける数は多くない。アサヒナカワトンボの幼虫期間は1〜2年とのことなので、一年二化ということではないようだ。この川は、年間を通じて15℃前後の一定した水温であり、流量も年間を通してほとんど変化がなく安定している。そのことが、羽化が長い期間に渡って続く、大きな要因の一つとなっているようだ。
ミヤマカワトンボ
腹部第10節腹面の黄褐色を見せることで、メスへのアピールやライバルへの威嚇のポーズとなるそうだ。この腹端の曲がり具合は、そのメッセージの強さを表しているように感じた。
ミヤマカワトンボの交尾は初見。カワトンボ科4兄弟(アサヒナカワトンボ、アオハダトンボ、ミヤマカワトンボ、ハグロトンボ)の中で、交尾をまだ見たことがないのはハグロトンボだけになった。
この渓流では、ハグロトンボも目にするようになり、混棲している状況。また、ミヤマカワトンボは、さらに上流でもよく見かけるようになった。
ハグロトンボ
♂ 田んぼ脇水路にて
この水路は、水があまりきれいではなく、カダヤシ、スクミリンゴガイ、ウシガエルといった外来生物が多数生息する。
♀ 川から少し離れた場所で
アオモンイトトンボ
交尾
艷やかな翅胸から個体のフレッシュさが伺える。
テネラル♂
♂ とまっているのはハゴロモモの花
♀(同色型)
水面に浮いている葦の枯れ葉に産卵管を刺す。
♀(同色型)
この水路では、多数のメスがオオカナダモに産卵していた。
♀(異色型)
不明な状況。アオモンイトがアメンボか何かに襲いかかっている?
未成熟♀
しばらく見かける数が少なかったアオモンイトだが、今年2回目のピークに向けて、二化目の出現が始まっていた。ある水路では昨年同様、50頭以上が見られ、多数のメスがオオカナダモに産卵していた。この水路では昨年、9月上旬に3回目のピークがあった。クロイトトンボ属が多数見られた池や田んぼ脇水路は、アオモンイトにほぼ置き換わっていた。
キイトトンボ
黄色い棒がスッ、スッと飛んでいく姿を見ると、猛暑の中でも一瞬笑顔になる。
コシボソヤンマ
♂
19時ごろにウォーキングをしていると、黄瀬川に掛かる橋の歩道で、地面にトンボがとまっていた。最初は車と衝突したオニヤンマの死骸と思った。しかし、よく見るとコシボソヤンマで、掴んでみると生きていた。コシボソヤンマは今年初見。
右の複眼が陥没している。交通量が多い場所なので、飛んでいて車と接触したのかもしれない。
腹面
腹面から見た腹部第3節のくびれ。
腹面から見た尾部付属器。上付属器に毛が結構生えている。
側面
自分は散歩が好きで、そちらがメイン。ただ、歩いているだけだと飽きてしまうので、トンボなどの生き物を撮影しながら散策するスタイルをとっている。そのため、トンボ採集は除外していた。しかし、今回コシボソヤンマを掴み、直に観察してみて、撮影した写真を見るよりもずっと多くの情報が得られることを実感した。特に飛翔し続けるトンボの撮影は難しいので、たも網で採集しての観察は、積極的に取り入れるべきなのかもと思った。
ウチワヤンマ
葉の上に昆虫の脚らしきものが・・・
ウチワヤンマ亜科は撮影時、いい表情をしてくれる。
写真はいずれもオス。メスは見たことがない。メスは水辺から離れた場所で過ごすことが多いらしい。次回は池の周辺を少し調べてみようかと思う。あとは交尾態が狙い目かな。
タイワンウチワヤンマ
タイワンウチワヤンマは今年初見。昨年の初認は梅雨明け3日後、今年は梅雨明け4日後となった。この池では、梅雨明けを象徴するトンボとなっている。
食事をしながらの排泄
この池では、ウチワヤンマとタイワンウチワヤンマを共に5頭ぐらい見かけた。これから、タイワンウチワヤンマの勢力が徐々に増していくのだろう。
コオニヤンマ
オスにはよく会えるが、メスは全く見かけない。過去に一度だけ、予期せぬ場所(川から少し離れた湿地)でメスに遭遇したことがある。
♀ 2017.08下旬
オジロサナエ
未成熟♀
川沿いを散策していると、川から小さなサナエトンボの未成熟個体が飛び上がり、樹上にとまった。サイズと今までのこの川での観察記録から、オジロサナエである可能性を感じ、わくわくした。ただ、ちょっと遠かったので、同定できるか心配だった。幸い、最望遠で撮影し、確認することができた。翅胸前面は確認できないが、翅胸側面にY字状の黒条があること、腹部の黄斑がすべて環状と思われること、尾毛の形状や尾毛全体が白いことから、オジロサナエのメスと判断した。
オジロサナエに会えたのは2回目。初めて会ったのは昨年の7月で、場所は今回と同じ川。
♂ 2017.07下旬
この時も距離があって、最望遠でなんとか撮影した。もっと近くから鮮明に撮影したいところだが、このトンボは会えるだけでも、かなり幸せだ。
オニヤンマ
このオスは「パトロール飛翔しては、時々とまる」を繰り返していた。この枯れたような植物が、お気に入りの休憩場所だった。
オニヤンマは今年初見。清流やその周辺などで、飛翔している姿をちょくちょく見かけた。今回、観察できた静止個体は1頭のみ。
コフキトンボ
♂
♀ 腹端の尾毛は下へ湾曲する。
♂
フィールドでは気が付かなかったが、ヤゴ(抜け殻?)が草にしがみついている。コシアキトンボのものだろうか。
池やその周辺などでよく見かけるようになった。昨年と見かける数に大きな違いは感じないが、一昨年と比べるとかなり少ない。
ショウジョウトンボ
♂ 池にて
♀ オベリスク姿勢
♂ HIKAKINが動画のサムネでやりそうな表情
シオカラトンボ
♂
ブルーの複眼、青白い体色に清涼感を感じる。ショウジョウトンボを見た後だと、余計にそう感じる。
♀
いわゆるムギワラトンボ。複眼もオスとは異なり、緑色。
未成熟♂
メスのように麦わら色だが、腹端の形状でオスとわかる。複眼は褐色。
♀(シオカラ型)
オスのような色合いをしているが、複眼は緑色であり、腹端の形状からメスである。このようなタイプのメスは「シオカラ型」と呼ぶそうだ(同色型でもいいのか?)。おそらく初見。
オオシオカラトンボ
♂ 池周辺にて
♀ 上2枚は同一個体。渓流沿いにて。
この日は単独のメス2頭に会えた。しかし、どちらも薄暗い環境だったり、様々な角度から撮影するのが難しかったりで、目的は達成できなかった。晴天・順光の下での撮影チャンスを気長に待つことにする。
ハラビロトンボ
平地の湿地でハラビロトンボを久しぶりに見た。黒化した半成熟のオス2頭のみを確認。
チョウトンボ
池やその周辺で多数を確認。額は翅と同じで、青紫色なんだね。
コシアキトンボ
石に産卵し続けたメス。
ウスバキトンボ
写真は同一個体。尾端の突起が少し湾曲しているのでオスなのだと思う。
今年のウスバキトンボの初認は、こどもの日だった。そして、漸く今年最初の静止個体の発見&撮影ができた。過去の観察記録を振り返ると、日中に静止個体を見かけるようになるのは7月からで、よく目にするのは8月下旬ぐらいからという感じだった。
それにしても、何なんだ、この暑さは・・・
夏は始まったばかり