「トゥレット友の会」ブログ         ~トゥレット症(チック症)に関する情報発信と活動報告~

「トゥレット友の会」は、トゥレット症(チック症)の啓発と、  患者やその家族への支援を目的としたボランティア団体です。

「発達障害者支援法」の10年目・・・どのような改正になるか?

2015年08月11日 | 法律・福祉制度について
~「トゥレット症候群」の支援法での位置づけは~

今年4月、「発達障害者支援法」が施行されてから10年目を迎えたこともあり、
今国会期中では支援法の改正が検討されています。
そうした中、発達障害各団体からは法改正への要望が出されており、
トゥレット症候群の関係団体も「支援法の定義の中に、
トゥレット症候群(もしくはチック障害)を明記してほしい」との声を挙げています。


トゥレット症候群の定義としては、
運動チックと音声チックの両方が一年以上続く症状のものを指しますが、
「ただのチックでしょ!」「神経疾患だということを理解できていればいいのでは」と
軽視されがちです。

チックは軽度から重度ありますが、運動チックは生活を限定しますし、
入院を余儀なくされる重症ケースもあります。
音声チック・汚言は社会参加を困難にさせます。
また、様々な併発症(強迫性障害・ADHD・LD・不安障害・気分障害・
睡眠障害・怒り発作など)
を高率で発し、場合によってはチック症状以上に深刻です。
このような多彩な症状を持つ病気のため、登校や就労が困難になり、基本的な生活が
脅される患者も少なくありません。
そして、症状が慢性のため、肉体的・身体的負担が継続します。
(全ての患者さんが重症化するわけではありません。
思春期以降フェイドアウトしていく傾向にあり、予後が悪くない患者さんの方が多いです。)
そして、それを支える家族の精神的負担というのは図り知れません。
まさに負のスパイラルです。

また、外観的にはチックは軽減し、トラブルを抱えていないように見えても、
目に見えない困り感を抱えていたり、体調を崩していたり、
感覚チックに苦しんでいたり、チックを抑えることに終始し、
何も出来ないでいたりと、QOLが異常に低下している人がいます。

こうした、患者サイドの負担を少しでも軽減するためには、
まずはトゥレット症候群(チック障害)が発達障害であるという認識が重要です。
社会的認知をあげ、世間一般の理解と見守りが必要です。
そして、発達障害は早期発見、早期治療、早期療育が重要と言われるように、
トゥレット症候群も同様に、早期の正しい診断・治療が予後を左右します。
 
是非、医療関係者や教育・心理の関係者はチックに関心を持っていただき、
医療関係者はチックの早期発見・早期治療を、
教育・心理関係者は支援策を講じてほしいと切望します。

現時点での「発達障害者支援法」では、
トゥレット症候群の患者らにとって「支援法」は絵に描いた餅になっています。
やはり「発達障害者支援法」の定義に、
トゥレット症候群(チック障害)を明記していただく必要があるのではないでしょうか




第189国会 障害・難病関係法案・予算 ヒアリング(川田龍平参議院議員)

2015年03月14日 | 法律・福祉制度について
2015年3月5日(木)13:20~18:00 参議員議員会館にて
川田龍平参議院議員企画による表記ヒアリングがありました。

川田龍平先生は、4年前から「トゥレット症候群」への支援に取り組んでくださっています。
今回は、特別支援教育予算をはじめ、バリアフリー関連予算・障害保健福祉関係の予算・
就労等の支援関連予算・難病関連の予算・小児慢性特定疾患関連予算等のヒアリングや
障害者基本法をはじめとした各法案に対する各府省の答弁がありました。

その中で、障害者権利条約の広報として以下の冊子が配布されました。

 「障害者権利条約」
障害者権利条約とは、障害者の権利(人権や基本的自由)を守るために
国がすべきことを取り決めている国際的な約束(条約)です。


日本では、2014年1月20日に「障害者利条約」が締結されました。
この締結に向けて障害者制度の改革に力を入れてきた経緯があります。
   2011年 障害者基本法の内容が新しくされました
   2012年 障害者総合支援法が作られました
   2013年 障害者差別解消法が作られました
       (2016年4月1日施行に向けて、現在準備中です)
   2013年 障害者雇用促進法の内容が新しくされました




障害者権利条約についての詳細は
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html

政府広報オンライン「発達障害って、なんだろう?」にトゥレット症候群と吃音、追記!(2014/12/25)

2015年01月31日 | 法律・福祉制度について
昨年、12月25日に遡りますが、
政府広報オンラインお役立ち情報 「発達障害って、なんだろう?」 
「トゥレット症候群」「吃音」が追記されました。

政府広報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/featured/201104/contents/rikai.html

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●「自閉症」「アスペルガー」「ADHD]「LD」が発達障害の代名詞のようになっていますが、
発達障害は「トゥレット症候群」「吃音」を含む様々な症状や疾患が「発達障害者支援法」に
よって定義づけられています。
(平成17年4月1日付け)
【17文科初第16号 厚生労働省発障第0401008号 文部科学事務次官・厚生労働事務次官通知】
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/002/002.htm
<一部抜粋>
法の対象となる障害は、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、
ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80-F89)」及び
「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」に含まれる障害で
あること。
 


●では、具体的にはどんな障害名、疾患があるのでしょう?
ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)のF80-F89・F90-F98
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/002/004.htm

どの病気であっても、どの症状であっても、
周囲の人が、その人を理解しようとする姿勢が大事ですよね。
時として知らないことはその人を傷つけてしまう・・・「無知は罪」となってしまうこともあります。
まずは、病気や障害に対する正しい知識を持ちたいと思います。





〔障害基礎年金 & 給与〕で自立した生活ができるか?の解説

2015年01月23日 | 法律・福祉制度について
1月17日、「フリースペース花」での就労支援センター長さんのお話しの補足です。

 障害基礎年金+給与 = グループホームの入居費生活費趣味娯楽費


障害者手帳を持っている方は申請すれば「障害基礎年金」を国から受給することが出来ます。
 受給するためには以下の要件が必要です。

 
   *初診日要件
   *保険料納付要件・・・ただし、20歳前の病気やケガにより障害の状態になった方については
                  保険料納付要件は問われません
   *障害認定日要件


障害基礎年金は1級と2級があり受給額がそれぞれ違います。
   *1級・・・966,000円(月額 約80,500円)
   *2級・・・772,800円(月額 約64,400円)

  参考:日本年金機構 http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3225

給与
 障害者手帳を持っている方は、障害者雇用枠で就職することが出来ます。
 以下は障害者枠を利用して働いた時の給与の一例ですが・・・。

    例:月22日勤務(週5日、1日6時間労働)の場合
       888円(東京都の最低賃金)×132時間(6時間×22日)=117.216円


    注:実際の手取りは、社会保険料を引かれた金額になります。


従って、グループホームなどの良心的な施設を利用すれば、
障害基礎年金とお給与で、月々の生計を立てることが出来そうですね!
詳しくは自治体などにご相談くださいね~。



町田市:就労支援センター“らいむ”のご紹介

2015年01月18日 | 法律・福祉制度について
就労支援センター「らいむ」は町田市の助成事業〔社会福祉法人ウィズ町田〕の委託業者です。
  (対象は)
  ・作業所等の日中活動の場への通所を希望の方
  ・一般就労を希望する方
  ・職場定着支援を希望する方
  ・就労や生活において困難を抱えている方


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昨日は、「らいむ」の島田センター長さんから、業務内容と就活ポイント、就労の実態をお聞きしました。

 *就労支援センター「らいむ」の業務
    1.就職するまでの支援→①②③
    2.就職してからの支援→④
  

(利用登録のポイント)
8~9割はすぐに企業に入れる状態ではなく、それなりの準備期間を必要とする。
精神障害の方は高いスキルを持っていることが多いが、
環境に左右されることが多く欠勤などが増え、結局退職することになる。
従って、面接の時点でアセスメントが重要となってくる。

また、本人は、自分の特性を客観視出来ない部分があり、本人と保護者との申告が違うこともあるので、
出来れば、適正な仕事に就くためにも、利用登録の面接は保護者との同伴が望ましい

(職場定着のポイント)
「らいむ」は就職してからも職場に定着するよう支援をしている。
  ●職場に必ず伝えること
     ①指示は1つ1つ出す(複数の指示を出すと混乱してしまう)
     ②業務内容を限定する

  ●1月に1回はスタッフが職場を訪れ、各サイドからのトラブルや要望をヒアリングする。
     ①職場サイドに本人の様子を聞く
     ②本人の話を聞く
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  *障害者雇用の実態
2011年、障害者の雇用義務化により、民間企業(従業員50人以上)は障害者を雇用することが
義務付けられた。
  【法廷雇用率:(2011年)民間企業1.8%→(2013年)民間企業2.0%/国・地方自治体2.3%】
企業は、これを守らなければ罰則として①行政指導②罰則金が課せられる。
罰則金は障害者雇用1人不足辺り、5万円/月。
企業にとっては大きな負担となるため、雇用率2%を充足したいところだ。
しかし、民間企業の実質雇用率は1・76%と必ずしも定足数に達していない。

  ~障害者の就職件数の推移~                 (東京都)
 
グラフからも分かるように、
障害者の雇用義務化により、精神障害者の雇用数も年々急増している。
しかし、その一方で精神障害の方は離職率も高い。
そのため、精神障害者の雇用件数が高いその背景には、
1人が1年間の間に複数の企業に登録したことも考えられる。

働く側にとっては、週30時間以上(1日5h・週5日)働くと、厚生年金や健康保険に加入できるので、
是非とも、自立の一歩として手堅い職を得たいところだ。
将来の生活を心配される方もいらっしゃると思うが、
週30時間以上の収入があれば、グループホームに入所しながら独立しての生活が可能だ。

    例:障害基礎年金+給与=グループホームの入居費+生活費+小遣い

障害者の雇用率の調査(算定基準日)は毎年6月1日にあり(6.1調査)、
4~5月に雇用の働きかけが多いそうなので、就職したい人はその時期がチャンス!
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  *障害者雇用の課題
 
障害を持った方は、職場で熱心に働き充実感を得る。
が、その半面、帰宅すると職場での不安感や疲労感が現れ、無口や家庭不和を招くこともある。
家族は、本人の家庭での様子や体調を「らいむ」のような仲介者に知らせ、調整を図ってもらうことも必要。
本人の体調が低迷しているようであれば、客観的に判断をして休みをもらうよう対応する。
 (らいむ対応)
  例えば、店長などが変わると、人事や仕事の内容が変わるなど、環境の変化に対応できず、
  パニックになったり、極度の緊張から体調を崩したりする。そのため、その時期はスタッフが新店長に
  挨拶に行き、注意点や対応等の説明を行い、潤滑油的な役割を果たす。
  また、店長が変わっても環境に左右されないように、パートの人(数年定着して働いている人)を通して、
  仕事の指示を出してもらうなどの工夫をされている。


このように、就職を希望している方がいる一方、
中には、就業のトラウマがあり就職したくないと感じている人もいます。
必ずしも、全ての人にとって就労が一番いいということではなく、
各個人の適正を見つけて行くことが必要であると感じます。
先ずは、一人で悩むのではなく、家族、関係機関、企業、そして「らいむ」のような就労支援センターなどと
連携をとり、自分らしく生きれる道を探っていけばいいのではないでしょうか。


                                   以上、「フリ―スペース花」に参加しての記