こんにちは
伊勢志摩バリアフリーツアーセンターです。
鳥羽の旅館「扇芳閣(せんぽうかく)」の館内用車いすの発注を手配し、この度納品されました。
扇芳閣さんといえば、2003年と2006年に当センターの専門員らと共に「ユニバーサルルーム建築プロジェクト」としてバリアフリールーム3室を作り上げた、
我々にとっても思い出深い旅館さんです。
当センターの設立が2002年なので、その翌年に第1弾のプロジェクトが始動したのですが、
当時は旅館でのバリアフリールーム(ユニバーサルルーム)があまり一般的では無かった頃。
実は当センターができて間もなく、
当センターの理事でもあった扇芳閣の谷口専務が、「ウチの旅館の自慢のバリアフリーを見に来て欲しい!」というので伺ったところ、
スロープの傾斜は急だし、バリアフリールームの洗面所前には段差があるしと、ダメ出しばかり。
当時谷口専務は、全く歩けない人が旅行に行くという発想が無かったのですね。
そこで、当事者目線で本当に使えるユニバーサルルームを!ということで、
プロジェクトを立ち上げました。
↓2002年10月5日 第1回検討会議
中央の黄色のネクタイが谷口徹専務です。
それから何回もの検討を重ねて完成したのが、
ツインのユニバーサルルーム
自慢は浴槽と同じ高さのベンチ
通称「おしりスリスリベンチ」は、脱衣所からつながっていて、
足にマヒがある方でも、おしりをスライドさせることで、浴槽まで移動することができます。
2006年1月からの第2弾では、ファミリーでも泊まれる和洋室をと、
再びプロジェクトが開始されました。
2006年5月21日 施工中の客室での確認
この時、工事途中の現場に車いすユーザーが入るため、
床の端材など、すべてキレイにしていただきました。
そして完成したのが和洋室のユニバーサルルーム2室
ベッドとベッドの空間が広く、車いすが回転できる幅があります。
脚の高さの違うテーブルを設置することで、
車いすユーザーがでも小上がりに上がらなくても食事ができるようになりました。
他にも工夫がいっぱいのユニバーサルルーム。
今でも当センターにご視察頂いた方にご案内することが多いのですが、
15年以上昔に作ったとは思えないアイデアの数々。
それらが今のユニバーサルルームのスタンダードになっているのが、
本当に感慨深いですね~。
2008年春にはプロジェクト第3弾ということで、
大浴場と家族風呂のバリアフリー化を目指し、図面まで出来上がったのですが、
その年の夏に専務が倒れられて、プロジェクトは中止に。
その後、12年の闘病の後、2020年12月に逝ってしまわれました。
あれから1年。
奥さまでもある女将の発案で、
谷口専務の寄贈という形で扇芳閣の館内用車いすを新調することになりました。
それがこの車いす!
タイヤはメンテのしやすいノンパンクタイヤ。
背もたれや座面がレザー調で高級感がありますね!
たくさんの宿泊客に使っていただけるよう、
ロビーに置いてありますよー。
旅館って結構広いので、高齢で足腰が弱くなっている方にも便利に使っていただけることだと思います!