カズオ・イシグロの新刊 『クララとお日さま』
土屋政雄訳

イシグロさんの本はいつも買ってたのですが、今回は県立図書館で借りて読もうと思ったらやっぱり予約待ちになってました。でも、5番目くらいだったので、待っていたら昨日借りることができました。
(行く人が多い私立図書館だと20人くらい待ってました)
AIのお話ってことはもう色々と書かれていたので、どういうAIなのかしら?と思って読み始めました。
クララは子供のお友達として作られたAIの中の1人。
子供といっても小さな子供向けというよりも、10歳くらいから上の子供向けという感じです。
クララの言葉で語られるこのお話は最初は世界の全体像がよくわかりません。
クララがその世界をだんだん広げていくに従ってお話の中の世界がわかってくるという仕組みになっています。
結局最後まで分からないことも沢山あるのです。
『私を離さないで』も特殊な立場の子供の視点として描かれていましたが、このお話も子供のAIとして作られたクララの視点から見た世界を描いていく手法です。
AIとしてのクララは子供として作られているけれど、能力は高くて色々と吸収し学んでいきます。
クララはジョジーが大好きで役に立とうと働くほのぼのとした物語、では終わらないのがイシグロさんのお話。
この物語の中にはAIと人、人間と人間、子供と子供、子供と大人という様々な格差や隔絶、子供の能力開発、AIを使う人間の問題、AIはどこまでが機械なのか?、社会の階層ってなんなのか?とか、ソフトに語られる中に色々な事が含まれていています。
読み終わった後にもう一度考えないとと思わせられます。
そして、象徴的に書かれているけれど、今の私たちが対峙している問題とも深く関連しているのでは?と考えさせられるのです。
これぞカズオ・イシグロと思いました。
1日で読んじゃったけど、返す前にもう一度ゆっくり再読しようと思います。
久しぶりに図書館行ったら、また沢山借りてきてしまった😅
最近は再読が多かったけど、やっぱり新しい本を読むって楽しいなと思うのでした。