部屋ごとに趣が異なる。
この時の部屋は安南風の赤い内装。
狭いけれども快適に過ごせる。

レバーを下げて重い木枠の窓を両開きにする。
心地よい生活音が入ってくる。
アレクサンドル・デュマを原語で読む。

シャンゼリゼに近いから
ホテルで食事する人は少ない。
満ち足りた時が過ぎてゆく。

メニューがうれしい。
リ・ド・ヴォ。
伝統的な料理が普通にある。

19世紀とあまり変わらない通り。
この辺り斜めに交差する道が多く
方角を失うことがある。

ルイ16世の末弟アルトワ伯。
その邸が近い。
後のシャルル10世である。

復古的すぎた王は不評を買い
支流のオルレアン家に譲ったが
一代限りで二度と王制は復活しなかった

つきあたりがアルトワ通り
ひっそりとした一角に
ホテルはたたずむ。

HÔTEL DANIEL PARIS
Quatrième Étoile ☆☆☆☆
本物の充足と休息を求める方に。