3月31日21時51分配信 毎日新聞
第一生命保険が４月１日、東京証券取引所第１部に上場、契約者約７３８万人に約２８９万株と総額１兆円近い現金が配られる。契約者は「臨時ボーナス」の使い道に思いを巡らせ、証券会社は株主の奪い合いを展開。エコノミストからは、消費底上げ効果や株式市場の活性化など、「第一生命特需」を期待する声も上がっている。。。
俺は株主になる道を選んだ。のだが…
確定拠出年金と同じ道を歩まぬように気をつけナイト。
◇契約者７３８万人に２８９万株、現金１兆円
「ご祝儀相場で、売り出し価格（１４万円）の倍にならないかしら。そうなれば売ります」。１０年前に第一生命の定期付き終身保険に加入した東京都江戸川区内の女性（６６）は、１・２株分を割り当てられ、端数分は現金約２万７０００円で受け取る。思惑通りなら「ボーナス」は約３０万円。大型連休で旅行や買い物を楽しむ余裕ができると皮算用する。
東京都多摩市の自営業の男性（６０）の割り当ては２・８３株。「株は下落リスクもある」と、すべて現金で受け取ることにした。「娘の結婚資金の足しにでも」と、４０万円弱のボーナスは当面、預金しておくという。
東京都内の第一生命の営業職員の女性（６６）によると、現金を選ぶ契約者は、旅行や外食、買い物のほか、車検、納税など、もともと払わなくてはいけない費用に充てたい、と話すことが多いという。ボーナスの落ち込みを「臨時ボーナス」で穴埋めする構図だ。中には、割り当てられたことを妻に知らせないまま、自分の口座に振り込むよう指示してくる夫もおり「自分の保険なので問題はないが、きっと飲み会に消える。第一生命の契約者の妻は気を付けた方がいい」と助言する。
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第一生命が相互会社から株式会社に転換するのに伴い、会社の所有者は契約者から株主に変わる。すべての契約者（約８２１万人）について、これまで支払った保険料がどれだけ会社の利益に寄与したかを計算。貢献度合いに応じて株式を割り当てる。１株に満たない分や、株式の代わりに現金を希望する契約者には現金を配る。契約時に決めた運用利回りが、実績より高く、会社の利益の圧迫要因になっている契約者ら約８３万人は対象外だ。
上場規模では９８年のＮＴＴドコモの方が大きいが、ドコモの売り出し価格は３９０万円と、気軽に投資できる金額ではなかった。農林中金総合研究所の南武志氏は「株主のすそ野が広く、契約者に現金が渡る今回の方が、上場のインパクトは大きいのでは」と話す。
さらに、野村証券金融経済研究所の木内登英氏は、０９年の定額給付金（約２兆円）と同様、現金給付の３割程度が消費されるとみて、上場の国内総生産（ＧＤＰ）押し上げ効果を約０．０７％と推計。南氏も０．１％程度を見込む。だが、雇用や所得環境の厳しさから、いずれも「一定の景気浮揚効果はあるが、大きく底上げするほどではない」と見る。
株式を取得する１２０万人超の契約者を巡る争奪戦も始まっている。上場業務を担う証券会社の取りまとめ役（主幹事）の野村証券に口座開設するケースが多いが、競合他社も黙ってはいない。松井証券は１日、他社の口座から第一生命株を移せば、手数料（最大１０５０円）相当額と現金２００円を渡すキャンペーンを始める。大手やネット証券各社もホームページに上場スケジュールや株の受け取り方などの解説を掲載、取り込みを図る。
国内最大級の上場に対しては「第一生命株購入のため、ほかの株が売られ、相場が下がる」との懸念もあったが、３１日の日経平均株価は一時、昨年来高値を更新し「株価の重荷にはなっていない」（大和証券キャピタル・マーケッツの西村由美氏）。大手証券幹部は「第一生命の株価が上昇すれば、株に関心を持つ個人が増えるのでは」と、投資家心理への好影響を予想する。
◇初日取引、午後１回だけ…東証厳戒
第一生命の株主は、上場後の購入者を含めると約１５０万人。ＮＴＴ（１０３万人）を抜いて国内最多になる。東証や証券会社の想定を上回る売買注文が殺到すれば、システムトラブルを引き起こしかねない。
そのため東証は上場日の１日、第一生命株の午前の取引を見合わせることにした。午後１時に売り注文と買い注文を１回だけ成立させ、初値を決めたところで当日の取引を終了する。異例の取引方法について東証の斉藤惇社長は「膨大な株主の誕生はうれしいが、周到な準備が必要だ」と説明する。
６月下旬に予定している第一生命初の株主総会も国内最大規模になる可能性がある。株主の１％が出席するだけで１万５０００人になるため、約３万人を収容できる幕張メッセ（千葉市）を会場に押さえた。ＮＴＴが昨年、東京都内のホテルで開いた株主総会の出席者は約１６００人だったが、余裕を持たせた。議案書など株主に送る書類は少なくとも１５０トンに上るという。
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仲村ロンリー
