若林秀樹
米シンクタンク研究員
http://opinion.infoseek.co.jp/article/96
世襲制は改革阻害の最大要因
2009年05月11日 若林秀樹
記事本文
民主国家は、国民が直接政治に参加する直接民主制でなければ、選挙などによって自らの意思を代弁してくれそうな代表者を選出し、その代表者をつうじて政治に参加する間接民主制である。いずれにせよ、大切なことは、代表者を選ぶ権利と同時に、自らが代表者になれる権利が確保されていることである。しかし残念ながら、政党中心の議院内閣制を採用している日本においては、そもそも政党公認の候補者になれる権利が実質的に世襲制で、極めて制限されているのである。世襲議員の言い分として「法の下の平等を定めた憲法14条、職業選択の自由を定めた22条に抵触する」「議員だった親や祖父母から直接学ぶ点が多かった」「最終的に有権者に選ばれない世襲議員は淘汰されるから問題ない」などということが言われる。
確かに、一理はある。しかし問題は、世襲議員の権利をどう守るかにあるのではなく、政党公認候補者の選出方法が極めて不透明であるなかで、実際にどのような民主的な手続きによって候補者を選ぶかにあるのである。小泉純一郎元総理は、長年応援してきた後援者を前に、自ら議員を引退すると同時に、二男を後継者に指名することを表明し、マスコミにも大きく取り上げられた。小泉純一郎氏は、祖父の代から続いた世襲議員である。祖父が初当選した1908年以降約1世紀の間、小泉家は議員の座を守り続け、首相まで出したわけである。その小泉氏が息子を後継者に指名したことは、事実上の政党公認候補者を決定したのに等しい。実際、自民党神奈川県連は、二男以外の候補者を選ぶことができるはずがないし、それを求めること自体が無理な日本社会の実態なのである。
しかし神奈川11区40万人の有権者の中で、息子より優秀な候補者は数多くいるかもしれないし、最大の問題点は、政治家を志す若者たちの夢をぶち壊したことである。世襲制が続けば、結果として優秀な人材は政治家を志さなくなる。現象的に起こっていることは、選挙区の「空き」がないので、自分の主義・主張と違う政党から立候補する政治家が多くなり、これでは二大政党制の定着にもつながらないし、日本のためにもならない。アメリカでも世襲議員がいない訳ではないが、数は圧倒的に少ない。候補者決定に際しては、極めて透明性の高いオープンな候補者選出システムがある。政党の候補者になるために、まず自ら名乗りを上げること自体は、基本的に自由であり、予備選挙等によって党員、有権者の厳しい目に晒され、最終的に政党の候補者として選出されるのである。
アメリカでは、オバマ大統領やクリントン元大統領のように、ほとんど知名度のない無名の政治家が、それぞれ上院議員、州知事を経て、大統領になれる道が開かれているのである。法律で世襲制を禁止することが難しいのであれば、政党がその選挙公約で世襲制に対する考え方を明確にすべきである。世襲制の良し悪しを別にして、ジバン(地盤:後援会)、カンバン(看板:知名度)、カバン(鞄:資金力)の3バンを活かすという観点に立てば、世襲制が最も効率的な制度であることは理解できる。その上で、民主的な方法によって候補者を選ぶことが現実には難しい実態を考えれば、政党は一定の範囲内の親族が同じ選挙区から立候補することを認めず、また政党内で恣意的に候補者に選出されることを防ぐ公正なシステムを導入すべきである。
日本の改革が遅れている理由の一つが政治家の世襲制にあることは明らかである。ここは、思い切って実態としての世襲制を制限すべきであろう。
若林秀樹
米シンクタンク研究員
1954年東京生れ。1976年早稲田大学商学部卒業。1979年ミシガン州立大学院農学部修士課程終了。(財)日本国際フォーラム常勤参与/CSIS(戦略国際問題研究所)非常勤客員研究員。80年からヤマハ(株)勤務、労組役員を経て93年からワシントンの日本大使館1等書記官として政府開発援助(ODA)と日米協力を担当し米国際開発庁(USAID)から表彰を受ける。帰国後は電機総研副所長を務め、01年民主党比例区で参議院議員に初当選。在職中は「次の内閣」経済産業大臣・財務副大臣、国際局副局長を歴任。さらにイラク、シリア、イラン等を訪問し安全保障、復興支援、核問題等幅広く国際問題に取り組む。現在は日々の研究活動に加え、日米関係の視点でアメリカの情勢をニュースレターで発信中。
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長谷川博 2009.07.11 世襲議員批判
http://blog.livedoor.jp/taxhirohase/archives/83845..
議員の歳費(給料)と世襲議員
最近読んだ本の中から、河村たかし前衆議院議員(現名古屋市長)著「この国は議員にいくら使うのか」(角川SSC新書2008年9月)とジャーナリスト・上杉隆著「世襲議員のからくり」(文春新書2009年5月)を取り上げ、感想を一言。
世界各国の議員歳費(年額)を比較すると、日本の衆議院(定員480)・参議院(定員242)議員の歳費は、各2200万円(他に文書通信交通滞在費1200万円)となっており、アメリカの下院(435)・上院(100)議員の歳費各1850万円、イギリスの下院(646)・上院(749)の歳費、下院議員各1250万円(その他雑費・通信手当650万円)、上院議員無給(事務所手当・議会1日当たり15000円)、ドイツの連邦議会議員(613)各1450万円(その他職務手当740万円)・連邦参議院議員(69)無給(職務手当・旅費130万円)と比べて高額である。
また、日本では、政党助成金(交付金)として税金から辞退している共産党を除き、6党へ年合計320億円(国民一人当たり250円)が拠出され、政党支部へ年約500万円が交付されている。
日本の国会議員の歳費が高額であるのは、国会法の「議員は、一般の国家公務員の最高の給料額より少なくない歳費を受ける」(同法35条)という規定が理由である。事務次官の本俸は、約2000万円(その他手当が付く)であるからこれを下回ることができない。
地方議員でも、名古屋市議会議員の年収は、約1650万円(他に政務調査費660万円)であり、都府県会議員や市会議員等は大きな自治体ほど高額となっている。
因みに、ソウル市議会議長の議長としての給料は、年約260万円(円換算)というから驚きである。なお、ロサンゼルスの市議では年収1500万円と言われている。
このように日本の議員の歳費(給料)が高額なことからも、「職業議員」が生まれ、世襲議員が多くなっているという弊害が生じている。
さらには、議員の特権として、議員年金の優遇制度や国会議員の億ション議員宿舎についても問題となっている。
今や議員(公務員)には、「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」(憲法15条2項)という「パブリック・サーバント」の意識が薄れてきていると言っても良いだろう。
「職業議員」(世襲議員・家業)に対抗して選挙で勝ち残ることは極めて困難になっており、アメリカ等で見られる選挙民からの「寄付金型議員」の数はまだまだ多くはない。
外国の地方議員には、ボランティア型の議員で日当支給というケースも多く存しており、日本でも福島県矢祭町のように日当制の議員も生まれていることには注目すべきである。
麻生内閣の閣僚ポスト18人中12人(67%)は二世議員であり、「世襲議員」は自民党で40%、民主党で20%となっている。
イタリアは比較的世襲議員が多いが、アメリカの世襲議員の比率は5%、イギリスの下院で3%である。アメリカやイギリス等では選挙制度の違いもあるが、議員の能力(議員以外の経歴や演説能力など)が問われ、世襲に左右されることはない。
世襲議員は、地盤(後援会組織)、看板(知名度)、かばん(選挙資金)に支えられ、有力な後援者も世襲に頼っているところもある。政治家には、「政治団体」とは別に「政治資金管理団体」があるが、政治資金管理団体にプールされた資金は相続税の対象外として世襲される仕組みになっている。
2009年になって、衆議院議員選挙が近づき、各党から「世襲議員制限法」立案の動きが出てきたが、週刊文春での上杉隆氏の世襲批判キャンペーンも影響しているようである。
しかし、間近かに迫った衆議院議員選挙のマニフェストでは自民党は後退したようである。
「世襲議員」は、苦労が少なく「胆力」がなくブレ易いという共通の性格があるらしい。日本の「タレント議員(政治家)」は、一般的に目立ちたがり屋でかつ一度議員(政治家)をやったら止められないようである。
両者ともタックスぺーヤーとしての苦労や国民のための政治という意識が足りないところも共通している。
議員の数を大幅に減らし、歳費(給料)を大幅に減額することで、本当のパブリック・サーバントとしての真価が問われることになるだろうし、選挙民の見識も問われている。
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2005年の投稿 イギリス在住の日本人より
世襲議員の廃止を!
私は民主主義の発祥地英国に30年ほど住んでいます。
言い換えれば、日本の政治をアウトサイダーとして、客観的に見ら
れる事が可能です。
韓国の落選運動は、長年の軍政から民主主義を勝ち取った過程で発
生しました。
日本の民主主義は残念ながら、民衆が勝ち取ったものではなく、
マッカーサーに押し付けられたものとして残り、いまだに根付いて
いないのが実状です。
私は今回日本の皆さんにして頂きたいのは、世襲議員の撤廃だとお
もいます。
竹下、梶山、どちらも”先生のご子息が”地盤を”相続”するそう
です。
又、病で倒れた小渕前首相の後釜に、”小渕婦人か、英国で留学/
遊学中だったご息女”との話が出ていると聞いています。
二世、三世議員の能力の是非は別として、選挙区を私有化し、相続
などとはもっての外です。
英国人によると、このような習慣は英国でも150年ほど前まで
あったそうです。
先ず、何がなんでも、竹下、梶山の息子を落選させてください。
そして、将来は癒着、そして汚職の元凶となる”出身地=選挙区”
の選挙方法の改正が必要でしょう。
英国式が全て良い訳でなく、欠陥も多々ありますが、先ずそのたたき台として、政党の中央からの
候補者の推薦、地方の政党審議会での選抜選挙、等によって、候補
者が選挙区を移動できるようにしてはどうでしょうか?
中央政党としては、有能で、どうしても必要な人物を、安全で確実
な選挙区に送り込む事で、人材の確保が出来、国民に取ってみれ
ば、大名のお国替えの様なもので、地域との癒着が減ります。
但し、このためには、国民そのものが、自分の地域だけ良ければ・
・・といった考え方を放棄する事が必要です。
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江川紹子ジャーナル より
http://www.egawashoko.com/c006/000273.html
世襲政治という「聖域」
2008年09月26日
ーー 日本を元気にするのは、まず政治の世襲の廃止から――
これを合い言葉に、次の選挙では、どの政党であれ世襲の政治家には投票しない、というのもいいかもしれない。
政治家が、自ら改革しないのであれば、有権者が投票行動で示すしかない。
憲法に規定されている権利でも、その職業によって制限が加えられることはある。警察官や刑務官には憲法が勤労者に保障している団結権や団体交渉権は認められていない。裁判官には、言論の自由に制約がある。
国会は国権の最高機関であり唯一の立法機関。その議員は、日本のあらゆる仕事の中でもっとも公共性が高いと言える。
その立場を私することは、絶対に許されない。そういう公益を守るために、一定の制約が加えられるのは、やむを得ない。
国会議員の世襲――これこそが、政界の人材難を招き、政治の活力を奪っている最大の要因だろう。
2代続いて政権を投げ出したのも、かつての首相の孫と息子だった。
総理大臣経験者の孫が一年で政権を放りだした後、別の総理大臣経験者の息子を首相に据え、それがまた1年で投げだし、さらに別の総理大臣経験者の孫を選ぶ……
なんて国は、先進国と呼ばれる民主主義国家の中で他にあるだろうか。
これでは、国の代表者の選び方という点では、北朝鮮を笑ったり批判したりできないどころか、逆に向こうからバカにされているのではなかろうか。
総務大臣となった鳩山邦夫氏。彼は、お金のことで苦労したことはないだろう。その彼が、疲弊しきった地方の財政、自治に関わる業務を統括する。
あるいは、少子化対策と男女共同参画担当の内閣府特命担当大臣となった小渕優子氏。民間にたとえれば、入社8年目の女性社員が出産して、職場に復帰したと思ったら、重役に抜擢されたようなものだが、同族会社でもない限り、考えにくい大出世だ。
子どもが一歳となったばかりだそうだが、彼女の場合、保育園が見つからずに職場復帰に苦労する女性たちの苦労は無縁だ。
この陋習を「ぶっこわし」てこそ、つまり政治を停滞させている政界を変えてこそ、「聖域なき」改革と言えるのではないか。
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ケントさんより
馬鹿な世襲議員はいらない
http://ameblo.jp/ktnyyk/entry-10552481881.html
鳩山氏が政権を放り投げたのだが今度こそ世襲議員は社会の重要なポストに就くのはやめてもらいたい。
ろくな奴がいない。
鳩山、麻生、安部、小泉とすべてそうではないか。
民主党のつまずきは政権の代替わりのしょっぱなに実力ではなく、
親の威光で議員になった馬鹿な世襲議員などを首相にするからこのようなことになるのである。
日本の世襲議員が多数生まれるのは自民党という腐れきった政権であったからそうなったと国民は解釈しているはずであるから、この新しい民主党政権では有ってはならなかった。
中国の唐の時代は貴族制であり、実際には科挙はあって試験によって官僚は生まれていたのであるが、重要なポストは世襲貴族が独占していた。この時代は中世であって発展性のない暗い時代であった。
これをグラフで表せば縦軸を発展度、横軸を時間でとれば発展的歴史観では、後漢のころまでは基点から右上に上がっていくのであるがこの貴族制の時代は上向きにならず水平または下向きになるのであろう。後漢のころは道徳がしっかりしていたが貴族制になると道徳が崩れ出した。
現在の一党独裁の中国の古参の子弟が世襲し太子党といって力を持ってきているらしい。そのレベルの国であるのだろうと笑っていたが日本ではそれよりおかしな事態となっている。一般の人がうどん屋をひらき子供に後を継がせるように、この連中は政治を飯の種にしているのである。良い政治などできるわけがない。
実力ある自力で以て議員になった優秀なものは当然有能なスタッフを選ぶのも実力のうちであるが、世襲の場合はその親、後援者がはじめより優秀なスタッフを用意してあげていないといけない。
何回か前に首相をやったAなどは下で仕えるものがバカだらけで政権の終末が悲惨であった。その前のKなどは下の仕えるものに恵まれて一応体裁が良い状態であった。
民主党の女性の世襲議員のTなどであれば選挙に勝てるとかいうが、世襲の、優しそうな、芸能人風のオバチャンのような男議員、正真正銘の世襲のオバチャン議員は勘弁してもらいたい。
江戸時代の町人は「近代国家の観念」が欠如を西洋人から指摘されていたが、今日の日本人もほとんど国防意識に欠ける国民となっている。だからこのようなバカな世襲議員を選ぶのである。
今日重要なのは、これを打破する処の国民啓蒙運動である。今、幸いにもネットがある。ネットはよいのは一人ひとりが運動を始められる。早く運動を始めないといけない。