JQ7AREの「和文ラグチューができるようになるまで」

和文電信は激ムズです。
私が、和文で高速ラグチューできるようになるまでにやったことをみなさんと共有します。

アマチュア無線の和文電信はなんでもありです(無線規則を守る限り)

2023年05月01日 18時03分38秒 | 和文ラグチュー

 

私は毎晩144Mhzでローカル局と和文交信を楽しんでいます。

このローカル局は私の師匠なのですが、いつも大切な事を教えてくれます。

 

アマチュア無線を続けていく上での心構えや、和文の楽しさ(難しさ)など、様々なアドバイスを数え切れないほど与えてくれました。

今でも毎晩の交信で、はっと気付かされることがあるので、自分の技術を磨くことに加え、会話すること自体が楽しみになっています。

 

聞いた時点では理解できなかったことも、いろんな局と交信を重ねていくうちに、自分の中で腑に落ちる瞬間がありました。

 

今回は、私が師匠から教わって、今でも心に留めていることを紹介します。

 


 

その1

 アマチュア無線での和文電信はいくら速くてもいい

 

いきなり元プロの方から怒られそうですが、私もそのとおりだと思います(思うようになりました)

 

プロの通信は一言一句間違ってはいけませんので、確実に書き取って、他者にも共有できるようにしなければなりません。

記録も残さなければなりませんからね。

 

しかし、アマチュア無線の世界は違います。

 

アマチュア無線は趣味なので、いくら高速で送信しようが、送信内容を間違って取ろうが問題ありません。

普段の対面での会話でもあるじゃないですか。他愛も無い会話のときは、全部聞こえなくても適当に推測して返事したり、冗談で返したりとか。

方言、口癖、なんでもありなんですよ。

みなさん、まずは気楽に行きましょう。

 

「和文電信は相手に伝わることが重要なので、ゆっくり確実な符号で打たなければならない。」

これ、よく耳にする言葉なのですが、高速ラグチューができる和文局同士であれば30wpmでも通信可能なので、わざわざゆっくり打つ必要はまったくありません。

例えば7Mhzなんかは全国放送(条件が良ければ全世界放送)なので、たくさんの局がワッチしているでしょうが、別にみんなに聞いて欲しくて電信を打っているわけではなく、相手局と自分がコミュニケーションを取っているわけですから、お互いが意思疎通できる最大スピードで符号を打っても、誰からも文句を言われる筋合いはないわけです。

 


 

その2

 受信よりも送信の方が遥かに難しい

 

今、CWの受信訓練をされている方は、耳を疑うような言葉ですよね。

 

私も師匠から何度もこれを聞かされて、信じることができませんでした。

だって、そこそこ送信はできるようになっても、受信だけはいつも緊張の中、集中力を全開にして挑んで、それでも取れなかったり・・・

受信ができなければ、自分の番が来たときに何を打ったらいいか分からない。

悪循環に陥り、頭が真っ白・・・

初心者の頃、皆さんもこんな経験があるのではないでしょうか。

 

ところが、実際のところ、受信よりも送信の方が遥かに難しいです。

最初は受信で苦労しますが、28wpmくらいの速度が取れるようになると、送信の方が難しいと感じるようになります。

受信は何も考えなくても符号が頭にダイレクトに入るようになりますが、その速度で、ミス無く送信するためにはかなりの訓練が必要になります。

私の師匠はたまに、「自分の送信技術を点検している」ようなことを言いますが、50年以上和文を続けてきた人でもそうなのかー、と感じてしまいますね。

ちなみに私はエレキー符号だと34wpmあたりまでは楽に受信できますが、その速度で送信するとミス連発になってしまいます。相当練習してもこの速度でよどみなく打ち続けるのは困難な作業だと思います。

 


 

その3

 高速送信の練習をしないと、受信が速くならない

 

これはとても大事なことです。

高速で送信できるようにならないと、受信速度が上がりません。

 

私は最初、何のことを言っているのかさっぱり分かりませんでした。

だって普通、和文の受信練習するときって、遅い符号から受信訓練を始めて、徐々にスピードを上げていきますよね。

私も最初の3ヶ月くらいはそうしていました。

 

しかし、師匠との交信が始まったころ、師匠はこう言いました。

「いつもあなたが打てる最高の速度で打ってください。私はどんな速度でも聞き取れますから気にせずに。ミスしまくってもいいので、とにかく速く打ってください。」

「みんな勘違いしてるんだけど、受信が速くなるためには、自分が速く送信できるようにならなくちゃいけないんだよ。」

 

狐につままれたような気分になりましたが、指示にしたがって、がむしゃらに、ミスしまくりでも、とにかく速く打電することを心がけました。

おそらく、エレキーにすると26wpmくらい。もちろんミス連発。

こちらがいくら高速で打っても、師匠は一定の速度で打ち返してくれます。

私は卓球のサーブマシーンに向かって毎回スマッシュで返しているような気分になりました。

 

こんなスポーツの特訓みたいなことを続けて(3ヶ月くらい続けたあとでしょうか)この言葉の意味がしみじみと理解できました。

高速で送信できるということは、頭で考えることなくその符号のリズムを指からキーに伝えることができるということです。

逆を言えば、符号のリズムを聞いただけで、文字に復元できるということになります。

 

うまく説明するのが難しいですが、これが速く送信すると受信が速くなるという原理なのです。

こればかりは、あなたが自身で体験してみてください。感動しますよ!

 


 

今回ご紹介した3つは、今でも目からウロコだ!と感じる金言です。

逆説的で遠回りしているようでも、実は最短距離で和文ラグチューができるようになる心構えなのです。

 

最後に、高速和文ラグチューでは2つの楽しさを感じることができるということをご紹介します。

1 相手の技量へのリスペクトと、それに対応できている自分の技量の満足感から、交信中に興奮してきます。(アドレナリンが出ます)

2 短時間でたくさんの情報が交換できますから、通信内容も充実します。

高速打電の爽快感は、できる人しか味わえない境地です。

 

 

 


わたしが開局してから和文ラグチューができるようになるまで

2023年04月30日 13時46分03秒 | 和文ラグチュー

 

私が開局してから、和文ラグチューができるようになるまでを簡単にまとめます。

 

各段階において本当にたくさん共有したいことがあるので、今後の投稿でどんどん掘り下げていきたいと思います。

 


なお、和文ラグチューとは、このブログでは以下のように考えます。

「エレキーの速度で26wpm程度でおしゃべりを続けること」


 

令和3年6月23日 4アマ取得・開局

FPVドローンをやるため4アマを取得しました。

アマチュア無線にはまったく興味が無かったのですが、せっかく資格を取得したのだし、思い立ってハンディー機を買って開局しました。

家の屋根にモービルホイップをくっつけて、144MhzのFMで遊びました。初交信は震えるくらい緊張したし、交信できたときの喜びは今思い出しても最高の体験でしたね。

しかし、1ヶ月ほど遊んだところで、飽きてしまいました。

私が住んでいる田舎町では交信相手がほとんどいないですし、そもそも会話をすることが苦手なので、電話での交信が億劫になってしまったのです。

 

 

令和3年9月 3アマ取得しHFを始める

144Mhzや430Mhzのメインチャンネルを聞いていてもまったく声が聞こえない・・・

HFをやらないと無線自体をやらなくなってしまうという危機感を覚え、7月に3アマを取得しました。

IC-7300Mを購入し、7MhzのワイヤーDPを屋根の上に上げました。

こんな設備でも結構交信できましたから、HFは面白い!とアマチュア無線の世界にまた1歩入り込んだわけです。

このころ、「山形宮城CW愛好会」の会長JP7AAV新井さんとの出会いがあり、モールスの面白さに触れることになります。

3級の試験で欧文符号は暗記していたのですが、自分で電鍵を叩いたことがなかったので、JP7AAV新井さんが持ってきてくれた様々な電鍵(今思うと美しく輝くバイブロプレックスのバグキーだった)を目にして、CWというものに一気に興味が湧きました。

7MhzのCWの実交信をひたすら聞いて、来るべき初交信に備えました。

 

令和3年10月 CW初交信に成功!

599BKを繰り返している移動局に対し、恐る恐るコールサインを打ち、CW初交信を行いました。

震えながらパドルを打ち、TU E E を打ち終えたあとの達成感たるや、言葉に代えがたいものがありましたね。

その後は、ゆっくりとした(エレキーで15wpmくらい)符号で、599BKや欧文ラバスタで交信を重ねていきました。

私が所属する「山形宮城CW愛好会」のアイボール会があり、超高速バグキー局(今でも毎晩和文ラグチューしている私の師匠)から和文を初めてみたら、とのお言葉をいただきました。

この時点では、正直和文交信は自分には難しくて無理!と考えてましたので、本気で取り組む気にはなりませんでした。

 

令和3年11月 和文初交信に成功!

ダメ元で、和文の符号を覚えはじめました。符号は1週間ほどで一通り暗記し、何度も何度も繰り返しやって記憶を定着させていきました。

13wpmくらいの速度で符号間が空いていれば、なんとか受信ができるようになり、恐る恐る山形宮城CW愛好会の夜の交信会に参加してみました。

山形宮城CW愛好会の交信会は、毎週日曜日の夜8時から3.5Mhzで行われいます。

キー局のCQホレに応答し、人生初の「コールサイン+ホレ」を打ったときは身が引き締まる思いでした。全国放送ですからね・・・

緊張のあまり符号を忘れたり、十分QRSで送信していただいているのに頭が真っ白になって受信できなかったり・・・

極限の緊張の中、15分くらいの和文交信が終わりました。

 

令和3年12月 受信速度13wpmを確実なものに

7Mhzをワッチしていると、符号が速すぎて取れません。

たまに人間業とは思えない高速交信も聞こえます。

縦ブレでゆったりとした局もいますので、この局と交信することを、とりあえずの目標に据えることにしました。

スピードは13wpmくらいです。

わたしのリグはIC-7300Mで、録音機能がついています。

7Mhzの和文交信をたくさん録音しておいて、スマホに入れて通勤中や仕事の休み時間、寝る前など、時間さえあれば聞きまくりました。

一日2時間は受信練習していたと思います。休日は4時間くらい聞いていました。

たまにQRSの局がCQを出していると勇気を振り絞ってお声がけしたりしていました。

 

令和4年1月 受信速度16wpmがなんとかできるように!

QRSだと受信・送信ともに少し自身がついてきました。

1月下旬のある日、144Mhzで隣県の局と和文交信していたら、交信終了後に突然、私のコールサインを呼ぶ信号が聞こえました。

びっくりして応答すると、山形宮城CW愛好会のメンバーである超高速和文局でした。

144MhzのCW帯固定でワッチしているそうですが、最近私の声が聞こえるので呼んでくれたとのこと。

符号はエレキーに限りなく近いバグキーです。私のスピードに合わせて送信していただき、「和文初めたのなら、毎晩交信してみましょうか。」とのお言葉!

この日から、特別な事情がない限り、夜10時の和文ラグチューが始まり、今でもこの習慣は続いています。

 

令和4年2月~6月 楽しみながら和文交信を続ける(受信速度最高28wpm)

毎晩ローカル局との定期交信を続け、7Mhzでもたくさん交信しました。

時間さえあれば、自分から7MhzでCQホレを出して交信を重ねていきました。

和文局の知り合いも増えて、Twitterでの情報交換も進みます。

受信訓練では取れても、実交信だと緊張して符号が吹っ飛ぶことがよくありましたが・・・

 

令和4年8月 1アマ取得

師匠が取れというので、5月のGWから3ヶ月間、すべての時間を投げ売って1アマの勉強をしました。

高校~大学まで文系だったので本当に苦労しました。

努力のかいあってか、なんとか一発で1アマに合格できました!

勉強を続ける上で自分に課した課題はひとつ。

「仕事や子育てで忙しいから勉強時間が取れないという言い訳をしないこと。」

人間言い訳をし始めるとどんどん自分に甘くなります。

徹底的に空き時間を効率化して勉強を続けました。もちろん夜の師匠との交信は一日も欠かさず続けました。

 

令和4年11月 7Mhzでの和文電信が丸聞こえに

飽きずに延々と和文交信を重ねてきたわけですけども、まだまだ伸びしろがあることに気づきました。

というのも、速い符号を聞き逃すことがあっても、その直後にリカバーできるようになりました。

これについては今後の投稿で詳しくお伝えします。

エレキーの符号だと28wpmまではほぼ完璧に取れるようになりました。

 

令和5年2月 どんなに速くても、癖があってもすべて受信可能に!

2月の何日にそうなったかは今となっては覚えてないのですが、聞き取れない符号がなくなりました。

なので私はこの日を「和文ラグチューができるようなった日」としています。

毎晩144Mhzで交信している師匠のバグキーの高速符号が私にとってのベンチマークなわけですが、もう何を言われても(関西弁を混ぜてきたり、オネエ言葉になったりします)すべて取れるようになりました。

7Mhzや10Mhzをワッチしても、他の作業をしながらでも和文がダイレクトに言葉になって聞こえてきます。

もう、緊張することもないし、時間があれば本当に気軽にCQホレを出せるようになりました。

どんなに癖が強くても、高速でも、問題なく受信できるのです。

符号が間違っていたとしても、脳内補完して言いたいことが分かります(日本語でしゃべっててもそういうことありますよね)

 


 

私が開局してから和文ラグチューができるようになるまでをまとめてみました。

皆さんも、和文をやるのであれば、ぜひこの段階まで頑張りましょう。

QRSで天気のお話するだけでは詰まらないですし、いつか必ず飽きてしまいますから。

一生楽しむためのスキルだと思って、全力で頑張ってみましょう!

 

 


このブログの目的は「ラグチューができる和文仲間を増やすこと」です

2023年04月30日 13時12分00秒 | 和文ラグチュー

 

はじめまして。JQ7AREと申します。

私の趣味はアマチュア無線。もっぱら和文電信を楽しんでいます。

年齢は42歳。仕事と子育てしながら、暇をみつけては和文ラグチューを楽しんでいます。

4年前に開局し、すぐに和文電信の魅力に取り憑かれ独学で和文モールスを学習しました。ローカル局に拾っていただき、毎晩22時に144Mhzで30分~1時間ほど和文交信を行うのが日課になっておりました。1年半ほど続け、アマチュア無線で交信が行われている範囲の符号はすべて聞き取ることができるようになりましたので、現在は週に1回程度、このOMとまったりラグチューしています。和文電信は仕事の疲れを癒やし、毎日の活力を得る源になっています。

 

そんな私には悩みがあります。

「このまま、私が年をとっていき、60歳、70歳になったとき、果たして交信する相手は存在するのか?」

 

OMさんとお話していると、「最近はめっきり和文局が少なくなった」という言葉が聞かれます。

ワッチしていると、欧文の移動局はたくさん出ていますが、599BKのシンプルで短い運用スタイルは、和文のおしゃべりとはまったく違います。

あと、私より若い和文局に未だに出会ったことがありません。

いるとは思いますが、交信したことがありません。とても数が少ないのでしょう。

 

このままでは、和文電信の文化が途絶えてしまう。

私がOMさんから、丁寧に、根気強く教えていただいた和文の技術を、もっとみなさんに知って欲しい。

そんな思いから、このブログを立ち上げました。

 

なお、ゆっくりとした符号でシグナルや天気のお話をして73を送られる局がおられますが、それはラグチューとは言いません。和文ラバスタです。

和文でのラグチューを、私は「エレキーの速度で26wpm程度以上でおしゃべりすること」と考えています。

ラグチューの詳しい考え方や、どう楽しいかは後日まとめます。

 

道端で会った人と気軽に話し言葉で会話するような、そんな気楽な交信ができるといいですね。

 

和文ラグチューができる仲間をどんどん増やしていきましょう!

 


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電鍵を打つ動画や、移動運用の様子なども投稿していますので、ぜひご覧ください。

https://twitter.com/PhilipMarlowe00