小川2発含む3発で清水に快勝、5試合ぶりの勝利で暫定6位に浮上。
勝ち点差がそれほどなく、1試合毎に大きく順位が入れ替わる現時点のリーグにおいて、序盤に上位につけていたFC東京も、近4試合で1分3敗と勝ち点を重ねることが出来ず。この試合の結果次第では10位以下にズルズルと順位を下げる可能性もあったが、小川の今季初ゴールを含む2ゴールと安部柊斗の1ゴールの計3ゴールを挙げ、清水に快勝。約1ヵ月前の4月末の国立でのG大阪戦以来の勝利&複数得点、神戸戦以来となる今季最多タイとなる3得点で、4戦未勝利の嫌な流れを食い止めることとなった。
というと聞こえはいいが、前半はあまりいい場面がなかった。清水のプレスを剥がすことが出来ず、アンカーの東や安部への出しどころを封じられ、後ろ向きのプレーを余儀なくされると、ボールを奪われかけるピンチも散見。時折前線へロングボールを送って打開を図るも、ボールを収めるディエゴ・オリヴェイラは次のタッチが流れてボールロストをするなど、やや疲労なのか身体が重く映る場面も。安部や松木が運動量豊富にボールを追いかけるが、ボール奪取までには至らないため、重心低めに位置している東との距離が開き、そこへ生まれたスペースを巧く清水に使われてしまう。
清水は、前線のチアゴ・サンタナを中心に効果的な攻撃を構築。特に左サイドの山原からのクロスは脅威で、幾度となく危ない場面を演出した。11分に左サイドからチアゴ・サンタナがカットインしてシュート、15分に右CKから中央の立田がダイビングヘッド、20分には左サイドからの山原のクロスを抜け出したチアゴ・サンタナが合わせるも左ポストを叩き、21分には中盤で松木からカルリーニョス・ジュニオがボールを奪い、ペナルティエリア手前からチアゴ・サンタナがシュートも枠の右へ外れるなど、立て続けに好機を生み出す。
前半10分以降は清水が主導権を握り、自陣でのビルドアップがままならないFC東京だったが、40分を過ぎるとようやくいくつか形を見せられるようになる。42分に左サイドをドリブルで駆け上がった永井が、ペナルティエリア左角から中央の渡邊凌磨へスルーパスを送るもオフサイド、43分にはディエゴ・オリヴェイラからのパスを受けた永井がペナルティエリア左へパスを出すも、中央に位置していた小川と呼吸が合わずと、最後のところで好機を逸していた。しかしながら、45分、左サイドの小川が中央のディエゴ・オリヴェイラへパスすると、ディエゴ・オリヴェイラが相手の股の下を通すパスを出し、受けた渡邊凌磨がペナルティエリア手前から右脚を振り抜く。GK権田がセーヴするも、こぼれたボールに詰めた小川がシュートを押し込み、長く苦心していたFC東京が先制に成功した。
これがFC東京にとって精神的に大きかったのは事実。それに加えて、前半にアグレッシヴに走り続けていた清水が、飛ばしていくなかで得点を奪えず、失点を許してしまったことで、パフォーマンスが一転。後半は清水の疲労からか中盤に出来たスペースで、FC東京がセカンドボールを回収し始めるようになる。ボールを奪われても素早い切り替えで、ピンチを未然に防ぎ、清水に攻撃のリズムを許さない。
流れがFC東京へ傾き、清水は宮本を下げて神谷を投入。山原のクロスからカルリーニョス・ジュニオが合わせるなど反撃の糸口が見えかけたが、61分に左サイドで松木のプレスから小川がボール奪取に成功すると、中央のディエゴ・オリヴェイラが右サイドを駆け上がる安部柊斗へ展開。直接シュートを打つにはややズレた感はあったが、右サイド奥へ流れたボールを安部が中へ折り返したところへ、ゴール前へ走り込んできた小川がDF立田らの合間から豪快なヘディングをネットに突き刺して、FC東京が追加点をゲット。
清水は、左サイドからのカルリーニョス・ジュニオのカットインクロスをチアゴ・サンタナがヘディングを叩きつけるも枠の上と、惜しい場面も見せるが、ゴール前でのあと一押しが足らず。何とか状況を一変させるべく、72分に清水は片山を岸本に、鈴木唯人をオ・セフンに、白崎を竹内にと一気に3枚替えを敢行。だが、上手く連係が取れずにかえってピンチを招くことに。FC東京が清水陣内へ圧力をかけ続けると、75分に右サイド深くまで進出したディエゴ・オリヴェイラが中村帆高へマイナスのパスを送ると、ペナルティエリア手前から中村帆高がダイレクトで前方へ浮き球クロスを供給。これに反応した安部がヘディングシュートでネットを揺らす。一度はオフサイド判定が出たものの、VARの介入により、オフサイドを取り消して、ゴールが認められ、FC東京が3点目を獲得。
FC東京は79分に中村帆高、ディエゴ・オリヴェイラを長友、アダイウトンに、83分には永井、渡邊凌磨を下げて安田、三田にスイッチした後も、いくつかチャンスを演出。特にアダイウトンの突破で清水ゴールを脅かした。90分に三田とのワンツーパスから左サイドのディフェンスの裏へ抜け出し、独走ドリブルでペナルティエリア左に侵入したアダイウトンがGKとの1対1の絶好機を迎えるが、ここは清水・GK権田が好セーヴ。4失点目は何とか防いだ。
FC東京は運動量豊富にピッチを駆け巡った松木を下げて、青木を投入。なかなかボールを奪えない清水を尻目に、ややペースダウンしながら、左・安田、中央・アダイウトン、右・三田の前線3枚で数回清水陣内へ攻め込み、得点機を窺う。結局、そのままタイムアップ。FC東京はディエゴ・オリヴェイラのJ1通算200試合出場を白星で飾った。清水は前半の鋭いプレスを続けるなかで得点を奪えなかった反動が後半に響いたか、後半の中盤以降は動きが鈍って中盤でスペースを作ってしまい、FC東京の攻撃を安易に許してしまった。ホームゲーム3連敗、ホームでは今季未勝利という厳しい結果に。
結果を見れば快勝なのだが、もろ手を挙げて喜ぶのはまだ早いか。清水が前半終了にFC東京にゴールを許してからは、やや自滅気味なってしまったため、ハーフタイムを経てFC東京のギアが上がったのか、清水が疲労の影響でパフォーマンス性が落ちたのか、少々分かりづらさもある。勝利は決定づけていたが、途中出場となったアダイウトンや安田らがゴールを奪えそうなシーンでもう1点獲るくらいの積極性を見せてもよかったとも感じる。強いチームとはそういう貪欲さを常に持ち合わせているからだ。
東のアンカーも巧くこなしていた。左SBの小川や渡邊凌磨が中へ切れ込んでいくシーンもあり、中村帆高の持ち上がりからのクロス、素早いプレスバックで危機を防いだディエゴ・オリヴェイラや前線からプレスをかけ続ける永井といった献身的な動きもあった。ただ、これがより強度の高い相手に実践出来るかどうか。前半のような手詰まりを見せ、相手に先制を許した場合に、そこから反撃へと舵を切るパフォーマンスが出来るか。次節は中3日で首位の鹿島との対戦。勝ち点差は8。前半戦最後のホームゲームで、上位へ食らいつけるかどうかの分水嶺となる一戦に、自分たちのサッカーが表現出来るか否か。期待して待ちたい。
◇◇◇
【明治安田生命J1リーグ 第15節】
2022年5月25日(水)19:03試合開始 IAIスタジアム日本平
入場者数 6,806人
天候 晴 / 気温 21.2℃ / 湿度 61%
主審 上田益也 / 副審 唐紙学志、鈴木規志
第4の審判員 佐藤貴之
VAR 松尾 一 / AVAR 聳城 巧
清 水 0(0-1 / 0-2)3 FC東京
得点:
(清)
(東)小川諒也(45分)、小川諒也(61分)、安部柊斗(75分)
〈試合経過〉
45分 得点 東京 小川諒也
56分 交代 清水 宮本航汰 → 神谷優太
64分 得点 東京 小川諒也
68分 警告 清水 白崎凌兵
72分 交代 清水 白崎凌兵 → 竹内 涼 / 鈴木唯人 → オ・セフン / 片山瑛一 → 岸本武流
75分 得点 東京 安部柊斗
79分 交代 東京 中村帆高 → 長友佑都 / ディエゴ・オリヴェイラ → アダイウトン
80分 交代 清水 カルリーニョス・ジュニオ → 西澤健太
83分 交代 東京 永井謙佑 → 安田虎士朗 / 渡邊凌磨 → 三田啓貴
90分 交代 東京 松木玖生 → 青木拓矢
◇◇◇
【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 24 ヤクブ・スウォビィク
DF 37 中村帆高 → 長友佑都(79分)
DF 30 木本恭生
DF 03 森重真人
DF 06 小川諒也
MF 31 安部柊斗
MF 44 松木玖生 → 青木拓矢(90分)
MF 10 東 慶悟
FW 23 渡邊凌磨 → 三田啓貴(83分)
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → アダイウトン(79分)
FW 11 永井謙佑 → 安田虎士朗(83分)
≪サブスティテューション≫
GK 13 波多野豪
DF 29 岡崎 慎
DF 05 長友佑都
MF 16 青木拓矢
MF 45 安田虎士朗
MF 07 三田啓貴
FW 15 アダイウトン
≪監督≫
アルベル
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【FC東京 2022シーズンスケジュール・J1リーグ】
第01節 02月18日(金)19:00 ✕FC東京 0-1 川 崎(A・等々力)
第02節 02月26日(土)15:00 FC東京✕名古屋(H・味スタ) ※中止
第03節 03月06日(日)16:00 〇FC東京 1-0 C大阪(A・ヨドコウ)
第04節 03月12日(土)15:00 〇FC東京 2-1 広 島(H・味スタ)
第05節 03月19日(土)14:00 〇FC東京 1-0 京 都(A・サンガS)
第06節 04月02日(土)19:00 ✕FC東京 1-2 横浜FM(A・日産ス)
第07節 04月06日(水)19:00 〇FC東京 3-1 神 戸(H・味スタ)
第08節 04月10日(日)14:00 △FC東京 0-0 浦 和(H・味スタ)
第09節 04月16日(土)13:00 △FC東京 0-0 札 幌(A・札幌ド)
第02節 04月20日(水)19:00 △FC東京 0-0 名古屋(H・味スタ)※代替
第10節 04月29日(金)19:00 〇FC東京 2-0 G大阪(H・国 立)
第11節 05月03日(火)17:00 ✕FC東京 1-5 福 岡(A・ベススタ)
第12節 05月08日(日)15:00 ✕FC東京 0-1 鳥 栖(H・味スタ)
第13節 05月14日(土)14:00 ✕FC東京 1-2 磐 田(A・ヤマハ)
第14節 05月21日(土)15:00 △FC東京 0-0 柏 (H・味スタ)
第15節 05月25日(水)19:00 〇FC東京 3-0 清 水(A・アイスタ)
第16節 05月29日(日)15:00 FC東京✕鹿 島(H・味スタ)
第17節 06月18日(土)18:00 FC東京✕湘 南(A・レモンS)
第18節 06月26日(日)19:00 FC東京✕鳥 栖(A・駅スタ)
第19節 07月02日(土)18:00 FC東京✕福 岡(H・味スタ)
第20節 07月06日(水)19:00 FC東京✕札 幌(H・味スタ)
第21節 07月10日(日)19:00 FC東京✕浦 和(A・埼 玉)
第22節 07月17日(日)18:00 FC東京✕磐 田(H・味スタ)
第23節 07月30日(土)19:00 FC東京✕広 島(A・Eスタ)
第24節 08月07日(日)18:00 FC東京✕清 水(H・味スタ)
第25節 08月13日(土)19:00 FC東京✕C大阪(H・味スタ)
第27節 08月27日(土)19:00 FC東京✕ 柏 (A・三協F柏)
第28節 09月03日(土)・04日(日) FC東京✕横浜FM(H・味スタ)
第29節 09月10日(土)・11日(日) FC東京✕G大阪(A・パナスタ)
第26節 09月14日(水) FC東京✕神 戸(A・ノエスタ)※
第30節 09月17日(土)・18日(日) FC東京✕京 都(H・国 立)
第31節 10月01日(土)・02日(日) FC東京✕鹿 島(A・カシマ)
第32節 10月08日(土) FC東京✕湘 南(H・味スタ)
第33節 10月29日(土) FC東京✕名古屋(A・豊田ス)
第34節 11月05日(土) FC東京✕川 崎(H・味スタ)
※神戸がACLにおいてGS敗退の場合、8月20日(土)19:00に変更の可能性あり
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