山形県代表の山形大学を下して勝ち上がってきた茨城県代表の流経大ドラゴンズ龍ケ崎がFC東京の天皇杯の初戦の相手。流経大ドラゴンズ龍ケ崎は、関東大学サッカーリーグ所属の流通経済大学に続く、流通経済大学のセカンド・チームでJFLに所属。さらにサード・チームとして関東サッカーリーグ1部に所属している流通経済大学FCが存在する。セカンド・チームといえどもトップの流経大を破ったこともあり、社会人との闘いで揉まれている決して楽観視出来ない相手だ。
とはいえ、ベストメンバーを配したFC東京。初戦の独特の緊張感があるとはいえ、現時点でリーグ2位につける実力をしっかりと見せて確実に勝利を呼び寄せたいところだ。
流経大ドラゴンズ龍ケ崎(流経ド)は前半、スピーディーな出足で積極果敢に攻める姿勢を見せるが、10分に太田のCKからディエゴ・オリヴェイラがシュート、一度は流経ドのGK・羽野に防がれるも、混戦からそのこぼれ球を橋本が押し込んで先制。36分に左サイドからの太田のグラウンダーのクロスを中央に走り込んできた高萩が合わせて追加点を挙げる。
だが、後半に入ると流経ドはFW加藤をMF田中に代えてピッチに送り込み、2トップとするとガラリと攻勢を強め、FC東京が受ける時間帯が長くなっていく。劣勢になりかけながらもなんとか凌いでいたFC東京だったが、55分に佐藤が中央からミドルシュートを放つと、このボールがエリア内の園山に当たってコースが変わり、GK林の反応の逆をとった形になり、そのままゴールイン。林にとってはやや不運な形の失点となる。
何とかして主導権を握り返したいFC東京だったが、相手やボールの寄せが甘く、セカンドボールも奪えない状況が続き、中盤を流経ドに支配される始末。そのなかで、58分に太田のCK時に丸山と競った流経ドの選手がエリア内でハンドをとられ、FC東京はPKを獲得。2点差に引き離す絶好のチャンスだったが、キッカーのディエゴ・オリヴェイラは流経ドのGK・羽野に止められて追加点は奪えず。
すると、ピンチを凌いだ勢いから66分、FC東京の高い最終ラインの裏へ走り出した加藤がFC東京のDF陣をドリブルで振り切って、GK林との1対1を制して同点弾を流し込む。
ディフェンディングチャンピオンとして迎えながら横河武蔵野に敗れ、また、PKの末に長野パルセイロに敗れるという過去のジャイアントキリングの餌食も脳裏に掠め、焦りも増してきたラスト10分で、FC東京は永井を富樫に、大森を田邉にそれぞれスイッチ。この選手交代という形の“檄”が効いたのか、流経ドがやや疲れが見えたこともあり、両サイドからの攻勢を取り戻すと、85分に室屋の駆け上がりからのクロスを中央のディエゴ・オリヴェイラが叩きつけるようなヘディングでゴールへ突き刺し、勝ち越し。さらに88分に再び室屋がエリア奥へ侵入してふわっとしたクロスを送ると、これにダイビングヘッドでネットを揺らして4点目。ようやく勝負を決定づけることとなった。しかしながら、流経ドは最後までゴールを狙う姿勢を崩さず、素早いタッチとパス回しから前線へ圧を加え、石川がロングシュート、GK林が弾いたところを加藤が詰めるも、林が身を挺して防ぐなど、果敢にゴールを狙う意識は見事だった。
一発勝負の初戦の緊張感、雨が降り滑りやすいコンディション、データが未知数の相手など、簡単にはいかない要素はなくはないが、それにしても危ない試合となってしまった。相手を侮った訳ではないだろうが、闘争心みなぎって立ち向かうモードになり切れず、同点に追いつかれてからの劣勢ぶりは、過去のFC東京のメンタルの弱さを露呈し始めたかという雰囲気すらも漂わせていた。
それでも、相手の疲労もあり、90分で試合を決めないととギアを再度高めてトライした結果勝ち切ったことは、褒められたことではないにしろ、過去のチームよりも精神面、勝ち切るスピリッツを宿して実践したという意味で、チームとして成長を示してくれた。もちろん、今回は大学のセカンド・チームだが、これが同カテゴリーのチームだったら実践出来たのかといえば、それは分からない。良くも悪くも大いに課題が見つかり、まだまだ切磋琢磨していく必要があると気づかされたことをポジティヴに考えていきたい。
ただ、一つ気になるのは、劣勢から跳ね返したのがいずれもディエゴ・オリヴェイラのゴールであったということ。これまでのリーグでもディエゴ・オリヴェイラがピッチを去ってから、代わって投入されたFWや他のフィールドプレイヤーがゴールをする場面がない。今後はディエゴ・オリヴェイラが厳しいマークにさらされることは間違いないが、彼が抑えられた、あるいはピッチを去っている時のゴールへの形をいくつか持っておきたいし、結果を出しておきたい。もう一つはやはり守備。失点の場面もそうだが、劣勢になると急にドタバタし始めるクセを何とか克服しておきたい。この日の2失点を胸に刻みながら、クリーンシートへの守備の構築も堅固なものとするよう、次のリーグ再開までに準備しておきたい。
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【天皇杯 2回戦 マッチナンバー・35】
2018年06月06日(水)19:04 試合開始 味の素スタジアム
入場者数 3,617人
天候 雨 / 気温 25.4℃ / 湿度 66%
主審 福島孝一郎 / 副審 野村修、鶴岡泰樹 / 4審 小林健悟
FC東京 4(2-0 / 2-2)2 流経大ドラゴンズ龍ケ崎
≪得点≫
(東): 橋本拳人(10分)、高萩洋次郎(36分)、ディエゴ・オリヴェイラ(85分)、ディエゴ・オリヴェイラ(88分)
(流): 園山栄樹(55分)、加藤千尋(66分)
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≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 02 室屋 成
DF 03 森重真人
DF 05 丸山祐市
DF 06 太田宏介
MF 08 高萩洋次郎
MF 18 橋本拳人
MF 38 東 慶悟
MF 39 大森晃太郎 → 田邉草民(83分)
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
FW 11 永井謙佑 → 富樫敬真(83分)
≪サブスティテューション≫
GK 01 大久保択生
DF 22 山田将之
DF 25 小川諒也
MF 27 田邉草民
MF 07 米本拓司
FW 17 富樫敬真
FW 20 前田遼一
≪監督≫
長谷川健太
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【天皇杯】
02回戦 2018/06/06(水)19:00 〇FC東京 4-2 流経大ドラゴンズ龍ケ崎 (H・味スタ)
03回戦 2018/07/11(水)未 定 FC東京 ✕ 新 潟 (未 定)
04回戦 2018/08/22(水)
準々決勝 2018/10/24(水)
準決勝 2018/12/16(日)
決 勝 2018/12/24(月)





