ブラン・ニュー・ヘヴィーズ・フィーチャリング・エンディア・ダヴェンポート@ビルボードライブ東京へ、東京公演の最終日の12月10日のセカンド・ステージを観賞しに行って来た。昨年に引き続き、今年もビルボードでのライヴ。メンバーは左奥からキーボードのマット・スティール、ドラムのヤン・キンケイド、バックコーラスのレイチェル・ヤーヴァ、インコグニートの“トリオ・ザ・ヨッパライ”でもおなじみのドミニク・グローヴァー、ニコル・トンプソンのホーン隊がひかえ、その前にベースのアンドリューが左に、右にギターのサイモンが陣取る。インスト曲を奏で、やや遅れてバックコーラスのレイチェルが入ってきた後に、満を持してエンディアが登場してきた。
インスト曲「ピープル・ゲット・レディ」「BNH」から歌モノへと流れる展開は、昨年と同様。「ネヴァー・ストップ」を歌いだした黒を基調とした衣装のエンディアは、東京最終日だからか多少声が枯れ気味な気もするが、パワフルさは相変わらず。
最新アルバム(といっても2年前の2006年リリース)『ゲット・ユースト・トゥ・イット』収録の「オール・ファイアード・アップ」は、歌い出しがヤンのヴォーカルから始まるナンバー。そして、アンドリューのベースが創るグルーヴが心地いいナンバーだ。
構成は往年のヒット・チューンがやはり軸だが、個人的に嬉しかったのが、エンディアが「あの時(=1991)に連れて行ってあげる」といって演奏し始めた「ライド・イン・ザ・スカイ」(アルバム『ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ』収録)とアルバム『ブラザー・シスター』のラスト・チューン「デイ・ブレイク」を披露してくれたこと。シングル・レヴェルの楽曲ではなくても佳曲が多い彼らだから、こういった変化は大歓迎だ。
中盤の「ジャンプ・ン・ムーヴ」あたりからエンディアのテンションがかなり上がってきて、観客とのコール&レスポンスを多く絡ませるようになってくる。激しく身体を揺さぶり、時に拳を突き上げ、時に両手を大きく広げて伸ばしたかと思うと、観客に背を向け、やや状態を反らしながらピーッというホイッスルを吹きつける。エンディア・ショウの始まりだ。そんな一声がなくても、サイモンは歯でギターを弾き、ヤンもアンドリューもすでにうねっていた。
観客の“ナーナーナーナーナーナー”のレスポンスにさらにヴォルテージをあげた「レッツ・ドゥ・イット・アゲイン」から本編ラスト「ユー・アー・ザ・ユニヴァース」(サイーダのヴォーカル曲もすんなり歌うようになったんだなぁと、なぜかしみじみ…笑)までの流れは恍惚をまみえんかのような境地で、身体でグルーヴを堪能していた。
スタンディングオベーションで迎えられたアンコールでは、各メンバーがパーティ・スタイルの格好で登場。アンドリューは赤の派手なサングラス、キーボードのマットは顔の被り物など。同じ被り物でもヤンはなぜかダンボールを被って出てきた。最初は被ったままドラムを演奏しようとするが、やっぱり邪魔になったのか、演奏直前でダンボールを投げ捨てた。(笑) サイモンはでっかくなっちゃったー耳を持って楽しそうに観客と会話。ブラン・ニュー・パーティ第2章の始まりだ。
「ステイ・ディス・ウェイ」のあと、“まだ聴きたいかぃ?”のサイモンの問いかけでスタートしたのは、ブラン・ニュー・ヘヴィーズ・クラシックスでもある「ドリーム・カム・トゥルー」。“オーゥオー、イェーイイェー”のコール&レスポンスもバッチリと決まった、圧巻のエンディングとなった。
かなりテンションの高いパフォーマンスで、特にエンディアのハチキレ具合といったら。これは、中盤で“とうとう来るべき時が来たのよ”“オバーマ!”といったセリフも聞かれた通り、次期アメリカ大統領に初めての黒人大統領となるオバマの就任が決定したことが、さらなるテンションを引き上げたこともあるのかもしれない。先日のライアン・ショウのライヴでもライアンは“アメリカにチェンジの時が来た”と喜んでいたし、いわゆる黒人にとっては、それまでの苦々しく辛い日々から脱却するために藁をも掴むようにしていた思いが、現実となる待望の瞬間であったのだろう。そのパワーは、ミュージックシーンにおいても深く浸透していることに気づかされた思いがした。
そういえば、ブラン・ニュー・ヘヴィーズの曲名を眺めてみると、「ネヴァー・ストップ」(決して止まらない)「デイ・ブレイク」(夜明け)「スペンド・サム・タイム」(時が過ぎて)「ドリーム・カム・トゥルー」(夢が現実になった)……と、今夜の構成が、まさに先の黒人次期大統領決定というニュースに沸く、今のアメリカ社会の夜明けを迎えることを暗示するような展開であったともいえなくないなぁ、という気もしてきたのだった。
◇◇◇
<SET LIST>
00 Introduction
01 People Get Ready
02 BNH
03 Never Stop
04 All Fired Up
05 Dream On Dreamer
06 Midnight At The Oasis
07 Sometimes
08 Ride In The Sky
09 Day Break
10 Jump N' Move
11 Let's Do It Again
12 Spend Some Time
13 You Are The Universe
≪ENCORE≫
14 Stay This Way
15 Dream Come True
<MEMBER>
N'Dea Davenport (Vo)
Simon Bartholomew (G/Vo)
Andrew Love Levy (B/Vo)
Jan Kincaid (Dr/Vo)
Matt Steele (Key)
Dominic Glover (Trumpet)
Nichol Thompson(Trombone)
Rachel Yahvah (Back Vo)
最新の画像もっと見る
最近の「ライヴ」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事