復興元年を合言葉に、先週のJ2に続いてJ1が開幕。FC東京はアウェイで大宮と対戦した。チケットは完売。大勢のFC東京サポーターがJ1復帰初戦での勝利を期待して大宮にはせ参じた。
ブリズベンへ帯同しなかったルーカス、梶山が先発。最終ラインは徳永がサイドバックに、センターバックは加賀が森重とコンビを組んだ。1トップにルーカス、左に谷澤、中央に羽生、右に長谷川といった形だ。
前半は大宮のペース。試合開始直後の加賀が東にボールを奪われてのピンチは、GK権田がビッグセーブ。これを皮切りに、大宮が東京のゴールへのチャンスを幾度となく生み出すが、権田がスーパーセーブを立て続けに繰り出して、何とか失点を免れる。ブリズベン戦からの疲れもあったのかもしれないが、パスミスも多く、裏へ抜け出す攻撃もほとんど見られなかった。中盤での味方選手との距離が近くなく、中央で収めることもあまり出来ないまま30分が過ぎる。
ただ、それまであまり効果的ではなかった長谷川、梶山の位置を意図的に変え、梶山を前に出すと、徐々にボールが回りだすようになる。スルーパスから左を走り抜けてきた谷澤がGKと1対1となる場面もあったが、これは谷澤のシュートが右に外れて得点には至らず。
大宮は、新外国人のカルリーニョス、新潟から移籍したチョ・ヨンチョル、そして東が絡むと大きなチャンスを作っていた。東京はカルリーニョスを押さえはじめると主導権を握り始めるが、開幕戦独特のドタバタ感もあり、落ち着かないまま前半を終えることとなった。
後半は大宮が前半ほど機能的な攻撃を展開せず単調になる一方、東京は梶山が積極的に動くことでようやくボールを動かせるようになる。そして、谷澤に代えて石川を投入すると、連動性が増加し、東京の時間帯が続くようになった。そして、長谷川、梶山とパス交換からゴール前にいるルーカスへ梶山が速いグラウンダーの横パス、これをルーカスがトラップ時にバウンドさせてボールを浮かせ、素早く右足を振り抜きボレー。これがゴール右上に決まり、東京が先制点を奪った。
その後大宮にもチャンスは何回か訪れたが、前半よりも裏への動き出しがなくなり、東京が大きくボールを動かせる時間帯が続いた。渡邉が投入されると連動性は増して、裏へ飛び出す展開、スペースを活かした攻撃が出来るようになってきた。危ない場面もあり、全体的にまだまだという感じではあるが、無失点で切り抜け、J1復帰初戦を飾った。
GKが活躍する、それはすなわち危険な場面が多く続いたということで、今日は“当たっている”権田でなければ、結果は違っていたかもしれない。FC東京のスタイルとして最終ラインからビルドアップするという特徴があるが、前半は距離間が遠いなかでバックパスをする場面や中盤で受けてもすぐに後ろへ返すことが多く、なかなか中盤より前方への多彩な動きが見られなかった。そのなかで、梶山を前に出し、石川、渡邉などの投入により、大宮から主導権を奪い返したという、起用や戦術の転換でゲームの流れを戻したことは評価出来る。また、前からのプレッシャーをかけ続ける献身的な運動も同様。完成度はまだこれから高めていかなければならないが、その質が進化しているということは見えてきているといえるだろう。
次はホーム開幕戦。相手は一昨年の王者、昨年は僅かに連覇を逃した名古屋だ。今後を占うための試金石となりそうだ。
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<J1 第1節>
2012/03/10 NACK5スタジアム大宮
大宮 0(0-0、0-1)1 FC東京
【得点】
(東):ルーカス(61分)
観衆:11,437人
天候:曇、弱風
気温:9.2度
≪MEMBER≫
GK 20 権田修一
DF 02 徳永悠平
DF 03 森重真人
DF 05 加賀健一
DF 06 太田宏介
MF 04 高橋秀人
MF 10 梶山陽平
MF 22 羽生直剛 → FW 11 渡邉千真(72分)
MF 08 長谷川アーリアジャスール → MF 27 田邉草民(90+2分)
MF 39 谷澤達也 → MF 18 石川直宏(56分)
FW 49 ルーカス
GK 01 塩田仁史
DF 33 椋原健太
MF 17 河野広貴
FW 13 平山相太
監督 ランコ・ポポヴィッチ
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