FAREWELL, MY L.u.v ＠恵比寿CreAto

　短時間のアクトにも感じた、ユニットとしての個性とプログレス。

　当初は観賞予定はなかったが、所用の合間にリアル・シスターズ・ユニットのFAREWELL, MY L.u.v（以下：フェアラブ）が出演するイヴェントを観賞出来そうだったので、急遽恵比寿へ直行。元来はPANDAMIC（旧・パンダみっく）が主催する企画イヴェント〈パンダらの箱 Vol.14〉としてフェアラブ、IDOLATER、カラフルスクリームを招いた4マンライヴとして開催される予定だったが、PANDAMICのメンバーに新型コロナウィルス陽性判定が出たとのことで、PANDAMICの出演辞退を受け、〈ソノウチ〉として3マンライヴに切り替わった模様。Twitterにて12時10分スタートとのツイートを見つけ、12時10分直前に会場へ到着したのだが、どうやらタイムテーブルでは12時5分スタートだったようで、既にフェアラブの楽曲が響いているのを聴きながら、フロアに滑り込み。僅か4曲だけを体感する滞在となったが、少しずつ成長を重ねている姿が垣間見えた。

　観賞出来た4曲のうち、「obsession」ではゆいかが盛大に歌詞を間違えるレア（？）なシーンに遭遇。“あっ、しまった”という表情を見せる妹・ゆいかを一瞥しながらも気遣う素振りを見せず、何事もなかったように歌い始める姉・美月は、「ミスに戸惑う暇あったら、ここからしっかり歌い切れ」のような厳しくも優しい姉のような所作でフォロー。歌詞にあるように「間違いだったら修正さ」を地で行くような展開でバックアップ。このあたりは、経験を重ねている美月の方がステージに立つものとしての気概が備わっているというところか。ただ、トークでの落ち着きのなさとは別人となるゆいかのステージ度胸はこの日も健在で、ミスの後も（表面的には）引きずることなく、芯のあるヴォーカルを押し出すように努めていたようだ（そういうこともあって、MCにてゆいかが美月に対して「ヘアスタイルとかうまいな、リスペクトます。あ、リスペクトというか……」といった歯切れが悪いながらも姉を褒める話をし出したのかどうかは分からない……笑）。

　美月は楽曲やパート毎にダンスでの表情を変えたりと、表現力を意識している様子。「obsession」や「gloomy girl」ではほんのりとした色香を添えて、少女から大人へ移ろう微妙な時期の機微を発露させたかと思うと、「STELLA」「Good Day」ではアイドルらしいキュートな微笑みを含んだ表情で歌い踊るなど、ゆいかにはまだない“お姉さん”ならではの魅力によって、メンバーそれぞれの特色を示すことに。それを計算してやっているかと問われると分からないが、たとえば、完成された楽曲やアクトを持ちながらもメンバー間にあまり違いを見出せない無味乾燥なグループなどよりは、結果的にユニットとしての個性やオリジナリティを発揮しているとは思う。そして、それらのバランス、帳尻をそれほど意識せずに合わせられるように見えるのは、やはりリアル・シスターズという強みか。歌唱・ダンスにおいては姉・美月が現時点ではリードしているが、今後姉の背中を見ながらステージを重ねていくゆいかが著しく成長すると、ユニットとしての底上げにもなりそう。楽曲を咀嚼して声色やグルーヴとして描出する部分ではまだ途上といえる美月もそれに感化されて、より向上するという相乗効果が生まれてくるようになると、もうワンランク上のステージへ辿り着くことも出来るはずだ。


◇◇◇

＜SET LIST＞
（HAPPY LIGHT）
obsession
gloomy girl
STELLA
Good Day


＜MEMBER＞
FAREWELL, MY L.u.v are：
金津美月（vo）
ゆいか（vo）



◇◇◇

【FAREWELL MY L.u.vに関する記事】
2018/12/31　MY FAVORITES ALBUM AWARD 2018（「ブライテストホープ賞」の項）
2020/07/11　FAREWELL, MY L.u.v『DONT TOUCH MY RADIO』
2020/12/09　FAREWELL, MY L.u.v『GOLD』
2021/01/13　MY IMPRESSIVE SONGS in 2020
2021/12/04　FAREWELL, MY L.u.v ＠LOFT HEAVEN
2022/04/17　FAREWELL, MY L.u.v / HALLCA ＠LOFT HEAVEN
2022/05/03　FAREWELL, MY L.u.v ＠恵比寿CreAto（本記事）

◇◇◇