*** june typhoon tokyo ***

WAY WAVE @TOWER VINYL SHIBUYA【インストア】

 ファンキー・ディーヴァと共に響かせた、CKBリスペクト溢れるミニステージ。

 リアル・ソウルシスターズのWAY WAVEが、EMILANDとの名義で7インチ・アナログ「けむり c/w かっこいいブーガルー」を4月20日にリリース。そのリリース・インストア・イヴェントがタワーレコード渋谷店で開催されるとのことで、渋谷へ足を運んだ。WAY WAVEのパフォーマンスを観るのは、2月にユメトコスメを迎えた定例企画〈部員集会〉(記事→「WAY WAVE / ユメトコスメ @GARRET udagawa」)以来。「けむり c/w かっこいいブーガルー」は、横山剣率いる“東洋一のサウンドマシーン”ことクレイジーケンバンドの楽曲の中から、珠玉の楽曲をアナログ・カヴァーするという〈Pヴァイン〉の企画「CRAZY KEN BAND SONG BOOK」シリーズで、昨夏に柴田聡子、JINTANA & EMERALDSとのスプリット・カヴァー作として発表した「GT / ジャパニーズ・ナイト」に続く第2弾となる。実は妹・優奈が小学生時代に「あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。」のバックダンサーを務めていたそうで、今回アーティストとしてクレイジーケンバンドの楽曲をカヴァーすることになったり、その巡りあわせを感慨深げに語っていたのが印象的だった。
 
 披露した4曲のうち、冒頭の今作7インチに収録される「かっこいいブーガルー」以外は、ゲストにEMILANDから“ウルトラエミ”こと衣美を招いてのヴォーカル3名という、インストアにしては豪華な布陣に。「かっこいいブーガルー」はクレイジーケンバンドが2001年のアルバム『肉体関係』や2ndシングル「せぷてんばぁ」のカップリングに収められた、横山剣と渚ようこによるデュエット。“かっこいい”と歌うもスタイリッシュとは異なる、“昭和にワープだ”という歌詞が示す通りしっかりと昭和歌謡の場末感が漂う楽曲だが、20代前半の姉妹が歌うというギャップや面白さも加わって、姉妹のハーモニーの麗しさと路地裏も想起させるやさぐれたムードを湛えながら、古臭くなり過ぎない落としどころを持たせている。



 2曲目から、WAY WAVEのバックバンド、楽曲提供やサウンドプロデュースを行なっているEMILANDの衣美が登場。衣美がWAY WAVEにエールを込めて書き下ろしたという「WAVY GIRL」(衣美いわく「仮歌ぶりに歌います」)と、WAY WAVEが愛聴しカヴァーもしている、衣美ほか女性3名からなるウィメン・ソウル・バンド“ズクナシ”の楽曲「おどれないけどおどりたいの」(衣美いわく「解散ぶりです」)を加えて、クレイジーケンバンドの1stアルバム『PUNCH! PUNCH! PUNCH!』収録の「けむり」のカヴァーまで、WAY WAVE+衣美というスペシャルなコラボレーションで、ホットでファンキーなグルーヴを横溢させながら披露してくれた。

 元々WAY WAVE自身もしっかりと“歌える”ユニットなのだが、ここに衣美が加わると、いっそうファンキーなグルーヴにより拍車がかかる。フロアを融点へといざなう煽りフレーズやコーラスをところどころに足しながら、エネルギッシュなノリを創っていくアクトは、ステージにて百戦錬磨してきた衣美ならではで、そのヴァイブスにWAY WAVEも感化されて破顔も止まらず。何よりも歌い踊ることが楽しいといった表情が微笑ましい。リズミカルに“ズンズンランラン~”とリフレインするフレーズが楽しい「おどれないけどおどりたいの」では、衣美が「この狭いスペースで踊れるか」と問いかけたり、観客に手を差し出そうとして近づくなど、クラップの波が響くなかでフロアを巻き込みながら一体感を生み出していた。


 ラストとなった冒頭の衣美のスモーキーな唸るヴォーカルが耳を惹く「けむり」(衣美いわく「ホルモン焼き屋」のイメージ)では、前述の2曲とは打って変わってメインヴォーカルの衣美をWAY WAVEがコーラスでサポート。前へ出ずに“引きの美学”を持って、情念が滲むようなブルージィな歌謡にもスッと入っていける懐の広さや深さは、“ステレオタイプなソウルクイーン”を自称しているが、ステレオタイプとは異なる彼女たちの“強み”といえるだろう。

 今作は、本音を言えば、個人的にはバッチリと趣向に合ったテイストの楽曲ではないが、衣美というビッグサポートを受けながら、ソウルやファンクを履き違えることなく咀嚼し、描出しているリアル・シスターズに、歌唱力はもちろん、楽曲への対応力にあらためて頷かされた次第。願わくば、早く大きなスポットライトに照らされる日々が訪れて欲しいところだ。

◇◇◇

<SET LIST>
01 かっこいいブーガルー(sing by WAY WAVE only)(Original by CRAZY KEN BAND)
02 WAVY GIRL
03 おどれないけどおどりたいの(Original by ズクナシ)
04 けむり(Original by CRAZY KEN BAND)


<MEMBER>
WAY WAVE are:
Anna Koike / 小池杏奈(vo)
Yuna Koike / 小池優奈(vo)

衣美(EMILAND)(vo)


◇◇◇

■ EMILAND / WAY WAVE「けむり c/w かっこいいブーガルー」



限定盤 7インチ(2022/04/20)
P-VINE P7-6296

SIDE-A
EMILAND /けむり
SIDE-B
WAY WAVE / かっこいいブーガルー

◇◇◇

【「WAY WAVE」に関する記事】
2020/01/19 HALLCA,WAY WAVE @渋谷 RUIDO K2
2020/12/13 HALLCA,WAY WAVE @渋谷 RUIDO K2
2021/04/09 天野なつ ✕ WAY WAVE @下北沢CLUB251
2021/10/17 Mia Nascimento / WAY WAVE @GARRET udagawa
2021/11/17 WAY WAVE @TOWER VINYL SHIBUYA【インストア】
2022/02/13 WAY WAVE / ユメトコスメ @GARRET udagawa
2022/05/03 WAY WAVE @TOWER VINYL SHIBUYA【インストア】(本記事)

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