
三重からスタートしたAIのライヴ・ツアー、“DON'T STOP A.I. Japan Tour Supported by AIU”@日本武道館へ行って来た。
武道館2Daysの2日目となるツアー・ファイナルだ。会場は満員で、ケミカルライトスティック(サイリューム、ルミカライト)を振ったりそれを腕輪にしている女子たちが多数。暗転中の会場を眺めると、まるでアイドル・コンサートの様相で、客層も圧倒的な女性率。AIの言動に感銘を受けるAI教の敬虔な信者が集っているようにも見えたり。(笑) 現代女性のオピニオン・リーダーの一人となったといっても言い過ぎではない感じだ。
ステージは前回のライヴ・ツアー(“What's Goin' On A.I. Tour”@日本武道館)と同様、3階建てのジャングルジム風の土台組みセットに、左右にステージへ降りるためのポールが設置されていた。そこを男女6名のダンサーが縦横無尽に走り、すべり降りる。ステージ中央には左右に箱型の台が置かれていたが、これは下からリフト・アップする仕掛けで、時折ダンサーが2階席と同じ目線になるくらいまでに高くなる。
前回は3階からワイヤーで飛び降りる演出で登場したAIだが、今回はジム風セットの中央に設置された昇降機(エレベーター)に乗ってステージへ降りてきた。イントロが会場に流れると、客席は大興奮。バックには電光掲示板のようなスクリーンで、摩天楼の夜景を上空から眺める映像が映し出されるなかを、昇降機に乗って降りてくる……今回も空からAIがファンの元へ舞い降りてきた、といった趣向だ。
ただ残念だったのは、アリーナの前から3列目という素晴らしい距離で観ることが出来たのだが、ジム風セットの両サイドが前に張り出ていたため、ややステージ端寄りの座席からだとバックの映像やバンドメンバーをなかなか目にすることが出来なかったことか。ステージ両サイド側の座席だった人は、そのあたりにちょっとストレスを感じたかもしれない。
ツアー・ファイナルで気合も入っていたのか、前日に話し過ぎたのかは解からないが、長いMCがなかったのはファンにとっては少し寂しかった?(笑) とはいえ、“ブドウカーン!あんたたちのがねぇ~ヤバイよ”“もうね、今日はね、ファイナルってことで、母ちゃんとかも来てるんだけどね”“なに?もう~、もうね、マチガイナイから”とおなじみのセリフは健在。“水とばし”はなかったけれど、『千と千尋の神隠し』のカエルのマネやブーツを脱いでのバック転スペシャル・ヴァージョンも飛び出した。
トーク場面は減ったが、その分シンプルにステージ・パフォーマンスで勝負する気概が、いい方向へと繋がったのは確かだ。前回同様オープニングからはヘッドギアマイク装備でのダンス中心のパフォーマンス。ダンサーはアマウントボーイズ(Amount Boyz)勢ぞろいではなかったが、彼らに引けをとらないメンバーがステージを盛り上げる。特に男性陣はかなり肉弾的で、パワフル&エネルギッシュ。突き上げる拳と弾けるような四肢で観客のヴォルテージを上げていく。女性陣はバレエの素地があると見受けられる女性特有のしなやかさとキュート&ラヴリーなアクトで魅了する。日本人にも素晴らしいダンサーは数多くいると思うが、空中で一瞬グッと止まるような弾力とアクロバティックな技を連続して目にすると、“ああいう動きが出来るのは黒人ならではだよなぁ”とその身体能力の高さには驚く。
衣装チェンジ時は、DJタイムとバンド・メンバーによるパフォーマンス。バンド・マスターのケイリブ・ジェイムスがMCして観客を煽るが、ほとんど英語だったのでキョトンとした人たちも多かったかも。(苦笑) ただそこは百戦錬磨なケイリブなので、メンバー紹介の時は“ハクシュオネガイシマス!”、“ア~イ・ライク(I Like)”(??)のコール・アンド・レスポンスでそれほどダレさせることはなかった。本編ラスト「BRAND NEW DAY」では、キャップとセパレートのスカート(フロントに白いラインのファスナーをあしらったもの)といった鮮やかなブルーを基調にしたコスチュームで登場。“Higher~”のフレーズとともに右腕を高々と天に突き上げる。JALのCMにも起用された曲ということもあってか、晴れやかな空をイメージしたキュートでクールなパフォーマンスだった。

“ヤバかった~。じゃボーイズ・パワーの次はガールズで!”とこちらも先ほどのメドレーで演じた「BUTTERFLY」を再演。まずはANTY the 紅乃壱がやさぐれラップ(笑)でステージを飛び回ると、AIの“アンナ・ツチヤ~ァァ!!”の呼び込みから土屋アンナが昇降機でステージ・オン。この時の歓声は凄かった。彼女には、先日元夫ジョシュアが死去するという悲しいニュースがあったが、それを感じさせることは全くないほどにアーティストに徹していた姿にも好感。ロシア系アメリカンといこともあって、端整な白い顔が印象的だった。ラストはレゲエ・シーンの姉御プシン。彼女が煽る“Follow me”(×5)のフレーズで、興奮度も倍増だ。最後にAIが3人を紹介する時にANTYの“アンチだぞこのやろう~”に受けて土屋アンナが“アンナだぞこのやろう~”、プシンが“プシンやっちゅうねん”と続けたのは面白かった。
アンコール中に観客が歌っていた「MY FRIEND」をショート・ヴァージョンで挟み込んだ後、「MUSIC」が大トリ。ダンサーが戻ってきてストーリー性あるダンスを繰り広げる。単にステージを彩るだけでなく、さまざまなメッセージをダンスにも込めていることが如実に窺える。“MUSIC”で苦境を乗り越えられる、元気付けられる、勇気を持てる……AIが実感してきたことを出来る限り伝えたいという思いがしっかりとメッセージとして届けられているのだ。
ラストのカーテンコールでは、ライヴ当初に“今日はみんなストレス発散して、笑って帰りましょう!”と言っていたAIだが、ステージ両サイド、中央で手を振り感謝の意を伝えてる時に、思わず涙が溢れる。こらえようとするも背中を向けて涙を拭って、平気な顔でいようとしても溢れる涙。そのAIやバンドメンバー、ダンサーに惜しみない拍手を送るオーディエンス……観客と出演者が素晴らしい空間、時間を体験出来て良かったという感慨を共有した瞬間だ。
ライヴ構成、パフォーマンスの質、続けて武道館公演を観てきたが、スケールという意味では武道館を超えるキャパでも充分通用するレヴェルまで到達したと思える。そうなると、次はドームか? ということも考えられる(個人的には音響的に悪いドームでは公演してほしくないけれど)。来日する洋楽アーティストに比肩するところまできたのだから、次は世界か。いみじくも、先日第二の故郷ともいえるロスアンゼルスでの公演を果たしたAI。「BRAND NEW DAY」のリリックよろしく“まだ見ぬ世界へ”の高みへと登りつめてもらいたいところ。“音楽の中で/今を止めないで/肌で感じて/疲れ果てるまで…”AIはこれからも“MOVE”し続ける。
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会場入り口にはたくさんの花、花、花。
どうやらDOUBLEのTAKAKOなども来ていたみたいですね。
そういえば、“ロウ・ロウ・ロウ・ロウ…”のフックで旋風を起こしている「今夜はロウ☆ロウ☆ロウ」のフロー・ライダーや、ソウルジャ・ボーイ、ジェニュワインらも参加する“BMO MUSIC FEST 08”@ZEPP TOKYOにトレイ・ソングスも来日参加していたり。5/28と5/29の2Daysでちょうどその初日がAIの最終公演と重なっちゃったのでダメだったけど、1日ずれていれば前回のように「Beautiful feat.Trey Songz」とか客演返しの「ARE YOU A PERFORMA FEAT. AI」とかも観られたのになぁと思うと、ちょっと残念だったかも。(笑)
AIのライヴはなぜかかなりいい席で観られることが多いので、この傾向は続けばいいなあと。
頬に“DON'T STOP A.I.”というロゴ・シールを貼っているガールが多くいたのが印象的でした。
そして、笑えたのが、会場を後にする観客のあちこちから“今日マジヤバかった”“もうAIちゃんヤバイ”と“ヤバイ、ヤバイ”の声が連呼して聞こえてきたことですかね。(爆)
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<SET LIST>
00 INTRO
01 DON'T STOP
02 IT'S SHOW TIME!!!
~Dance Performance Section~
03 MOVE
04 THE ANSWER
05 MY SWEET HOME
~ MC ~
06 イマ
07 I'LL REMEMBER YOU
08 大切なもの
~ DJ HIRAKATSU Section ~
09 Medley:
GET UP (REMIX)
BUTTERFLY
E.O.
I WANNA KNOW (Incruding Dancer Introduction)
BEAUTIFUL
~ Band Interlude Section ~
10 STORY
11 FEEL SO GOOD
~ Member Introduction ~
12 ONE
~ Band Interlude ~
13 BRAND NEW DAY
≪ENCORE≫
14 GET UP (REMIX) Feat. Sphere Of Influence, ZEEBRA
15 BUTTERFLY Feat. ANTY the 紅乃壱, Anna Tsuchiya, PUSHIM
16 LIFE
17 MY FRIEND (Short Ver.)
18 MUSIC
<MEMBER>
Kaleb James(ケイリブ・ジェイムス) (Band Master,Key)
Pennie K(ペニーK) (Key)
Zandre Yarbrough(ザンドレ・ヤーブロー) (G)
Lawrence Daniels Jr(ローレンス・ダニエルス・ジュニア) (Bass)
Loreozo Braceful(ロレンゾ・ブレイスフル) (Dr)
Olivia Burrell(オリヴィア・バレル) (Cho)
Yuri(ユリ) (Cho)
Pierre Andre(ピエール・アンドレ) (Cho&Sax)
DJ HIRAKATSU (Turntable)
Larry (Dance)
Jana (Dance)
Kingnight (Dance)
Cliff (Dance)
Erika (Dance)
Lile (Dance)