Blues日記

流れ行く日々の雑感を、そこはかとなく書き連ねています。

中年オヤジのワインエキスパート受験

2018年09月08日 | Weblog

仕事柄、接待が多く、酒を飲む機会がかなり多い。

毎回 良いお酒を飲んでいるはずだが、ウィスキー以外は銘柄などにあまり頓着なかった。 

特にワインと日本酒は産地や種類、銘柄も多く、店の方から説明を受けても右から左に抜けていってしまっていた。

ずっと「美味しければいいか」と ぼーっと飲んでいたが、いいお酒を飲む機会が多いのに何も知らないのはもったいないと徐々に思うようになり、同僚が昨年ワインエキスパートの試験を受けたのを聞いていたので、自分もこっそり受けてみることにした。

(ほぼ同じ難易度で「ソムリエ」の試験もあるが、こっちは飲食業に従事していないと受験できないとのこと。)

調べてみると、多くの人はワインスクールに通い勉強するそうだが、時間もカネもないので独学でいくことにした。(ワインスクールは男女の出会いの場としても人気とのことで、別の意味でかなり気になったが、、、)

まず、どんな試験なのかを調べると、一次が130問の知識を問う選択式の試験、二次が4種のワインと1種のリキュールを飲み、ワインは品種と年代、印象を、リキュールは酒種を、それぞれ選択肢から選ぶ試験とのこと。

ネットで一次試験の過去問を見てみると、これが広範囲でかつ細かい知識まで問われるもので、記憶力勝負のものだった。

加えて合格率は3割程度とのことで、50歳を過ぎ、毎日アルコールで日々脳細胞が死滅しているオヤジには、かなり難しい試験と見た。

記憶の容量には限界があるので、とにかく効率重視で臨むことにした。

勉強の開始はゴールデンウィークから。まず基礎となるテキストを買った。

僕は「基礎から学ぶ田辺由美のWINE BOOK」を選んだ。ネットでの評判も良かったが、情報が多過ぎず必要最低限のようで、書き込みできる余白が多いのがポイントだった。

あと、問題を数多く解こうとiPhoneに問題集アプリをダウンロードして、電車の中や空き時間は繰り返して解いた。

加えて、松岡正浩さんというソムリエの方がやっていらっしゃる「ちょっと真面目にソムリエ試験対策こーざ」というWEB SITEを読み込むことにした。

テキストを章ごとに読み、それに対応する松岡さんのWEBを読み、その後で問題をアプリで解き、間違ったところをテキストに書き込み、それを繰り返すというやり方だ。

一次試験は、ワインの概論と国ごとの特色や産地、ぶどう品種、格付けなどをひたすら脳に詰め込む作業だ。

最初はどの国も格付けなども同じように覚えようとしたが、途中で、覚える量と試験に出る確率が比例していないことに気がついた。

例えばこうだ。フランスのボルドーのメドック地区には61もの格付けシャトーがある。もちろんワイン好きには各シャトーの名前や格付け、属する村などは必須の知識だ。しかし、覚える量の割には過去問を調べると2〜3問程度しか出ない。

一方で、産地も多くなく格付けなどもないカナダについて3〜4問程度出題されたり、ヨーロッパの小国ではそれぞれで地理の定性的な問題が1〜2問程度でたり、また醸造工程や米の品種が問われる程度の日本酒関係の問題が3〜4問程度と、明らかに比例していない。

それに気がつき、勉強の仕方を変えた。記憶すべき量の割に出題される確率が少ないものは最初から捨てた。

さすがにボルドーの格付けを全て捨てるのは気が引けたが、これも効率よく勉強するためで仕方ない。同様にドイツの栽培地区(べライヒ)の名前とアメリカの生産地区(AVA)も捨てた。

その分の記憶容量を、ワイン概論や日本、イタリア、ヨーロッパの小国、ニューワールド、リキュール関係などに使った。

とにかく出題の多い分野の問題を解き、間違ったところをチェックし、テキストに書き込む作業を続けた。

間違えた問題を書き込もうとテキストを見たら、すでに自分の字で書き込まれてきて、それを書いた記憶すらない自分に呆然としたことが何度もあった。

そのうち、アプリの問題では脳が回答を記憶してしまい、条件反射で反応するようになったので、アプリを卒業し、テキストと同じシリーズ「田辺由美のWINE NOTE」という問題集を買い、問題を解き、間違った分野の全体をおさらいした。

2ヶ月経ち、全体をひと通り流してみて、自信はないけど勉強を続けられそうだと思ったので、期限の2日前に受験の申し込みをした。

申し込みをしたら、数日後に日本ソムリエ協会から大きな教本が送られてきた。改めて試験案内を読んでみると出題範囲はこの教本からで、これが基礎になるとのとこ。

ちゃんとした教本があるのなら、早めに申し込みをすれば良かったと後悔。でも、仕方ないので、それからは間違えた分野は教本の参考ページも読むようにした。

教本は、恐ろしく分厚くて詳しく、そして無味乾燥な体裁なのだが、過去問を解いていて、国ごとの特徴などの定性的な問題では、教本の記述が大事なことに気がついた。

それからは記憶力ではなく定性的な知識が必要な部分は、教本を「読み物」として読むようにした。(これはこれでおもしろかった)

試験申し込み後の7月からは、章ごとに「田辺由美のWINE NOTE」で問題を解き、間違った箇所を「松岡さんのWEB SITE」を読み返し、全体的な部分は「教本」斜め読みをして、気がついたことは全て「WINE BOOK」に書き込むというスタイルの勉強法が定着した。

平日は、夜は毎日ほぼ会食なので 朝の電車で松岡さんのWEB SITEを読む程度にして、土日は出来る範囲(1日3時間程度)で試験対策に向き合った。

今年から試験は CBT試験ということで、2回受験が可能で良い方の得点で評価してもらえるとのこと。(もちろん2回目に同じ問題は出ない)

僕は、初の受験かつ独学なので情報が少ないこともあり、様子を知るために8月上旬に1回、そして最終日の8月31日に2回目を受けることにした。

1回目の受験では、実力不足を実感したが、僕が捨てた分野の出題が少なく、ヨーロッパの小国やニューワールドが多いことがわかり、作戦が間違っていないことがわかった。

しかし、合格圏と言われる7割は取れていないので、残りの25日間は今までどおり、効率の高い分野をしっかり攻め、効率の悪い分野はひと舐め程度にする勉強を徹底することにした。

最終試験日までには ちょうどお盆休みがあったので、今年は旅行にも行かず、お盆は勉強に費やした。

最終の一次試験でも出題傾向は一緒だったが、合格圏まで到達している実感はなく、諦めモードだったものの、先日の発表では何とか番号があり、二次に進めることになった。

結果的に勉強時間としては、4ヶ月間の土日それぞれ平均3時間程度+お盆休みなので、計120時間程度だろうか。

二次試験対策は全くしていないので、おそらく二次は落ちて来年に二次だけ再チャレンジということになると思うが、まぁ独学で連休明けの遅めスタートとしては一発で一次通過は充分な結果だと思う。

それにしても、中年オヤジには少なくなった記憶容量との戦いで、予想以上に大変な試験だった。

勉強をはじめて以降、レストランで金色のソムリエバッジを付けている方をみると、この辛い試験を通ったんだなと尊敬の眼差しに変わった。

そして、今までぼーっと飲んでいたワインが、造り手が様々な品種の葡萄を通じて、その地域の気候や土壌を反映させた貴重なものだとわかり、有り難く飲めるようになった。

これから一年間、来年の二次試験を通過して金色のバッジを手にできるよう、引き続き独学でいろんなワインを味わって飲んでいこうと思う。

もちろん試験で捨てたボルドーの格付けも、財布が許す範囲で楽しみながら覚えよう。 



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