三密2
(ケーキ屋)
○「きっちゃん、ちょっと相談あるんやけど」
キ「ええよ、今暇してんねん。寄って行き。ケーキ作ってもな、あの流行の病気のおかげで不景気やねん。いっそ不景気だけに生麩や焼麩使た麩ケーキ作ったら洒落効いてて売れるかも知れん」
○「売れん思うわ。その洒落、洒落にならんし……」
キ「そうか売れんか、で、今日は何聴きたいん?」
○「他ならん、今流行りの三密いう言葉やねん。さっき寺の和尚さんに聴いてきたけど。ありがたい話やったけど、なんかしっくりこん」
キ「話長かったやろ?またえらいとこ行ってからに。三業とか貪瞋痴の三毒とか言われて途方に暮れたんちゃう?」
○「あんた、なんで知ってる?お寺に盗聴器でも仕掛けてんの?」
キ「そんな面倒くさい事するかいな」
○「ほな、わしより先に聴きに行ったんかい?」
キ「行かん行かん。わかるやんそれくらい」
○「そこ見込んで聞きたいんや。三密って何や」
キ「そんなリキまんかてええやん。で、パテシエとしてのわしの見解聴きたいのん?」
○「俺は真実を知りたいんじゃ」
キ「リキむなって。帰ったらネットで調べいよ。これは一個人の見解として参考にするんやで。情報はきっちりとな…」
○「前置き長いねん。単刀直入に」
キ「三蜜というのは専門家から言うと白蜜黒蜜蜂蜜の事やで」
○「メープルはどうした……」
キ「そうか、おまえメープルトースト好きやったな」
○「どうでもええから、三密を避けましょういうのはどういう理由やねん」
キ「だんだん怒気含んできてるぞ、落ち着いて聴けよ。糖分摂取は過剰やったら肥満とか糖尿病を引き起こす原因になるし、赤ちゃんに蜂蜜は禁物いうのは知ってるやろ?」
○「いくらなんでも、それはなぶり過ぎやろ?俺だってアホいう事は自覚してるし、それでも、大事な友達やおもてたのに……」
キ「ごめん、俺悪かった、ちゃんと説明するから」
○「ちょっと今日は失礼するわ。ごめん、怒ってない怒ってない、怒ったら業が深なる。和尚さんにええお話聴いてきたばっかりやのに、ごめんまた来るから」
キ「帰ってしもた、悪かった。与太話しにきたおもてた」
ちょっとした行き違いでございます。気持ちというもの、噛み合わん時は噛み合わんものでございます。
(三密3に続きます)
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