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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展(東京都美術館)

2015年10月04日 | 展覧会(西洋美術)

マルモッタン・モネ美術館所蔵
モネ展
2015年9月19日~12月13日
東京都美術館


   10/18までの期間限定出品《印象、日の出》は当然観なければならない。
   それを除けば、単館所蔵によるモネ展は期待するほどではないと決めつけていた。
   が、とんでもない。さすがパリの美術館、実に見所の多い展覧会である。

   マルモッタン美術館のことを何も知らなかった私、まずは、マルモッタン美術館のことを記載する。


1:ポール・マルモッタン(1856-1932)

   美術史家、収集家。1932年、個人邸宅と収集品を美術アカデミーに遺贈。1934年、マルモッタン美術館開館。ただし、その収集品には印象派絵画は含まれていない。「ナポレオン1世が所蔵した調度品や絵画など、執政時代~帝政時代のコレクション」がメインである。


2:ジョルジュ・ド・ペリオ(1828~1894)

   ブカレストの裕福な地主の家庭に生まれ、1850年代にパリに移住。「印象派の画家の最初の収集家の一人であり、彼らの友人にして主治医」。
   死後、一人娘のヴィクトリーヌがコレクションを相続。
   彼女はこの邸宅美術館に惹かれたらしい。1940年、戦争勃発で作品保護を図る必要がある状況下、11点の印象派作品をマルモッタン美術館に贈与する。その後の寄贈を合わせ、最終的には20余点を寄贈したようである。


11点の贈与作品。
モネ6点
《印象、日の出》
《ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅》
《テュイルリー公園》
《雪の中の汽車》
《雲の効果》
《春》
ピサロ
《雪の大通り》
シスレー
《花咲くリンゴの木》
ギヨマン
《陽の効果》
ベルト・モリゾ
《扇を持つ女》
ルノワール
《ドノ・ド・モンシー夫人の肖像》←寄贈者本人の肖像


3:ミシェル・モネ(1878~1966)

   モネの次男。モネが最期まで手元に残した作品を含む、父親の全遺産を相続する。ミシェルは、遺産で生活していたらしい。セザンヌなどの印象派の作品、そしてモネの初期(1870年代)作品を売却している。
   1966年、自動車事故で死亡。睡蓮大装飾画を巡る国との軋轢もあって、残る遺産は、マルモッタン美術館に遺贈することとしていた。《印象、日の出》を所蔵していることも決め手の一つとなったらしい。
   モネ88点、モネの友人たち58点の計146点がマルモッタン美術館の所蔵となる。


   こうして「世界最大級のモネのコレクション」が誕生し、美術館はマルモッタン・モネ美術館に改称する。

 

   マルモッタン・モネ美術館は、例えば2004年開催のマルモッタン美術館展の軸となったベルト・モリゾの孫夫婦による「ルアール・コレクション」など、そのほかにも個人コレクションからの寄贈を受けているとのこと。「印象派の殿堂」に相応しい充実ぶりが想像できる。

   加えて、ジョルジュ・ウィルデンスタイン(1892-1963)による、中世からルネッサンス期にフランスとイタリアで制作された200点もの彩色写本のコレクションを所蔵。保存状態が素晴らしいらしい。写本だけに、来日は望めず、現地でもまず公開されないだろうが、数点だけでも拝見したいものだ。



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