日経おとなのOFFの2019年1月号「2019年絶対に見逃せない美術展」を眺める。
西洋美術、日本美術とも楽しみな展覧会が多数掲載されている。
東京に住んでいると、それら展覧会に時間的にも金銭的にも小さい負担でアクセスできる。実に恵まれた環境である。
しかし、なかには首都圏・その近郊では開催されない展覧会もある。
そこで、 2019年絶対に見逃せない、首都圏では開催されない展覧会、私的5選。
1)
カラヴァッジョ展
(札幌会場)
2019年8月10日〜10月14日
北海道立近代美術館
(名古屋会場)
2019年10月26日〜12月15日
名古屋市美術館
(大阪会場)
2019年12月26日〜20年2月16日
あべのハルカス美術館(大阪市)
3年ぶり3回目のカラヴァッジョ回顧展は、何故か東京に来ない!
日本初公開3点を含む約10点のカラヴァッジョ作品が出品されるようだ。
札幌会場限りの初来日《病めるバッカス》(ボルゲーゼ美術館)。
名古屋会場限りの初来日 《ゴリアテの首を持つダヴィデ》(ボルゲーゼ美術館)。
大阪会場限りの初来日 《ホロフェルネスの首を斬るユディト》 (バルベリーニ宮国立古典美術館)。
3会場共通の2回目の来日 《マグダラのマリア》(個人蔵)。
以上の既情報の4点に加え、日経おとなのOFFではプラス2点の情報が得られた。
札幌会場限り
《女占い師》
1597年、カピトリーノ絵画館
✳︎2016年の回顧展にも出品されたカラヴァッジョ初期作品。
カピトリーノ所蔵のもう1作品についても、どこかの会場限定でいいから来てくれないかなあ。
3会場共通
《リュート弾き》
1596-97年頃、個人蔵
✳︎残念ながらエルミタージュ美術館蔵の作品ではない。真筆性は如何、図録には(ほぼ間違いなく)真筆であることが熱く語られるのであろうか。
名古屋・大阪への遠征は確定、札幌への遠征については全出品作が明らかになってから検討したい。
2)
フェルメール展
2019年2月16日〜5月12日
大阪市立美術館
フェルメール展自体は、現在上野の森美術館にて開催中であるが、次の巡回地・大阪限りの出品作が1点ある。
《恋文》
1669-70年頃
アムステルダム国立美術館
2000年に上野と名古屋、2005年に神戸と2回来日していて、いずれも見ているが、今回の13年ぶり3回目の来日も見たい。それに日本におけるフェルメール展発祥の地・天王寺公園での再度のフェルメール展を見ておきたいので、遠征するつもり。
大阪会場は日時指定入場制ではなく、入場料一般当日1,800円、音声ガイド600円。計2,400円で、東京との差は300円である。
3)
大徳寺龍光院
国宝 曜変天目と破草鞋
2019年3月21日〜5月19日
MIHO MUSEUM
現存3点のみという「曜変天目」。静嘉堂文庫美術館蔵、藤田美術館蔵、大徳寺龍光院蔵と、全て日本にある。
うち、大徳寺龍光院蔵は公開される機会が少なく、前回の公開、2017年の京都国立博物館「国宝」展での公開は17年ぶりであったという。そのときは行けなかったが、早くもやってきた鑑賞チャンス、場所が遠いのが難点だが、訪問を検討したい。
4)
国宝 一遍聖絵と時宗の名宝
2019年4月13日〜6月9日
京都国立博物館
全12巻からなる「一遍聖絵」を関西では17年ぶりに全巻公開するという(前半部が前期、後半部が後期)。
全巻一挙公開なら別だが、春は関西で行きたい展覧会等が多いし、2015年に遊行寺・神奈川県立歴史博物館・神奈川県立金沢文庫の3会場連携企画で見ているし、優先順位は下げざるを得ない。
5)
流転100年
佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美
2019年10月12日〜11月24日
京都国立博物館
元はひと続きの絵巻だった「佐竹本三十六歌仙絵」、1917年に売りに出されるがあまりの高額に時勢柄購入できる者がいない。このままでは海外に流出してしまうと、1919年、なんと37枚に分断。37人に売られた。
それから100年、37枚のなかには行方の分からないものもあるが、本展には少なくとも21枚が集うという。
いろんな展覧会で数枚なら見る機会もある「佐竹本三十六歌仙絵」、これだけの枚数が集まるのは30年以上ぶりのこととなるようだ。
年間の展覧会情報は、これまで「日経おとなのOFF」1月号と「美術の窓」2月号で確認していたが、昨年あたりから同じような企画の雑誌が増えている印象。芸術新潮も2017年12月号に引き続き、2018年12月号も「これだけは見ておきたい」と題して次年の展覧会紹介を全面特集しており、これから毎年12月号の定番とするような感じである。