東京でカラヴァッジョ 日記

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「桃山 - 天下人の100年」展(東京国立博物館)

2020年10月13日 | 展覧会(日本美術)
桃山  -  天下人の100年
2020年10月6日〜11月29日
東京国立博物館
 
 
   「桃山文化」。
   個々の絵師の回顧展や流派展は多少見たことはあるが、「桃山文化」を意識して見たことはない。
   茶道具、工芸品、刀剣・甲冑などの武具、着物、書、書状、小判などが多数並ぶ(彫刻はない)なか、私的好みから絵画作品を主に鑑賞するが、絵画作品は総じて大きい。大きな屏風作品や襖絵作品が次から次に登場する。小さな絵画作品は肖像画を除けばほぼない。そして総じて豪華。
 
 
   以下、特に楽しんだコーナー。
 
 
1)洛中洛外図コーナー
 
   重文《洛中洛外図屏風(歴博甲本)》(国立歴史民俗博物館)と国宝《洛中洛外図屏風(上杉家本)》(米沢市上杉博物館)が並ぶ。その隣には《聚楽第図屏風》(三井記念美術館)も。
   その対面には、曽我直庵と海北友松の屏風が各1点。
 
 
2)永徳と等伯
 
   狩野永徳の国宝《檜図屏風》(東博蔵)。長谷川等伯の2点、重文《牧場図屏風》(東博蔵)と国宝《楓図壁貼付》(京都・智積院)が続く。
 
 
3)南蛮美術コーナー
 
  重文《聖フランシスコ・ザビエル蔵》と重文《泰西王侯騎馬図屏風》の神戸市立博物館が誇る南蛮美術2点。
   重文《日本図・世界図屏風》の海の美しい青色。重文《南蛮人渡来図屏風》。
   珍しく外櫃が付属しておりそのため注文者(ヒロン夫人)と作品が紐付けできるという重文《花鳥蒔絵螺鈿櫃》(逸翁美術館)、南蛮人と洋犬の彫りが可愛い《南蛮人洋犬蒔絵硯箱》(神戸市立博物館)、南蛮人や背面には象の透かし彫りがなされた折り畳み式の椅子の重文《南蛮人蒔絵交椅》(京都・瑞光寺)などの工芸品も。
 
 
4)桃山の成熟-豪壮から瀟洒へ
 
   岩佐又兵衛の重文《豊国祭礼図屏風》(徳川美術館)は2回目の鑑賞、群像の流れるような勢いが魅力。
   関東大震災で右隻中央を失った狩野長信の国宝《花下遊楽図屏風》(東博)は大きめに描かれる人物たちの表情・仕草が好ましい。
   重文《本多平八郎姿絵屏風》(徳川美術館)の優男に再会。
   本阿弥光悦(書)・俵屋宗達(絵)の重文《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》(京博)、飛翔の鶴が実に洒落ている。
   京都・大覚寺の狩野山楽と京都・天球院の狩野山雪の襖絵各2点も。
   
 
   東京国立博物館が開催する「桃山」展らしく、贅沢な出品作が連続する。一般料金2,400円も、この内容なら受け入れられると思う。このご時世でなければ混雑・行列必至の展覧会も、事前予約制により緩和が期待できる。90分以内の鑑賞・滞在が推奨されている(それは難しいかも)。この時期にこれだけの展覧会を開催できるとはさすが東京国立博物館である。多くの作品が入れ替わる後期も行きたい。


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