2014年の西表島は数十年ぶりという大渇水に見舞われました。
八重山諸島のなかでは、西表島は水が豊富な島であり、他の島へ水を供給もしております。
そんなこの島の渇水はインパクトも大きく、気候変動から渇水が増える可能性も否定できず、新たな取水事業が計画され実行されようとしています。
浦内川から取水へ(2014年11月08日):
http://www.y-mainichi.co.jp/news/26179/
確かに地元の人の生活は大事ですし、いわばよそ者の自分が何か申す事を躊躇する気分がありました。
西表島、沖縄地方には他の地域と異なる事情も色々ありますし・・・
しかし、地元の合意形成等、進め方の手続きがしっかり取られているとは言えず、地元の人でさえ知らない間に進められていた感があるようです。
新聞等で報道されるに至り、既に日本魚類学会からも質問状が出されるような動きが始まっております。
沖縄県西表島浦内川からの取水に関する質問状(環境大臣,竹富町長宛)(2015年6月1日):
http://www.fish-isj.jp/iin/nature/teian/150601.html
地元の方のなかにも、本当にそこまでする必要があるのか?という疑問を感じる声があるを知りました。
ネット検索をやっていて、ツイッターでも極めて的を得た発信を見つけました。
ツイッター:
https://twitter.com/takuma_fj/status/604485931039490048
ある方から頂いた助言もあり、微力ながら発信をする気になりました。
研究機関や大学などに属さない一介のアマチュアに何ができるか解りませんが、声をあげてみたいと思います。
僕にできる事が「今のうちに行っておけ!」だけでない事を願っております。
今回の件は人知れず水面下で進められた感もあり、他にも公になっていない事が隠れているかもしれません。
いわば聖域である浦内川が落ちれば、今後似たような動きはしやすいと考えられる可能性もあります。
今後表面化するかもしれない出来事への備え的な手を打っておく事も必要かもしれません。
今回の件が、氷山の一角のような事で無い事を願っております。
※記事作成中に頂いた情報ですが、他にもありました。
上原地区かんがい排水事業導入へ 農林水産振興センター(2014年05月08日):
http://www.y-mainichi.co.jp/news/24921
2012年に平行進化の好例とされた純淡水魚・キバラヨシノボリへの影響が気になります。
九大、西表島の魚・絶滅危惧種「キバラヨシノボリ」が平行進化の好例と確認[2012/07/11]:
http://news.mynavi.jp/news/2012/07/11/138/
西表島の 希少淡水魚「キバラヨシノボリ」の滝による平行進化について解明:
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2012/2012_07_10.pdf
不勉強でこの研究のその後は把握していませんが、学問に新しい発見による定説の変化はつきものです。
現状が保全されなければ、解明されない真実が永遠の闇に消えてしまう事もあるかもしれません。
西表島は開発が遅れたこともあって、豊かな自然環境が残されています。
自然とは、人の手の入らない、本来そこにあるものだけで構成されたものであり、人間が造ったものや介在する事象は自然とはみなされません。
個人的見解ですが、昨今はこういう自然に触れる機会はあまりなく、感性豊かであった日本人でさえ、その本質を理解する人は減っている印象を受けます。
昨今盛んな世界遺産登録も、是非はともかく、本来の趣旨から外れているようで、良い印象を持てない事もあります。
極端かもしれませんが、木が植えてあり、池が掘られてあり、放流した生物が居るのを自然と発言するを見た事もありますが、ごく一部の話と思いたいです。
豊かな自然環境には、豊かな生態系が存在します。
特に現在話題の中心的な浦内川には多種多様な生物が生息し、この地にしか生息しない生物も多く存在します。
そして、生き物の世界で重要なことはバランスです。
この豊かな自然環境と生態系は、おそろしくデリケートなバランスの上に成り立っている事を忘れてはいけません。
自然と調和共存していた古代人とは異なり、現代の科学技術を持ってすれば、容易に破壊されてしまうものなのです。
そして、1度壊れてしまった自然を取り戻す事は2度とできないのです。
わが国は不思議なところがあって、絶滅してから復活させよう(しかも移入という方法で)とする動きもあります。
壊れた自然を再生するとか、自然というものの本質からしても不思議です。
それよりも、自然を壊さず、生物の生息環境を保ち、生物種を絶滅に追い込まないことが重要ではないでしょうか?
多くの開発計画において、「自然環境に配慮」という表現は良く使われます。
しかし、開発と自然保護は全く反対の方向を現す言葉であり、この表現そのものが矛盾を含みます。
全ての楯を貫ける矛と、すべての矛を防げる楯は、存在として相容れません。
このたとえ話が示すものは「嘘」という言葉の一面だと思います。(嘘という言葉の意味は留意願います)
大事になりニュースになる事例もありますが、開発後の自然環境の様子を聞くことはあまりありません。
結果を検証するという大切な事は見向きもされず、配慮という言葉は方便となり下がるのです。
国立公園などで、本当に必要とされる場合以外の開発は、極力避けねばならないと思います。
繰り返しになりますが、西表島に残されている自然環境は極めて稀有な存在です。
いまどき、護岸が施されておらず、ゴミひとつない河川など極めて希少です。
環境の世紀という言葉が使われる今日、この島の環境くらい手つかずで残す事はできないのでしょうか?
太平洋戦争後、返還された沖縄に高度経済成長の恩恵を施すという名目で行われた開発はひどいものであったと聞きます。
美辞麗句な謳い文句に惑わされず、本質的なことを見定める事が大切だと思います。
西表島においては、この島に残された手付かずの自然環境、豊かな生態系こそが、宝であり財産だと思います。
人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」あるものとして、次の世代にまで継承されるべきものであると思います。
仮に今回の件を止める事ができなかったとしても、悪しき前例や既得権になる事は避けなければなりません。
以下はネットで見つけた情報と、当ブログで書いた浦内川の記事などです。
あまり多くはない印象も受けていて、もう少し関心を持ってもらえればなぁーとも思いました。
西表島で起こっている事をより知っていただくために、取水とは直接関係ない件も含まれます。
何か見つけたら追加していこうと思います。
150531 西表島・浦内川取水問題(その1):
https://sites.google.com/site/fwfwatanak/home/old/faceb/150531xibiaodaopuneichuanqushuiwentisono1
150531 西表島・浦内川取水問題(その2):
https://sites.google.com/site/fwfwatanak/home/old/faceb/150531xibiaodaopuneichuanqushuiwentisono2
浦内川に生息する希少汽水・淡水魚類と開発に伴う問題点:
http://www5e.biglobe.ne.jp/~irimira/suzuki.htm
魚類学雑誌, 51(1): 72-74 西表島の陸水性魚類に迫る絶滅の危機:
http://iriomote-love.com/suzukisennsei(2).html
八重山遠征 (2012/10/27~11/04) 浦内川
西表島 浦内川(2011.11.05)
八重山遠征(2011/11/03~06) その4
八重山遠征(2011/11/03~06) その3
<ブログランキング>
ポチッとな!でお願いします。
にほんブログ村
お時間のある方は、以下にもポチッとお願いします。
人気ブログランキング
FC2 Blog Ranking
ブログ王