12月11日に開催された企業会計審議会監査部会で、「不正リスク対応基準」(仮称)の案が示されたという記事。この基準は2014年3月期決算からの適用だそうです。
「不正リスク対応基準案は監査人の「職業的懐疑心の強調」「不正リスクに対応した監査の実施」「不正リスクに対応した監査事務所の品質管理」の3つで構成する。「職業的懐疑心の強調」については、現行の監査基準の内容に加えて、不正リスクの評価、不正リスクに対応する監査手続きの実施や監査証拠の評価という各段階で、職業的懐疑心を発揮することを求める。」
「不正リスクに対応した監査の実施」については、現行の監査基準委員会報告書と同じような内容のようです。(個々の規定を比べてみないとはっきりしませんが)
数日前の日経記事の見出しになっていた「抜き打ち監査」についても同様です。
「財務諸表全体に関連する不正リスクが存在する場合には、抜き打ち監査や、往査先や監査実施手続きの変更など、「企業が想定しない要素を監査計画に組み込むことが必要になる」としている。」
9月に示された案に含まれていた監査人間の連携は、入っていない模様です。
そのほか、監査人交代時の引き継ぎについてもふれているようです。
この記事を読む限りでは現行の監査基準委員会報告書の規定と大きくは違わないようです。しかし、日経1面で取り上げられたので、オリンパス事件・大王製紙事件に対応したという金融庁の実績としてカウントされるのでしょう。
金融庁監査部会、「不正リスク対応基準」の公開草案原案を公表(ITpro)
金融庁:追加監査を義務づけ…不正会計で新基準(毎日)
不正会計を抜き打ち監査 金融庁が新基準(産経)
抜き打ち監査制度化など、新基準で基本合意 企業会計審部会(日経)
ところで、引き継ぎといえば、オリンパスの粉飾疑惑を金融庁が10年以上前から把握していたということを東洋経済が昨年報じています。金融検査の部門から企業開示を監督する部門への引き継ぎが不十分だったのではないでしょうか。この点もどこかで検証すべきでしょう。
オリンパスの粉飾疑惑、金融庁が12年前に黙殺(東洋経済)(再掲)
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