会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

EFRAGディスカッション・ペーパー「暗号資産(負債)の会計処理」日本語訳(企業会計基準委員会)

欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)のディスカッション・ペーパー「暗号資産(負債)の会計処理」の日本語訳の公開について

欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)が2020年7月に公表したディスカッション・ペーパー「暗号資産(負債)の会計処理」の日本語訳が、企業会計基準委員会ウェブサイトで公開されています。

このディスカッションペーパーに関するASBJの説明。

「当委員会では、「金融商品取引法上の『電子記録移転権利』又は資金決済法上の『暗号資産』に該当するICOトークンの発行・保有等に係る会計上の取扱い」について検討を行っています。 このディスカッション・ペーパーは、当該テーマに関連する重要資料であり、関係者の理解に大いに資するものと考えております。

このディスカッション・ペーパーは、暗号資産(負債)の保有者及び発行者の会計処理に関する論点の検討を中心に、背景情報として、暗号資産の活動・経済的特性・規制の概要、暗号資産の評価の方法論、市場発展の可能性などの多角的な分析検討を加えた内容となっています。」

「金融商品取引法上の『電子記録移転権利』又は資金決済法上の『暗号資産』に該当するICOトークンの発行・保有等に係る会計上の取扱い」について検討しているといっても、最近のASBJの会議では取り上げられていない模様です。立派なペーパーが出たので、日本基準もその場しのぎのものではいけないと、再検討しているのでしょうか。

なお、EFRAGは、ディスカッション・ペーパーについて、2021年7月31日までコメントを受け付けているそうです。

200ページ超もある大作です。

以下のような構成となっています(目次より)。

要約

コメント提出者への質問

第 1 章:はじめに

第 2 章:暗号資産活動、経済的特性及び規制の概要

第 3 章:保有者の会計処理

第 4 章:発行者の会計処理

第 5 章:暗号資産の評価

第 6 章:暗号資産(負債)についての IFRS 要求事項の開発の可能性

第 7 章:市場発展の可能性の含意

付録 1:暗号資産(負債)活動
付録 2:経済的特性、権利及び義務
付録 3:関連する規制
付録 4:用語集
付録 5:参考文献
付録 6:謝辞

「暗号資産」と一口にいっても、定義ははっきりしておらず、さまざまなものがあるようです。

「「暗号資産」という用語について、法的な定義又は一般に認められた定義はなく、関連する用語の使用には多様性がある。これは商品のエコシステム及び使用事例の急速な進化の副産物である。本 DP の目的上、暗号資産は、何らかの形態の分散型台帳技術(DLT)ネットワーク(例えば、ブロックチェーン)上で創出・移転・貯蔵され、暗号化を通じて認証される、価値又は契約上の権利のデジタル表象として定義される。さらに、「暗号負債」は、暗号資産の発行により生じる義務で、経済的資源を移転するか又は経済的資源に対するアクセスをデジタル形式又は非デジタル形式で付与する現在の義務を発行企業に生じさせるものとして定義される。」(7ページ)

「本 DP で分析している暗号資産には、発行者に対する請求権のない暗号通貨が含まれる。これは、「暗号コイン」、「支払型暗号資産」、「支払トークン」、「交換トークン」、「仮想通貨」などと互換的に呼ばれることが多い。主として支払の手段として利用されるからである。他の暗号資産として、主としてネットワークの機能又はサービスにアクセスする権利を保有者に付与する「ユーティリティトークン」又は「利用型暗号資産」、投資に類似した「セキュリティトークン及びアセットトークン」、暗号資産のボラティリティを軽減することを意図した「ステーブル・コイン」、異なる特性を組み合わせた「ハイブリッド・トークン」(例えば、ユーティリティトークンと支払トークンの両方の特性を有する)などがある。セキュリティトークン及びアセットトークンは、総称して「投資トークン」又は「投資型トークン」と呼ばれることがある。アセットトークンは、「デジタル資産」又は「トークン化資産」と呼ばれることがある。」(8ページ)
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