読売新聞の調べによると、全国の主な私大18大学が今年3月の決算時に有価証券の含み損(合計で688億円)を抱えているという記事。2009年3月期はさらにひどくなりそうです。
「読売新聞が取材した全国の32大学のうち、日大や帝京大を除く23大学が有価証券の含み損益を回答したが、このうち18大学は08年3月期に含み損を抱えていた。」
ごく限られた範囲の調査ですから、氷山の一角かもしれません。
「約69億円の含み益から一転して、約225億円の含み損になった慶応大。収入を安定させる目的で株や投資信託、仕組み債などに分散投資しているといい、有価証券の取得額も1250億円と、23大学中で最も多い。広報室では「市場環境の変化で含み損が膨らんだ。長期保有が原則なので、現実の損失にはなっていない」と説明している。
08年3月期に4億円の含み益を確保した明治大は「電力や鉄道のような安全な社債などで運用した結果」(財務課)とするが、こうしたケースは例外。・・・」
記事では駒大、南山大、愛知大の損失についてもふれています。学校法人なので、さすがに大々的に株式投資やオフバランスのデリバティブ取引をやっているようなケースは少ないと思いますが、仕組み債など、リスクが見えにくい形態もあるようです。
読売新聞の同じ日の関連記事で以下のような記述がありました。
「都内の中堅私大は、2年前に飛び込みで営業に訪れた外資系証券会社の女性社員から「1年目は10%の利回りを保証しますから」と切り出された。応対した経理部長が「ずいぶんいい条件ですね」と差し出されたペーパー3枚を手に取ると、女性社員は「その代わり2年目以降は為替変動のリスクがあります」と続けた。背後にどれほどのリスクが潜んでいるのかを不安に感じた経理部長は、その場で取引を断ったという。(中略)各大学の財務担当者の話からは、私大をターゲットに、手数料を見込めるハイリスク・ハイリターンの商品を売り込む外資系金融機関の姿も浮かび上がる。」
本当にハイリターンならまだ良いのですが、最近の報道を読むと、中ぐらいのリターンなのに実はとんでもないリスクを負うというケースも多いようです。学校法人だけの話ではなさそうですが・・・。
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