日本公認会計士協会は、「倫理規則」と「独立性に関する指針」を改正するとともに、新たに「利益相反に関する指針」を制定する公開草案を、2014年1月21日付で公表しました。
国際会計士連盟にある国際会計士倫理基準審議会の倫理規程が改正されたことを受けて、見直しがなされるものです。
改正案および新指針案の概要は以下のとおりです(協会説明資料より抜粋・要約)。
1.倫理規則等違反への対応
・(倫理規則)倫理規則等の規定(自主規制による規定)の違反を認識した場合、当該違反の重要性や基本原則を遵守できているかどうかを自ら評価し、当該違反の影響を是正するための対応策を講ずることを総則として規定する。
・(独立性に関する指針)指針の規定に対する違反を認識した場合、当該違反の重要性の程度、会計事務所等の公正性及び監査報告書の発行に与える影響を評価するとともに、認識した全ての違反について、当該違反の重要性にかかわらず、監査役等に報告する。また、影響を評価した結果に応じた取るべき対応策が定められている。
2.利益相反に関するガイダンスの充実
・利益相反に関するガイダンスの充実を図るため、倫理規則を改正するとともに新指針を制定
・倫理規則では全般的な拘束性のある要求事項と指針への委任規定のみを設ける。
・詳細なガイダンスは、利益相反に係る取扱いを定めた指針として「利益相反に関する指針」を新設
・本指針は、「第1部 会計事務所等所属の会員に関する利益相反」、「第2部 企業等所属の会員に関する利益相反」及び「付録」によって構成
・阻害要因を生じさせる利益相反を、複数の相手先相互間の相反と、職業会計士の利益と依頼人の利益との間の相反の二種類に整理
・利益相反が生じ得る状況の説明及び例示を追加
・利益相反の識別・評価・セーフガードの適用に際し、概念的枠組みアプローチを適用する際の第三者テスト(判断に際して、第三者の目線から見て、相反の状況がどのように映るかということを意識しながら、職業会計士自身が判断を行うこと)を要求
・利益相反の識別・評価やセーフガード等のガイダンス提供
3.“監査役等”とのコミュニケーション
「倫理規則」及び「独立性に関する指針」の規定に従って、監査役等とコミュニケーションを行う際の規定を以下のとおり追加
・依頼人又は所属する組織の企業統治の構造に応じて、コミュニケーションの実施に適した者(特定の者又は監査役等を構成する全ての者)を判断すること。
・特定の者(例えば、監査役会における監査役)と個別にコミュニケーションを行おうとする場合には、監査役等を構成する全ての者に適切に情報が伝わるように、監査役等を構成する全ての者にコミュニケーションを行うことが必要かどうかを判断すること。
適用は、2015年(平成27 年)4月1日からですが、対象となる行為や影響を受ける事業年度で適用時期を判断する規定もあります。
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