会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

日本国土開発、なぜ本社ビル売却?トーマツが「監査上の主要な検討事項」と指摘した背景(ダイヤモンドオンラインより)

日本国土開発、なぜ本社ビル売却?トーマツが「監査上の主要な検討事項」と指摘した背景

「日本国土開発」の2023年5月期の監査報告書(監査人はトーマツ)に記載されたKAMをもとに、問題となっている不動産取引や会計処理を解説した記事。

当サイトでも取り上げましたが(→当サイトの関連記事)、その時の報道では、社名や監査人名は伏せられていました。

「東証プライムに上場する中堅ゼネコン「日本国土開発」の今年5月期の有価証券報告書に添付された、トーマツによる監査報告書のKAMに興味深い記述を発見した。」

取引対象の不動産物件や取引相手は...

「港区赤坂四丁目9-9に所在するビルは「赤坂MKビル」といい、外見上は地上8階、地下1階建ての1棟のオフィスビル(延べ床面積7032平方メートル)なのだが、不動産登記を確認したところ、登記簿上は1990年新築の部分(同3227平方メートル)と翌年増築した部分(同3805平方メートル)に分かれており、前者はもともと東京地下鉄(東京メトロ)が所有していたが2021年4月に日本国土開発が取得している。後者の増築部分は元から日本国土開発が所有していた。「MK」のMはメトロで、Kは国土の頭文字なのだろう。

いずれにせよ、日本国土開発は2021年4月からビルの土地・建物丸ごと所有する形になっていたが、今年5月16日付で持ち分10分の7が「積水ハウス」に売却されたことが確認できる。

この不動産取引について、KAMの記載によれば「有形固定資産から販売用不動産への保有目的の変更を伴う取引」とのことである。それもそのはず、日本国土開発は「赤坂MKビル」が建つずっと前の1964年からこの場所に本社を置いてきた

2021年に取得した部分はさておき、もともと所有していた部分は販売用不動産ではなく事業用不動産(有形固定資産)の扱いだったのは明らかだ。商業登記によれば、日本国土開発が赤坂四丁目9-9から現在の虎ノ門四丁目3-13に本社を移転したのは6月1日。つまり、赤坂MKビルの持ち分10分の7を積水ハウスに売却した5月16日の時点では、まだ本社所在地だったことになる。」

大手監査法人が検討の上(KAMに記載した以上特別に検討したはず)、認めた会計処理なので、特別利益ではなく、営業利益に計上することに理屈はあるのでしょうが、ちょっとあやしい会計処理です。不動産部門をもっている会社は自社ビルの売却益を営業利益に計上できる(損失の場合は特別損失区分にする)ということにならないのでしょうか。

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