日本大学背任疑惑で、日大理事と医療法人前理事長が逮捕されたという記事。日大の資金2億2千万円を外部に流出させて大学に損害を与えたとのことです。
「関係者によると、日大は2019年12月、医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建て替え工事の設計・監理業者を選ぶ「プロポーザル」(提案型の審査)業務を、×××容疑者(日大理事)が取締役を務める完全子会社「日本大学事業部」(世田谷区)に委託した。事業部は、参加した4社のうち都内の設計事務所を選んだ。」
「日大は、価格交渉した事業部の提案通り、20年4月に24億4千万円で設計事務所と契約し、一部の約7億3千万円を同年7月に支払った。翌8月、このうち2億2千万円が、××容疑者(医療法人前理事長)が全額出資した実体のないペーパー会社に「コンサルタント料」名目で送金された。
特捜部は、送金は×××容疑者(日大理事)の指示で実行されたとみており、日大から委託された任務に背いて大学に不要な支出をさせて損害を与えたとして逮捕に踏み切った。××容疑者(医療法人前理事長)については、×××容疑者の犯行に加担した「身分なき共犯」にあたると判断した。
××容疑者が出資したペーパー会社に2億2千万円が流出した直後の9月には、錦秀会の関連会社から×××容疑者(日大理事)の知人側のコンサル会社に6600万円が送金された。このうち3千万円は知人側の別会社に移され、知人はこのうち計2500万円を今年3月と6月に×××容疑者に手渡したという。」
おおむね、すでに報じら入れているとおりのカネの動きがあったようです。さすがに日大の支払い先である設計会社から直接カネを受け取ることはせず、間にいくつものクッションをはさんでいたようです。
事件の背景にもふれています。
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日大理事と医療法人前理事長を背任容疑で逮捕 東京地検特捜部(NHK)
「日本大学事業部の運営に詳しい大学関係者は、事業部の中では、問題があっても幹部に指摘できない閉鎖的な体質があったと証言しています。
この関係者によりますと、日本大学は、外部との取り引きに事業部を関与させるルールを決めて担当者の会議で徹底するなどしていたということで、事業部の業務は11年前の設立から年々、拡大を続けたということです。
しかし、事業部が関わると、取引先に支払う金額が高くなるなどの問題が指摘されていたということです。
こうした状況について、この関係者は、「事業部の内部で苦情を言ったりものを言ったりする人には、パワハラや左遷、人事的な報復があった。そうしたことを目の当たりにして誰も何も言えなくなった。見ないふりをして今まで来てしまった」と話し、事業部が閉鎖的な体質だったと説明しました。」
学者のコメント。
「日本大学の完全子会社が関与した契約をめぐる今回の事件について、大学の経営などに詳しい筑波大学の金子元久特命教授は「物を購入するときには大口の方が安くなるため、同じような子会社を作る大学は多く、日本大学の経営判断は問題ない。ただ、日本大学は収入が2000億円を超える非常に大きな企業体だ。業者にしてみれば注文の金額が大きい重要な顧客で、癒着の関係は作られやすい」と話しています。
そのうえで金子特命教授は、「日本大学は政府からの補助金を受けているため国民に対して説明しなければいけないし、それ以上に学生や保護者に対しての説明責任を負っている。大学、子会社の監査役が十分に役割を果たすことが必要で、経営上の透明性を高め、情報公開を徹底しなければならない」と指摘しています。」
大口の方が安くなるはずなのに、事業部が関わると高くなったというのですから、異常です。ほかにもいろいろありそうです。
日本大学のコメント。
本学理事の逮捕について(日本大学)
「...報道されておりますように、10月7日に東京地方検察庁により、本学理事が背任容疑で逮捕されました。
本学理事の逮捕は、誠に遺憾であります。本件につきましては、本学としても現在進められている東京地方検察庁の捜査に引き続き全面的に協力してまいります。
授業など教育、研究については、これまでどおり実施してまいります。...」
自分たちでも徹底的に調べるとはひとこともいっていません。自浄作用は全く働かないようです。
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